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【インタビュー】勝田貴元「ラリーに集中することに迷いはない」

 

「TOYOTA GAZOO Racingチャレンジプログラム」に選出された勝田貴元(かつたたかもと)が、今回の選考課程、そして今後の目標などについて語った。

 1993年3月17日生まれの勝田は勝田範彦というラリードライバーを父に持ち、新井同様に二世ドライバー。これまではサーキットで活躍しており、2012年からは全日本F3選手権を戦ってきた。また、全日本ラリー選手権へのスポット参戦経験も持っている。今シーズンからラリー1本に集中し、新井とともに、6月と8月にトミ・マキネン・レーシングでトレーニングを受けた後、フィンランド国内選手権2戦、さらにポーランド選手権にスバルWRX STI R4で参戦する。

ーラリードライバーを志したきっかけは?
「12歳からレーシングカートを始めて、トヨタさんのサポートを受けてF.C.J.、F3とフォーミュラでステップアップしてきました。そして、祖父や父がラリードライバーということもあり、ラリーにスポット参戦したことでラリーの魅力にハマり、今年はこのような形でGAZOO Racingの育成プログラムのドライバーの選考に参加しました。最終的な目標は、WRCに参戦して日本人初のワールドチャンピオンになること。素晴らしい環境を用意して頂きましたし、自分ができることをしっかりやりたいです。そして、精一杯力を出し切って、結果で応えたいと思っています」

ーラリーの面白さは、どこに感じている?
「昨年、ラリーにスポット参戦した時に印象的だったのは、ラリーが“チームで戦う”競技だということでした。一番近くにコ・ドライバーがいますし、サービスにはたくさんのスタッフがいます。ドライバーだけが主役ではない世界に、気持ちを持っていかれました。そして、公道を使う競技なので、色々なコンディション下でスピードを競うという点でも、サーキットとは異なるスリルがあります」

ーいつ頃までにWRC参戦を考えているのか?
「今年から本格的にラリー1本に絞ったので、まだ僕は経験があまりありません。それにサーキットレースとは大きな違いがあります。もちろん運転することは同じですが、ラリーにはラリーの難しさがあります。まだ経験値もドライビングテクニックでも、世界で戦っていくレベルには達していません。今後3年間はヨーロッパのラリーに実際参戦することで経験を積み、2018年か2019年からWRCに参戦できるように自分のレベルを上げたいです。その後はチャンピオン争いできるくらいになりたいですが、今はまだ準備段階にあると思っています」

ー目標としているWRCドライバーは?
「ドライビング面、メンタル面、そして結果に関しても、セバスチャン・オジエはすごいドライバーだと感じています。でも、すべてのドライバーをリスペクトしていますし、映像などを見て学ばせてもらっています。そのなかでも特にオジエ選手にすごさを感じていますね」

ー今回の選考課程で最も印象的だったことは?
「トレーニングで最も戸惑ったのはアスレチックです。僕は高いところが苦手なので(笑)、最初は少し困りました。でも、実際にやってみたら楽しかったです。フィジカル的にも厳しいトレーニング内容でしたが、なかなか日本ではできない経験ですし、楽しみながらトライできましたね」

ートミ・マキネンやミッコ・ヒルボネンからのアドバイスは?
「ヒルボネンさんからは、ブラインドコーナーが多いのでペースノートはコーナーまでの距離を明確に、かつ細かく作った方がいいとアドバイスを頂きました。あとはドライビングに関することよりも精神面でのアドバイスです。強い自信と精神力がなければ、ラリーではやっていけない。ラリーはステージを1台で走る競技なので、自分がどれくらいのペースで走っているかはフィニッシュするまで分からない。マージンを持ちつつも、限界ギリギリの走りができるように、強い心を持てと言われました」

ー今後行われるトレーニングに向けて、自身の課題は?
「先ほども言ったように僕は経験が少なく、ペースノートの内容が大雑把という課題があります。マキネンさんやヒルボネンさんに教えてもらいながら、理解しやすく、かつ具体的な内容をペースノートに書き込んでいけるかですね。そして、テストではたくさん走って、ラリーに出るまでにレベルをもっと上げていきたいです」

ーサーキットでの経験はラリーに活かせそうか?
「サーキットで培った経験やドライビングスキルが、ラリーで無駄になるとは思っていません。例えば、ターマックでのドライブに関しては、大きく変わることはないでしょう。コーナリングスピードはラリーよりもサーキットの方が高いので、スピードに関する恐怖心はありません。これに関してはサーフェイスは関係はありませんし、落ち着いてドライブに集中できるはずです」

ーこれまで頑張ってきたサーキットレースを諦めることに葛藤はあった?
「昨年末、今回の決断をしました。正直つらい思いもありました。レースも好きですし、ここまで全力でやってきました。心のなかでは両方やりたいという、強い思いもありましたから……。でも、どちらをやるにしても、甘くない世界です。どっちつかずになってしまったら世界レベルには行けないとも思いました。それで、自分のなかで覚悟を決めるという意味でも、これまでやってきたレースをやめてでもラリーに集中するという決断をしました。その後もしばらくはレースをやりたいという思いがありましたが、今はやるべきことも分かっていますし、迷いはありません」

ー選考合格後、父(勝田範彦)の反応は?
「受かった後は『とりあえず良かったな。ここからだぞ』と言われました。周囲からは、父も気にしていたと聞いています。でも、ラリーに行くと決めた時も何も言われませんでしたね(笑)。僕から聞けば色々と教えてくれますが、何か指示されたことはありません。レースも一度も見に来てくれなかったほどですから(笑)。もちろん、全日本ラリー選手権でチャンピオンを獲った経験豊富なドライバーですし、尊敬しています」



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