スウェーデンのワークショップであるMパートABが、電力のみのラリー車開発を進めていることを明かした。MパートABは、R5規定に準拠した仕様の三菱ミラージュを製作し、昨年はAPRCフル参戦に挑んでラリー北海道にも登場したことで記憶に新しい。
このフル電気自動車のラリー車「ミラージュR5e」は、2015年から開発を進めてきているという。R5仕様ミラージュの設計でありMパートABのオーナーでもあるトーマス・ウェンは、電子メカニカル技術の経験も豊富だということで、オール電化のラリー車、及びラリークロスバージョンのマシンのプランを2年以上も前から暖めてきたという。
「ミラージュのラリー仕様の設計を行っていた時点で、電気自動車バージョンを製作しようといつも考えていた。これがR5eと呼んでいるものだ。自動車業界がどの方向へ進んでいくかは明らかに見えていたので、燃料、PHEV、そしてオール電化と、様々なエネルギー源で走るマシンを作ることは実に理にかなっていた」とウェン。
「最も大きなチャレンジは構造ではなく、バッテリーと充電、それを得ることのできる容量だ。それでも、作り手はどうにかして始めなくてはならないし、この技術が開発されていくことは重要なことなので、代替燃料とパワープラントから前に進むことができた」
ウェンは、このミラージュR5eは2つのモーターを搭載することになると明かしている。1つはフロント、もう1つはリヤに置き、両方を合わせて250kw/600Nmを発電し、メカニカルディファレンシャルを経由してパワーに変換するという。
「技術のほとんどは既に存在している。このため、そのまま変換するような形になる。すべてがうまく行けば、9月までにはプロトタイプを完成させられると思う」とウェン。
「EVラリー車だけのクラス、あるいはEVラリー車だけのイベントが登場する日も遠くないと信じている。ラリー関係者の中には、その状況を受け入れたくない人がいることも分かっている。しかし、我々にはこれしかないし、モータースポーツやこのビジネスの中で生き残っていきたければ、技術と手を組んでいくべきだと思う」とウェン。