11月15日(木)から18日(日)にかけて、オーストラリア・ニューサウスウエールズ州で開催される今季WRCの最終戦、第13戦オーストラリア。大御所WRCメディア、マーティン・ホームズによるラリー直前のWRCチーム近況をお届けしよう。
シトロエン
ラリーGBでは、予想外のトラブルは発生しなかった。
オーストラリア戦での試練は、金曜日と日曜日にリピート使用が集中するセクション。部分的には逆走で使用される。また、ステージの路面コンディションも予想が難しい。WRC規定では、マニュファクチャラーチームにはオーストラリアでの事前テストが禁止されているため、今戦に特化したテストは行っていない。シトロエンは、2005年のフランソワ・デュバル以来、ラリーオーストラリアで勝利を挙げていない。
クリス・ミークはスペイン戦までカーNo.7で走行していたが、オーストラリアではカタルニアで使用したマシン(シャシー9)に2度目となるNo.9を付けてのエントリーとなる。ステファン・ルフェーブルはカリッド・アル‐カシミがカタルニアで使用したシャシー7にNo.7を付けてドライブする。クレイグ・ブリーンは、ルフェーブルがカタルニアで使用したシャシー3を使用。
今季一番の思い出として、ミークはメキシコでの勝利を挙げた。最悪の思い出はアルゼンチンを挙げている。
チームは、モンテカルロ向けのテストを12月に始める予定としている。
ヒュンダイ
ラリーGBではパフォーマンスの向上が見られたティエリー・ヌービルが2位でフィニッシュ。チームにとって、ポーランド以来のポディウムフィニッシュとなった。
アンドレアス・ミケルセンにとって、オーストラリアはフォルクスワーゲンからの最後の参戦となった昨年、勝利を挙げた思い出が残る。オーストラリアは、ヒュンダイのWRC活動が始まったイベントとして記憶が残るが、ここでは勝利をまだ挙げていない。オーストラリア戦向けのテストは、行わなかった。使用するマシンはラリーGBと同じ。他チームと同様、遠征イベント用のレッキカーはアルゼンチンからコンテナでオーストラリアに送り出されている。
2017シーズンの一番の思い出は、マシンが路面を問わずに強さを見せたことで、特にアルゼンチンの最終ステージではヌービルが勝利を勝ち取った。最悪の思い出は、シーズン後半の不調。
モンテカルロ向けテストは、12月の1週目か2週目に開始するとのことだ。
Mスポーツ
ラリーGBでは、朗報続きだったMスポーツ。オーストラリア戦での試練は、ウエットからドライまで、ステージのコンディションが幅広く変化すること。フォルクスワーゲン参戦以前の3シーズンは、フォード勢がオーストラリアを制してきた。
オーストラリアではMスポーツ陣営は小規模で、WRカーはGBと同じ3台のみ。R5マシンのエントリーは、カッレ・ロバンペラのフィエスタのみとなる。オーストラリア向けテストは行っていない。通常通り、セバスチャン・オジエは特製のフォーカスのレッキ車を使用。他は、遠征用にコンテナで送り出されたボルボをレッキに使用する。
モンテカルロ向けテストのスケジュールは現状、明らかにされてはいないが、年内中に行われることは確かだろう。今季最高の思い出は、マニュファクチャラーズとドライバーズ/コ・ドライバーズタイトルの獲得。最大のフラストレーションとなったのは、最後の最後でエバンスが勝利を逃したアルゼンチンと、タナックがトラブルに見舞われたポーランドだ。
トヨタ
トヨタ・ガズーレーシングは唯一、オーストラリアは2台体制となる。ユホ・ハンニネンはGB戦がチームからの最後の参戦となり、コ・ドライバーのカイ・リンドストロームはこのオーストラリアからチームのスポーティングディレクターとして活動する。
ヤリ‐マティ・ラトバラはオーストラリアでは過去5年間で3回、2位フィニッシュを果たしているが、エサペッカ・ラッピとともに総合優勝の経験はなく、トヨタがオーストラリアで勝利を挙げたのは、1993年のユハ・カンクネンが最後となる。
チーム代表のトミ・マキネン自身は、三菱時代に2回優勝、ラッピはシュコダから参戦した昨年、WRC2部門優勝を果たしている。ハンニネンは、天気予報ではイベント中に雷雨が発生する可能性を予測していることを伝えている。
(Martin Holmes)