今季のWRC第3戦は、北米大陸で開催されるラリーメキシコ。モンテカルロの凍った山岳路、スウェーデンのスノーラリーに続き、メキシコは今季最初のグラベル戦だが、それ以上の特色がある。
30度近くの暑さに加え、このイベントで大きな壁となるのが標高の高さだ。ラリールートは、今季最高地点の2700m以上にまで達するため、空気が薄い環境ではエンジンのパワー出力が大きな課題となるほか、ドライバーもドライビングスタイルを対応させなくてはならない状況に直面する可能性が高い。
ラリーメキシコは2004年のWRC昇格以来、常に革新的なアプローチを取ってきたイベントだ。今年は初めて、世界指折りの大都市、メキシコシティをルートに取り込み、2015年に公開された映画ジェームス・ボンドシリーズで話題を呼んだヘリコプターのスタントが行われたソカロ広場でスーパーSSを実施。木曜日の夜に1.57kmのステージを2回走行した後、クルーたちはレオンに戻り3日間の山岳ステージに挑む。
2017シーズンはここまでの2戦でウイナーがふたり誕生している。一新されたWRカーが、メキシコの高地ステージでどのような走りを見せるのかは未知数ではあるが、タイトル獲得のチャンスが開かれた状態になりつつある今季、再び見逃せない一戦となることは間違いない。
新登場のメキシコシティでのスーパーSSとSS11、パワーステージに指定されている最終SSではライブ中継も行われる予定だ。
FIAラリーディレクター ヤルモ・マホネン
「ラリーメキシコは常に、革命の先陣を切ってきたイベント。メキシコシティでステージを実施するというプランを聞いた時も、驚くことはなかった。世界に名だたる指折りの大都市でスーパーSSを行うことは、WRCにとっても素晴らしいことであり、多くの人々にラリーのことを知ってもらう機会になる。メキシコの人はとても情熱的で、これまでもWRCを通してそのことを感じてきたが、雰囲気、観客の多さ、景観の素晴らしさ、豪快さは、さらにレベルアップしていくことだろう」
今年のルートは例年と類似しているが、ステージの形状を調整している部分はあるため、クルーが忙しくレッキを過ごすことに変わりはなさそうだ。話題のメキシコシティでの新ステージが加わることから、ユネスコ世界遺産の街に設定される炭坑のトンネルを抜ける人気のステージ、グワナファトは金曜日の夜に変更されている。スーパーSSでは花火も実施。カレンダー屈指のロングステージも含め、最もチャレンジングで暑い、高地でのステージが展開される。
■ラリーデータ
開催日:2017年3月8‐12日
サービスパーク設置場所:メキシコ、レオン
総走行距離: 897.90 km
総ステージ走行距離:369.03 km (SS比:41%)
総SS数:19
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3