【インタビュー】新井大輝「父の背中を追っていずれ追い抜きたい」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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【インタビュー】新井大輝「父の背中を追っていずれ追い抜きたい」

 

「TOYOTA GAZOO Racingチャレンジプログラム」に選出された新井大輝(あらいひろき)が、今回の選考課程、そして今後の目標などについて語ってくれた。

 1993年8月21日生まれの新井は、父にPWRCチャンピオンの新井敏弘を持ち、2013年にラリーデビュー。これまでAPRCラリー北海道ほか、オーストリア選手権への参戦経験を持つ。今後、新井は勝田とともに、6月と8月にトミ・マキネン・レーシングでトレーニングを受けた後、フィンランド国内選手権2戦、さらにポーランド選手権にスバルWRX STI R4で参戦する。

ーラリードライバーを志したきっかけは?
「免許を取ってすぐに軽トラックに乗ったんですが、運転がすごく楽しくて、ずっと山を走ったりしていたんです。そんなとき、群馬県戦のラリーを薦められたのがきっかけです。ひとりで走っていても、自分がどの程度のレベルにあるのかは分かりません。周りの人と走ることで自分のレベルを知ることができたのが、すごく楽しかったんです。それにラリーはひとりでできる競技ではありません。特にコ・ドライバーとの関係は野球のバッテリーに似ているかもしれません。1戦走っただけでも、家族以上の濃い関係を築きますし、そのようなところにも惹かれました」

ーいつ頃までにWRC参戦を考えているのか?
「機会があればいつでもWRCに出たいと思っています。でも、ドライビングに関しては完全にトップレベルとは言えない状況です。そのなかで、全日本選手権、欧州の国内選手権で完走することで、結果を積み上げていきたい。その先にWRCがあればいいと思います」

ー目標としているWRCドライバーは?
「すでに引退されていますが、マーカス・グロンホルムです。小学生の時にラリージャパンを観戦した際にお会いして、ラリーには何が最も重要なのかを聞きました。すると『気持ちだ』と答えてくれました。その言葉を常に心の糧としています」

ー今回の選考課程で最も印象的だったことは?
「一番驚いたのはローイングトレーニングです。カヌーを使ったトレーニングを、フィンランドの若手ドライバーと一緒に体験しました。同世代のフィジカルの基準を知ることができて、本当に勉強になりました。同時に、彼らとの筋肉量や質の違いにショックを受けましたが……。自分の課題として突きつけられましたし、これから伸ばしていかなければならないことだと思っています」

ー昨年は海外ラリーを経験していますが、そこで得たものは?
「昨年、オーストリアの国内選手権に参戦しました。ヨーロッパの道を走るのも、他のチームで走るのも初めてだったので、かなりプレッシャーがありました。コ・ドライバーは父と組んでいたグレン・マクニールさんです。日本と大きく異なっていたのはアベレージスピード。体がコーナーに反応できなくて、シェイクダウンで戸惑ってクラッシュしてしまったんです。日本だとスピードへの反応も反射神経でなんとかなるんですが、海外では対応できませんでした。そこから、ラリーに関する考えをすべて変える必要がありました」

ー今年参戦するラリーでもコ・ドライバーはマクニールに?
「今でもマクニールさんとはSNS経由でアドバイスを頂いています。オーストリア選手権を走ったことでペースノートは大きく進化しました。ペースノートを信用できれば、タイムが必ずついてきます。マクニールさんとは2戦とも一緒に走りましたし、これからも機会があれば組んでいきたいです」

ートミ・マキネンやミッコ・ヒルボネンからのアドバイスは?
「今回のセレクションは自分のレベルを図る機会だったので、ドライビング後に具体的なアドバイスを頂くことはありませんでした。でも、朝食を食べている時にヒルボネンさんやヤルモ・レーティネンさんから色々なお話を聞くことができました。印象に残っているのは、『ペースノートで次のコーナーまで100m以上の距離があったら、情報量は少なくてもいいが、100m以内だったら反応時間が限られているので、その場合はできるだけ細かく理解できる内容で作るように』ということです」

ー今後行われるトレーニングに向けて、自身の課題は?
「僕は20〜30kmの距離の長いステージになると、集中力が落ちてくるタイミングがあります。それは体力面の問題もあるでしょう。自分が集中しているのか理解しながら走ることによって、ミスする確率も減ってくるはずです。今後は自分の体の状態を判断しながら、どのような集中力レベルでラリーに臨めているのか、理解するのが課題だと考えています」

ー英語でのコミュニケーションはできているのか?
「イギリスで1年半ほど暮らしていたので、語学に関してはまったく問題ないと思います。今後は、例えばフィンランドだったらスオミ語のように、現地の言葉でも対応できればと思っています」

ー選考合格後、父(新井敏弘)の反応は?
「電話で父に合格を伝えたら、『ふ〜ん、そう』と言われました(笑)。父は教えるというよりも態度で示してくれる人です。自分の姿を見せて、そこから学べという考え方を持っています。これからも父親の背中を見ながら、いずれは追い抜いていければと思っています」



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