WRCスウェーデンの最終ステージ。セバスチャン・オジエに選手権ポイントを獲得させるため、より好条件のコンディションを得ようとしてMスポーツ・フォードが採った戦略は、チーム内に混乱を引き起こした。
オジエの目的は2つ。まず、スノーコンディションのパワーステージでいい走りをするためには、できるだけ走行を遅らせることが望ましかった。最終的にオジエは、このステージでセカンドベストタイムをマークし、パワーステージポイント4を獲得した。
しかし、その後にもうひとつ別の目的が控えていた。遅れによりタイムコントロールでのペナルティを受けたとしても、エルフィン・エバンスを抑えて総合10位につけることだ。そうすれば、選手権ポイント1を獲得することができる。
パワーステージ前のSS18を終えた時点でオジエは総合10番手、エバンスは総合11番手につけており、オジエと12番手の勝田貴元には4分16.7秒差がついていた。戦略の焦点は、オジエがパワーステージをスタートする前に、どれだけ待てばいいかということ。つまり、タイムコントロールインのペナルティをどれだけに抑えればいいかということだった。
しかし、主催者が表彰セレモニーのスケジュールが影響することを把握した時点で、オジエは最終ステージの到着コントロールへのチェックインを遅らせるよう、主催者から指示を受けてしまった。これが、さらに混乱を招いた。ラリーの最終コントロールは、パワーステージのフィニッシュ直後。チームは、エバンスがどれだけチェックインを遅らせればいいのか、計算をしなくてはならなくなった。そうでなければ、オジエがエバンスよりも上位でフィニッシュするプランが、失敗に終わる。
結果、オジエは25分の遅れ(4分10秒のペナルティ)とし、エバンスは26分(4分20秒のペナルティ)待たなくてはならなかった。オジエは総合10位でフィニッシュし、パワーステージポイントと合わせて5ポイントを獲得。しかしエバンスは、勝田、ポンタス・ティデマンド、オーレ・クリスチャン・ベイビーより後ろの総合14位にまで後退することとなった。
(Martin Holmes)