4月15日(日)にドイツ・ニュルブルクリンクにて、本年のNBR 24時間レースの予選レース(6時間レース)が行われ、STIチームから出場したSUBARU WRX STIレースカー(カルロ・ヴァンダム/ティム・シュリック)は、駆動系トラブルのためリタイヤとなった。
前日の14日(土)に練習走行と公式予選が行われ、晴れて暖かい天気だったと思えば夜半には雨が降り、一夜明けると気温は10度前後と低く、朝のフリー走行は雨でフルウエットという状態。しかし、6時間の予選レースが始まる頃には晴れ上がり、路面もドライとなる。今回の予選レースではトラブルが次々と発生した。まずは、エキゾーストの排気音量が規定の130dbを超えているという指摘をオフィシャルから通告された。そのため、エンジンのシフトアップポイントを300回転下げての走行を強いられ、目標ラップタイムの9分以内達成は、かなり難しい状況となった。
6時間のレースが始まると、今度はタイヤの外側は全く摩耗せず、内側だけにダメージが残る現象が発生。カルロ・ヴァンダムからは、アンダーステアがどのコーナーでも出るとの指摘が。辰己監督は、「これまでと全く違うインプレッションだったので、驚きました。しかし、確かにタイヤ内側のダメージは顕著だったので、何が原因かを考えました。思い当たったのは、ブレーキを強化するためトレッドを広げたことです。これによって、サスペンションの上下動に影響が出て、さらにはギアボックスやAWDシステムにまで影響がおよび、いままでになかったような挙動に変わっていったと考えました。そうすると、カルロの発言や起きている現象すべてに合点がいきます。予想外のタイヤのダメージはタイヤ本体の問題ではなく、クルマ側のセッティングの問題であることがはっきりしました」と語る。
そして、レース終盤には本年の24時間レース用に新調した新仕様のギアボックスが壊れ、チームはレース続行を断念した。辰己監督は、「今年のトランスミッションは、操作性の改善やシフトショックの低減などを狙ってチャレンジしたミッションだったのですが、どうもその改善点が壊れた原因を導いていそうです。幸いにして、実績のある昨年仕様のギアボックスも新品を用意して来ているので、本番の24時間レースは2017年仕様で走ることになるでしょう。ギアレシオもローギヤード設定から昨年セットに戻るので、音量への影響も減りそうです。今回出たトラブルは、どれも予想していなかったものでしたが、それが今回発見できたこと。これが最大の収穫でした。24時間レースで発生していたら、クラス優勝は達成できません。そういう意味では、良いテストができたと思っています。もちろん、20日のテストまでにトラブルの対策は完了する予定です」とコメント。
次回は4月20日にニュルブルクリンク・テストデーに参加する。朝から夕方まで長時間の走行枠が設定されており、ここで24時間レースに向けたSUBARU WRX STIのパフォーマンス確認テストを実施する予定となっている。ドライバーは、山内英輝と井口卓人の2名がノミネートされている。