アジアパシフィックラリー選手権第5戦マレーシアラリー(グラベル)が10月28日、マレーシア南部のジョホールバルで開幕。29日にはレグ1に設定された8SSの走行が行われ、2013年以来のAPRCタイトルに王手をかけているガウラブ・ギル(シュコダ・ファビアR5)が初日をトップで折り返した。
例年、マレーシア戦で悩みの種となる雨はこの日、それほど降る事がなく、一日を通してコンディションは比較的ドライとなった。しかし、場所によってはスリッパリーな部分もある上に、熱帯気候の暑さがドライバー達を苦しめた。
マシンの性能面では、ギルにとって最大のライバルとなるのはチームメイトのファビアン・クレイムだったが、そのクレイムはこの日リタイア。選手権争いの上でも、ギルはこのラリーを無難に走り切れば2度目のAPRCタイトルが決まりそうだ。
「トップで初日を終えられてハッピーだが、ラリーはまだ終わっていない」とギル。
「マレーシアはとてもトリッキーだし、いつ何が起きても不思議ではない。このラリーは、お互いに競り合うだけのラリーではない。ラリーそのものにも勝たなくてはならない、そんなイベントだ。油断すると痛い目に遭うから、甘く見てはいけないんだ」
クレイムがリタイアしたことで総合2位に上がってきたのは、R5相当仕様の三菱ミラージュでの参戦で注目を集める、ヤリ・ケトマー。ラリー北海道参戦を目指しながら、ロジスティックの調整がつかずに参戦プランをマレーシアに変更しての参戦。スウェーデンのASN規定マシンとしてのカテゴリーでエントリーを果たした。
「素晴らしい結果だが、厳しい一日だった。これまで世界中でラリーに参戦してきたが、今回が一番タフだ」とケトマー。
「マシンには一切トラブルがなかった。スピードはまだ思うように発揮出来ないが、その理由を自分たちでは把握している。改善できる場所も分かったし、すぐに速さを高められるよ」
APRC単独でのリザルトでは、クスコ・レーシングのマイケル・ヤングとサンジェイ・タクル(いずれもスバルWRX STI)がそれぞれ2位、3位につけている。
風邪で体調不良の中での参戦となっているヤングは「ロングステージでは、中盤から腕に力が入らなくなってきたし、集中力もなかった。でも、すべて順調に進んでいるし、順位にはとても満足している」とコメント。併催のアジアカップでは、同じくクスコレーシングの炭山裕矢(WRX STI)で今季初の海外戦に登場。堅実な走りを見せ、パンクに見舞われながらも総合4位、アジアカップ3位につけている。
日本からは、河原誠(三菱ランサーエボリューションVIII)が参戦したが、SS4でリタイアを喫している。
競技最終日となるレグ2は、3SSを2ループする6SSが設定されている。
APRCマレーシアラリー レグ1結果
順位 | 部門 | ドライバー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | APRC/A-Cup | G.ギル | シュコダ・ファビアR5 | 1:38:59.6 |
2 | J.ケトマー | 三菱ミラージュ | +4:16.9 | |
3 | APRC/A-Cup | M.ヤング | スバルWRX STI | +7:21.3 |
4 | A-Cup | 炭山裕矢 | スバルWRX STI | +10:18.6 |
5 | APRC/A-Cup | S.タクル | スバルWRX STI | +15:20.0 |