WRCスウェーデンのシェイクダウン後に行われたプレイベントカンファレンスの内容(抜粋)。昨年のスウェーデンでは序盤首位につけながら、カールスタッドのスーパーSSでバリアにヒットしリタイアを喫したティエリー・ヌービル。シェイクダウンでトップタイムを叩き出した後、夜には同じステージに挑むにあたっての気持ちを聞かれ、ユーモアを交えて意気込みを語った。
●WRCプレイベントカンファレンス出席者
マッズ・オストベルグ=MO(シトロエン・トタル・アブダビWRT)
ヤリ‐マティ・ラトバラ=J-ML(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
テーム・スニネン=TS(Mスポーツ・フォードWRT)
ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
Q:マッズ、WRCにお帰りなさい! 所属経験のあるシトロエンに復帰だが、戻ってきた気分は。そして、C3 WRCにどう慣れていくのか。
MO:ここまでのところは、とてもいいよ。マシンでの走り込みはまだ足りないが、このチームに戻ってくることができてうれしい。馴染みの顔、色も同じだし、彼らはフランス語を話して、僕は相変わらず言葉が分からない! マシンは新しいので試練の1つだが、数km乗っただけでとても楽しめたよ。
Q:ポジティブな要素と試練になる要素は
MO:マシンがとてもパワフルなのは、心強い要素。楽しんでいる。ここ数日、チームと過ごした中で気付いたのは、バランスの面だ。以前のマシンでの経験があるので、セットアップを思い切りモディファイさせられる。
Q:いきなりプッシュできるか
MO:テストの後の感触では、その手応えはない。テストでは1日フルには走らなかったので、あまりたくさんはマシンに乗っていない。フィーリングはOKだが、すごくいいというわけでもない。今日の速さには自分が驚いているが、冬には慣れているし得意なラリー。この利点を最大限に活用するよ。
Q:今年はこのチームからもっと参戦することになるか
MO:そう思うよ。今は分からないが、いいラリーができれば、もっと出たい。だからいいラリーにしたいね。
Q:何戦くらい、そしてどのラリーなのか
MO:50戦出たいね! メキシコやアルゼンチンはすでにマシンが埋まっているし、4台目はないが、それ以降がどうなるのか待っているところ。
Q:ヤリ‐マティ、このカールスタッドで初めてWRC勝利を飾って10年だ。10年前のことだという感じはあるか
J-ML:No。10年前、カールスタッドでフィニッシュした時は、トロット競馬場でセレモニーがあった。まるで昨日のようだが、あっという間に10年経ってしまった。毎年、決まった参戦カレンダーに合わせて仕事をしていると、時間が過ぎるのが早いし、年を取るごとにどんどん早くなっていくよ。
Q:去年は、トヨタでの初優勝も飾った。あまりに早い初優勝達成で、サービスパークは信じられないような光景だった。今年も、その魔法を出すことができるか
J-ML:昨年のこのイベントは素晴らしい内容になった。サプライズの勝利だったし、自分も予想していなかった。2017年は開発のシーズンと捉えてマシンを速くするための年で、どのラリーでも勝つことはないだろうと考えていた。でも、ここで勝ち、選手権首位に立ってメキシコを迎えた。シーズン中盤はテクニカルトラブルもあったが、そのすべてを解決した。今回は雪も多く、アイスのコンディションもいい。シェイクダウンでフィーリングをつかもうとしたが、自分はまだお休みモードだったね。明日は調子が出ると思うよ。
Q:今回のスウェーデンは、これまでで最高のコンディションか
J-ML:2010年と2011年はよかった。2010年は、最終日に−20度近くまで下がった。今回は雪が多いが、誰にとっても優しい。これ以上、暖かくならないで欲しいね。そうなると土曜日のコースで氷の形状に影響が出る恐れがあるし、グラベルが出てしまうとタイヤに厳しくなるので、それは避けたい。10年という意味では、2028年がどうなるのか楽しみになりそうだよ!
Q:先日、ユホ・ハンニネンを新しいコ・ドライバーに迎えてイベントに参戦したそうだが
J-ML:彼は、コ・ドライバーとして新しいキャリアを始めたよ。とてもうまくやっていた。彼は今でも僕らとテストをしていて、今年は何日も参加している。コ・ドライバーもできるドライバーをたくさん見たくはないが、彼はコ・ドライバーとしてもいいし、情熱も持っている。でも、彼は今でもドライバーだし、いいコメントをたくさん与えてくれる。先週のイベントでは、こう言ってもらったよ。「ジャンクションのラインがいいね」。うれしいよね。3SSを終えた時点でかなりリードしていたが、ホイールベアリングが破損してフロントタイヤをなくしてしまったんだ。そのステージの後、ユホに言ったんだ。「フィニッシュするぞ!」って。マシンをジャッキアップして、タイヤを見つけて付け直したんだが、ホイールベアリングを直すことはできなかった。
Q:テーム、シーズンの開幕をR5で迎えてWRカーに戻るが、“モンスターマシン”に戻るという感じはあるか
TS:このような本当に速いマシンにまた乗ることができて、本当にうれしいが、戦いはとても厳しいし、ここではいい仕事をしなくてはならない。
Q:昨年はポーランドとフィンランドにWRカーで参戦し、印象的なパフォーマンスを披露した。同じ姿を今回も見ることができるか
TS:そうありたいね。シェイクダウンでは、1回目は慎重に走ったので少し遅れた。もう少しプッシュが必要だったかもしれないが、セットアップはよかった。戦いはタフだし、いいタイムを出すためには常に全開で走らなくてはならない。
Q:雪の経験は
TS:正直、あまりない。スウェーデンは2回参戦し、フィンランド選手権イベントも2回参戦しただけだ。しかし、通常の道では雪が積もっているし、南ヨーロッパから来たドライバーよりは雪には馴染みがある。
Q:ティエリー、今年は素晴らしいウインターコンディションとなった。昨年は見事なペースを見せていた。今日のシェイクダウンでもベストタイム。昨年のような自信を持っているか
TN:同じペースで行けると確信しているが、他のドライバーたちも同じようなペースを出してくると思う。昨年、開幕2戦はとてもいい速さを持っていたが、それ以降はそれほど大きな差がつくことはなかった。接戦になった。さらに緊張が高まったが、今週末も同じようになると思う。トップ争いには5、6人が絡んでくるだろう。その中のひとりでありたいね。
Q:今夜は、昨年悪夢となったカールスタッドのスーパーSSに再び挑む。その場に戻ることについて何か考えていたか、あるいは特に気にならなかったか。
TN:あの1年前以来、スーパーSSで何度もベストタイムを出したので、そのことは気にならないが、同じことをしないようにバリアからはあと3cm離れるようにするよ。
Q:コンディションについてはどう考えるか。
TN:素晴らしいコンディションだ。ここ数年、スウェーデンの雪について話し合わなくてはならないことが何度もあったが、ドライビング面でも、観客にとってもよくなかった。北部にエリアを移し、天候面では少し運もあって、今回は本格的なウインターコンディションになっている。2012年以来の完璧なコンディションと言えるよ。