WRCスウェーデンのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。ラリーリーダーから一転、リタイアに追い込まれた昨年のスウェーデンの記憶もまだ残るなか、安定したラリー運びで今季初勝利をマークしたティエリー・ヌービル。Wポディウムでチームも選手権最下位から首位にジャンプアップし、最高の結果となったこの週末を感慨深く振り返った。
●WRCポストイベントカンファレンス出席者
1位:ニコラ・ジルスール=NG(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
2位:クレイグ・ブリーン=CB(シトロエン・トタル・アブダビWRT)
2位:スコット・マーティン=SM(シトロエン・トタル・アブダビWRT)
3位:アンドレアス・ミケルセン=AM(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
3位:アンデルス・ヤーゲル=AJ(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
マルコム・ウィルソン=MW(ヒュンダイ・シェル・モビスWRTチーム代表)
Q:おめでとうティエリー、見事な週末だった。去年の埋め合わせになったか
TN:去年のことは考えない。今年はまた別。今年はこのイベントでリベンジができたが、2台がポディウムに上がって、とても重要なマニュファクチャラーズポイントを獲得できた。10ポイント以上の差をつけて選手権首位に立つのは初めて(エバンスにペナルティがあったため10ポイント差)。もちろん、リードしたことはあったが、このような形でではなかった。自分たちにとって、本当に重要な週末になった。
Q:選手権首位に立つのは特別なことだが、これでメキシコはややこしいことになる
TN:特別なことだし、あまり慣れていないことでもある。昨年はほとんどの時期で2位に経っていたが、リーダーとなれば、また別。メキシコはタフなイベントになる。そういうゲームだし、それがルール。ポディウムに立つのも難しくなることは分かっているが、楽しみにしているよ。メキシコを終えた時点で選手権首位に立ったままでいられれば、コルシカは特別なイベントになるね!
Q:昨日の午後、差を広げた時はとても自信があるように見えたが
TN:もちろん、自信は高かった。マシンの動きはよかったし、チームは長い間そうしてきてくれたように、僕らを支えてくれた。いいリザルトを狙えると分かっていたが、優勝はタフだと思っていた。初日はコンディションと雪が降ったことで、走行順の早いマシンは大変だった。5番手の自分はハードにプッシュすることができて、違いをつけることができた。特にロングステージは、必死でプッシュした。そこから戦いは、非常に激しくなった。左と右に座っている人たちと、苛酷なバトルになったよ。
Q:今日最初のステージでは少しタイムをロスしたが、そのことで不安になったか
TN:あまり気にしなかった。日曜日の朝の時点でリードしていれば、通常少しはタイムをロスする。慎重になり過ぎたが、すぐに対応した。うまくリードをコントロールしていたし、パワーステージポイントも獲ることができたしね。
Q:ニコラ、いい形でシーズンをスタートできたのでは
NG:ここは完璧なスタートになった。素晴らしい週末だったし、マシンの中でも楽しめた。アタックやプッシュのことが話題になるが、賢明に(安定したドライビングの)規律を目指すこともかなり重要だ。常にトップ3にいたし、ミスもなかった。いい判断だったと思うよ。だって、勝ったんだからね!
Q:コリンズ・クレストについて聞かせて欲しい。ヒヤリとしたのでは
NG:実際のところ、事前に分かっていたことだ。ティエリーには、ペースノートを3つコールした。最初の2つはタイミングに関すること。これはジャンプの前で、最後の1つはジャンプをする時にコールするものだったが、これを読んだ時、自分の目線が上にあった。自分の目が信じられなかったよ。完全に僕側に傾いていた。予想していなかったよ。1秒間驚いて、その1秒後には大丈夫になった。
Q:クレイグ、自己ベストリザルトだが、まったく無理がないように見えた
CB:全部のことが揃った週末だった。金曜日、最初の数コーナーの1つで少し熱くなり過ぎてスタックしたから、次とその次は気をつけて、リズムに乗れるようになった。ある意味、いつも通りだね。マシンの動きはよく、思い切り攻め始めた。ここ数カ月、チームスタッフがグラベルやスノー向けの作業をがんばってくれた。12カ月前とは真逆の内容。マシンは本当にドライブするのが楽しかった。
Q:プレッシャーを抑えるために、ドライビングを楽しんでいたか
CB:そうしようとしたが、時々冷静になって「おっと……」と考えてしまう。でも、その後、また気持ちを取り戻して、気合いを入れた。時速200kmで走っている時、木の間から自分のマシンに向かって手を振っている人がいたんだ。僕の親友だったよ。その後、すごく楽しくなった。このラリーも楽しめるイベントだし、こんなコンディションには、もうならないかもしれない。10年後にはまたなるかな? 誰にも分からない。恵まれたコンディションを活かさないとね。
Q:メキシコに出ないので、次に会えるのはしばらく先になるが、その間は何をするのか
CB:8歳の頃から、毎年何らかのモータースポーツをやっているので、2カ月何もないのは、これまでで一番長いブレイクだね。何をするか、まだ分からない。不思議な2カ月になると思う。最善の位置につけられるようにできることはすべてやるよ。
AM:1年くらい休んでみたら!?
Q:スコット、今日のコンディションはどうだったか
SM:リケナスのステージをとても楽しみにしていた。思い出のあるステージだ。これまでで一番のコンディションだった。ステージの序盤は、それまでの2日間のリズムを目指していたが、クレイグは最初のコーナーからつかんだのでいいタイムを出せた。クレイグは2ループ目を走る前はナーバスになっていたが、自分は逆だった。でも一緒にこの日を終えることができた。
Q:アンドレアスからのプレッシャーは感じていたか
SM:クレイグは、ラリーを通して素晴らしかった。全体として、ミスも本当に小さいものが1回か2回しかなかったと思う。見事なパフォーマンスだった。このコンディションでの小さなミスは、時には痛手が大きいこともあるので、クリーンなラリーになって本当にうれしい。それに昨日の中盤はティエリーとニコラにプレッシャーをかけることができて、よかったよ。
TN:何のプレッシャー? どこかへ行っちゃったんじゃないの? 僕には見えなかったよ!
SM:今年はそのうち来るよ!
Q:アンドレアス、ヒュンダイでの初ポディウムは特別か。
AM:宿題を一つ終えることができてよかった、いい気分だよ。モンテカルロでは少ししかポイントを獲れなかったので、選手権争いに戻れてよかった。でも、少し残念なこともある。今回は、もっと上を狙いたかった。ティエリーとクレイグは素晴らしいパフォーマンスだった。どちらも、見事なドライビングだった。正直、全開で攻められる完璧なフィーリングは、一度も感じられなかった。でも、次のイベントでは何をすればいいか分かっているし、メキシコではまた勢いを取り戻すよ。
Q:どんな改善が必要か。
AM:自分のテストはコンディションが異なり、リアのセッティングをすごくアグレッシブにしてしまった。100%快適ではなかったし、そうなるとステージでアタックするのは難しい。僕もアンデルスも賢明な仕事をした。ミスは1回あったが、それ以外はかなり隙のない走りだった。
Q:メキシコでは走行順が有利だ。
AM:そして、ポイント的にも悪くない。上位との差は小さいし、メキシコでは走行順がいい。来週のテストでは、いいセットアップを見つけたい。
Q:アンデルス、いいラリーになったか。
AJ:とてもよかった。今回のスウェーデンのような道は素晴らしいよ。常にイコールではないとしてもね。タイムのことはともかく、ラリーはすごく楽しかった。決意をしっかり持たないといけない高速ラリーだし、時にはムチャなところもあるけど、アンドレアスはいい仕事をしていた。モンテが残念な結果だったので、ポディウムフィニッシュでそれを吹き飛ばせてうれしい。選手権争いもよくなってきた。メキシコでは走行順6番手なのでいい順番だが、ポイントの面でもポディウムとは僅差だ。
Q:ヒュンダイでの初勝利はもうすぐ見ることができるか。
AJ:たぶんメキシコかな。
Q:ミシェル、マニュファクチャラーズ選手権最下位から一戦で首位に浮上した。最高の気分なのでは。
MN:選手権はまだまだ先が長いが、4位から首位に上がったのは素晴らしい。すべてのクルーがとてもいい仕事をしてくれた。走行順もよかったが、それでも道の上に留まらなくてはならない。ティエリーは見事だったし、アンドレアスもポジションを守り切ってダブルポディウムを達成してくれた。あのモンテカルロの後だったので、とてもよかった。
Q:今日の朝、ヘイデン・パッドンには何か伝えたのか。4位争いが激しくなっていた。
MN:エサペッカとマッズが僅差で追っていて、順位を守るには攻めるしかなかったので、彼にはそれを許可した。エサペッカはとても速く、最後のステージではヘイデンにミスがあった。これでポジションは逃してしまったが、いいタイムも出しており、ベストタイムを2本。このラリーではマシンの中でも快適だったので、我々にはそこが重要だ。
Q:そしてもちろん、メキシコにはソルドが戻ってくる。
MN:もちろん。ティエリーは走行順が先頭だが、これも選手権の決めごと。アンドレアスは6番手で、ダニはさらに後ろなのでとてもいい順番だ。ヒュンダイ勢としては、悪くない。