大御所WRCメディア、マーティン・ホームズが伝えるWRCドイツ戦直前のWRCチーム近況。
■シトロエン
使用するマシンは、ポーランドと同じ(アンドレアス・ミケルセンはステファン・ルフェーブルがポーランドで使用したマシン)。ルフェーブルとカリッド・アル‐カシミは、このイベントには参戦しない。
フィンランドでは大きなテクニカルトラブルはなく、クリス・ミークとブリーンはオーリンズのダンパーを使用したが、ミークはグリップが低かったり変わりやすかったりする時の感触には難色を示した。
ドイツ戦向けのテストとしては、3タイプの性格すべてに類似したロケーションで、6日間実施。ドイツ戦前の話題は、セバスチャン・ローブが2017年型マシンをテストしたことで、ドライ路面でのフィーリングには満足したと伝えられている。ローブによる今後のテストについては、まだ確定はしていない。
ドイツ戦でのテクニカル面での試練は、ブレーキに最も厳しいラリーという点。このイベントに向けての大きな変更点はない。天気予測については、シトロエン・レーシングはメテオ・フランスと協力して、独自の機材とデータベースで現地で作業に当たる。またステージにはウェザークルーを派遣して、最新のコンディションについての情報を追加する。
■ヒュンダイ
ヘイデン・パッドンとダニ・ソルドはフィンランドで使用したマシン、ティエリー・ヌービルはアルゼンチンで使用したマシンを使う。ヌービルはドライバーズ選手権ではセバスチャン・オジエに並んだものの、フィンランドでの結果は残念な内容となった。チームはフィンランドでは苦戦が続いており、それは今年も覆らなかった。ポーランドで強いマシンは、フィンランドでも強いことが多く、これは意外な要素だ。
フィンランドではサスペンションにマイナートラブルが発生したが、ドイツはヒュンダイに向いていると見られている。ソルドとヌービルは、7月上旬に軍事エリアでテストを行っており、ラリー前には全クルーがブドウ畑エリアで4日間のテストを行った。
ドイツ戦での主な試練は、各ループのステージにバランスよく合うセッティングを見いだすこと。天気予測の作業については、メテオ・フランスから天気予報士が派遣される他、ステージにウェザークルーを配置する。今年はサービスパークとステージが近いため、この作業が便利になると見られている。テクニカル面では、このイベントでは目新しいものはない。
■Mスポーツ
オジエは新マシン(シャシー9)、オィット・タナックはポーランドで新しくなったマシンを使用。エルフィン・エバンスはこれまでのマシンを使用し、アルミン・クレマーは元ロレンツォ・ベルテッリやテーム・スニネンが使用したマシンを使う。
オジエのコ・ドライバー、ジュリアン・イングラシアの体調は、ドイツ参戦に間に合うと見られている。フィンランドでタナック車とエバンス車に発生したフロントガラスのワイパートラブルは、まだ解決されていない。
ドイツ戦に向けて5日間行われたテストは、ブドウ畑と軍事エリアに集中させた。このイベントでの技術面での試練は、異なるセットアップが3種類必要となることだが、ダンパーの開発を除けば、テクニカル面で目新しい要素はない。天気予測については、Mスポーツは今回も複数のスタッフをメテオ・フランスから呼び、サービスパークに帯同させる。各日、早朝にサービスエリアに入り、毎朝、天気予報をチームに伝える。さらに、ウェザークルーを、チームが同意した各所に配置する。
R5勢については、チームからWRC2に参戦するスニネンは新マシンを投入する。
■トヨタ
ヤリ−マティ・ラトバラとユホ・ハンニネンはサルディニアと同じマシン、エサペッカ・ラッピはフィンランドで使用したものと同じマシン。ラトバラのエンジントラブルについての分析結果は、ECUが突然、致命的な不調に陥ったというものだった。
7月には軍事エリアで、ラリー前週にはブドウ畑でテストを行った。ドイツのステージはターマックラリーとしてはかなりラフで、特にカットの可能性が高いことがその理由。コンポーネンツの信頼性と、理想的なサスペンションセッティングを見いだすことが試練。TGRは、前回のターマックスペックでの参戦から、テクニカル面で様々な開発を行った。最近のニュースとしては、今回がチームマネージャーのヤルモ・レーティネンにとって最後のラリーとなること。レーティネンの職務は当面、ティモ・カンクネン(チームマネージャーでユハの兄弟)と、クリストファー・ローデン(ラリーエンジニア)が共同で行う。天気予測については、チームは天気予報会社からスタッフを派遣し、エンジニアリングのトレイラー内で作業を行う。
(Martin Holmes)