大御所WRCメディア、マーティン・ホームズが、長年の経験に基づく独自の視点で切り込むMartin’s eye。今回は、寒くてジメジメした過酷なコンディションが醍醐味! と多くのドライバーや観客が讃えるラリーGBについて、会期が早まる来年以降の懸念を考察する。
ウェールズ・ラリーGBは、年を取って丸くなったようなラリーとなっていくのだろうか。2018年のWRCカレンダーでは、会期が再び10月序盤となっている。ウエットで、寒く、暗いラリーになるのは、今年のイベントが最後になってしまうのか。
10月中旬は、統計的に見ると英国の気候が晩夏から初秋に移り変わる時期。マッズ・オストベルグは、断固として語る。
「森を抜ける、ディッチや木が並ぶ道で行われる、それが伝統のラリーなんだ。快晴のもと、ドライコンディションの道を走るなんて、想像するだけでも完全に間違っている。ウェールズといえば、雨に霧に泥。それ自体が、素晴らしい試練なんだよ」
レギュラーチームは、自身の意見をより慎重に述べる。
シトロエンは「2005年と2012年には、この時期にラリーが開催されている。伝統とは異なるが、非常に興味深いラリーだ」
ヒュンダイは「GBの天候は、1年のどの時期を見ても予想ができない。だから、10月の上旬になっても、同じ天候を予想する」
イングランドの北部郊外、カンブリアという自然の厳しいエリアに拠点を置くMスポーツは「イベントのキャラクターが変わりそうだという気分は、感じていない。ウェールズの天候はカンブリアと似ているが、10月の上旬でも、どれほどウエットで寒くて暗くて風が強くなることがあるか、身に染みているよ!」
(Martin Holmes)