大御所WRCメディア、マーティン・ホームズが、長年の経験に基づく独自の視点で切り込むMartin’s eye。今回はWRCドイツで、イーブン・マネジメント代表のエリック・ベイビーにインタビューを敢行した。
WRCフィンランドで初優勝を飾ったエサペッカ・ラッピ(フィンランド)、このドイツでWRC2タイトルを決めたポンタス・ティデマンド(スウェーデン)、不振のシトロエンが起爆剤として起用したアンドレアス・ミケルセンらのマネジメントを担当するエリック・ベイビー。息子のオーレ・クリスチャン・ベイビーは初挑戦のAPRCでシリーズリーダーに立つなど、今最も勢いのあるWRCマネージャのひとりだ。
彼はこの10年、WRCにおいて、ふたつの側面で積極的な活動を展開してきた。まず、ミケルセン、ティデマンド、ラッピのマネジメント。さらに息子のオーレ・クリスチャン(ニックネームは“Baby Veiby”)のラリー活動だ。そんなエリックにまず、なぜWRC2でも上位争いに食い込むオーレ・クリスチャンが、WRCドイツに参戦しなかったのかを聞いた。(ドイツ戦は、WRC2の参戦必須義務3戦のうちの一戦)
エリック・ベイビー(=EV): シュコダから今季のAPRCに参戦する機会を得た時、これが我々のメインの目標となった。WRC2は修業のために参戦しているが、彼の一番の目標はAPRCのチャンピオンになることだ。ドイツ戦の前週には、彼はAPRCのマレーシア戦に参戦していたので、そのままドイツに来るのは苛酷すぎる。火曜日の朝、万全の状態でレッキを始められるようにはなっていなかっただろう。ドイツは本当に難しいラリーなので、100%の状態で挑む必要がある。だから参戦しなかった。オーレ・クリスチャンは昨年、シトロエンでドイツに参戦しており、それが2回目だった。10月のスペイン戦にはWRC2に参戦する。
MH: シュコダでの活動はどのような感じか。長期に渡っての関係を築こうとしているのか。オーレ・クリスチャンは今後、どのような活動をしていくのか。
EV: それを聞くのは、私は適任ではないと思うが、ポンタスと息子の将来については、話し合いを持っている。だから、今後どうなるか見守りたい。来月かその頃には、何か見えてくると思う。
MH: ふたりのドライバーが、WRC2で成長を見せている。WRC2の価値について、どのように評価するか。
EV: 昨年、今年とWRC2はとてもコンペティティブになっていると思う。この方式を、私は気に入っている。参戦必須イベントが3戦あるのは好きではない。ジュニアWRCのように、6、7戦の参戦を義務付けるべきだと思う。そうすれば、常にライバルと対峙することになる。しかし、ラッピ、スニネン、ポンタスと、みんなWRC2からステップアップしている。とてもいい選手権だ。シュコダとMスポーツのマシンについては、特に大きな差があるとは思わない。
MH: 今後のビジネスについては。新しいドライバーの発掘を予定しているか。
EV: これといった計画はない。今、ほかに4人のドライバーがいて、ラリークロスにも1人いる。今は、これで十分だ。例えば、アンドレアス(ミケルセン)に関しては、シートを確保しなくてはならないので作業が山積みだし、ポンタスも同様。だから、今はかなり手いっぱいだ。
MH: 一番、満足のいく結果を残したドライバーは誰か。オーレ・クリスチャンではないだろうか。
EV: 自分にとって、今年のハイライトは、フィンランドでのラッピの優勝だ。本当に感動的だった。息子がポーランドで勝った時もとてもうれしかったが、ラッピのフィンランド優勝は予想もしていなかったので、これまでで最大の喜びだ。
(Martin Holmes)