スバル、スズキなどでWRCに参戦し、日本のラリーファンにも人気のクリス・アトキンソンも、今や37歳のベテラン。その“アトコ”が今季、スバル・ラリーチームUSAから米国のグローバルラリークロスチャレンジ(GRC)にフル参戦! オーストラリア出身のアトキンソンが、パワフルなラリークロス・スーパーカーマシンで米国のシリーズに挑む奮闘を、ブログで語る。
第1回は4月29日に行われたメンフィス戦のレビューだ。
スバル・ラリーチームUSA(SRT USA)は、シーズンオフの間、期待していた以上の努力を費やしてくれた。2017年型スバルSTIラリークロスマシンは、デザインを微調整しただけではなく、マシンのあらゆる点が完全に見直されている。これだけ大きな変更を行ったので、僕らは自分たちの作業をゼロからスタートする必要があった。マシンの基本的なセットアップはもちろん大きく変わるし、シーズン前半はある程度の様子見になるのは必然だが、全てが理解できるようになり始めれば、マシンのポテンシャルをフルに活かして行くよ。
予想される全ての状況をテストすることは不可能なので、レースの週末に入ると、前半はまず現地のコンディションでのマシンの動きを理解することから始めるしかない。開幕戦が行われたメンフィスは、僕らのマシンにとって初めて走るバンクのついたオーバルコースなので、このコンディションでマシンがどのようなパフォーマンスをするのか、そしてマシンをどう調整していくのか、把握していかなくてはならない。
チームが取り組んでいるのはシャシーだけではなくて、立ち上がり加速を改善することにも注視している。ラリークロスではとても重要な要素だ。去年から改善された部分はすぐに結果となって現れ、僕は最初の2ヒートで会心の走りを見せることができた。ヒート1では、残念ながらパンクがあったために3位に終わったが、ヒート2では前がオープンになる状況に持ち込むことができたので、スタートからフィニッシュまでリードする素晴らしい内容となった。これは、大きいよ! 集団の中盤にいると、あらゆる方向からヒットを受けるし、そうなるとマシンのアライメントが狂ってドライブするのが一層難しくなり、首位との差を詰めることも厳しくなる。
メンフィスのセミファイナルとファイナルでは、ベストなグリッド位置を得ることができず、思うような走りができなかった。それでも明るい要素は、この週末はずっと僕らの方が速さでは勝っていたNo.00(スティーブ・アーピン)が、ポディウムでフィニッシュしたこと。これは、僕らのマシンが素晴らしいポテンシャルを持っているということの証明でもある。僕らは、まだ全ての力を出し切ってはいないのに、だよ。ファイナルでは5位に届きそうだったが、テクニカルトラブルが発生し、スローダウンを余儀なくされた。電子系統の不調だった。ツイてはいなかったが、いずれにしても大きなことではないよ。
とにかく、開幕戦のグリッドにマシンを並べるためにチームが尽くしてくれた努力を、僕は心から誇りに思う。僕らのマシンがいいことは分かっている。チームが素晴らしいということもね! 今は、とにかく必死の作業を続けて、次戦のルイビルを楽しみにしているよ。
(ATKO)