世界ラリークロス選手権第3戦のファイナルが5月13日、ベルギーのメテで開催され、チーム・プジョー・トタルのセバスチャン・ローブ(プジョー208)が優勝を飾った。2位はPSRXフォルクスワーゲン・スウェーデンのペター・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロR)。ローブのチームメイト、ティミー・ハンセンが3位に入り、プジョー勢がダブルポディウムを達成した。
ファイナルはドラマチックな展開となった。2016年王者で今季は世界RXに専念しているEKSアウディ・スポーツのマティアス・エクストローム(アウディS1)は、ジョーカーラップを最終ラップまで残し、フィニッシュライン寸前で選手権リーダーのヨハン・クリストファーソン(ポロR)をかわし、4位に食い込んだ。クリストファーソンは5位に留まったが、選手権首位を維持している。選手権争いでは、9ポイント差でローブが浮上。チームズ選手権ではPSRXフォルクスワーゲン・スウェーデンが首位を堅守している。
「ここで優勝できて、とにかくうれしい。長い間、挑んできた。簡単なことではなかったし、バトルはいつでも張りつめていたしレベルも本当に高いので、達成できて最高」とローブは、プジョーがワークス支援を始めた今季、最初の勝利への喜びを明かす。
「チームのみんなのためにも本当にハッピー。今年は新しいチームだし、その初勝利をもたらすことができて、とてもうれしく思う。マティアスはファイナルの前に既にジョーカーに入っていたと思っていたので、2位で戦っていた。そして最後のコーナーになって彼がジョーカーに入ったので、自分が勝った。勝てるとは思っていなかったので、信じられないような気分だよ」
2位に入ったソルベルグは、ラップ1の時点ではチームメイト同士でサイドバイサイドになり、4番手につけていた。そのクリストファーソンも、第1コーナーでは左側のみ2輪での走行になる場面も。
「本当にタフな週末だった。昨日は順調でラッキーもあったが、今日は午前中は雨になったので、冷えたコンディションの中でいいスタートを切るのがトリッキーだった」と語るソルベルグは、ファイナルのスタートで最も速く反応したドライバーに贈られるモンスターエナジー・スーパーチャージ賞も受賞した。
「ファイナルの最初のコーナーでは、何が起きたのか分からなかった。4番手につけていてジョーカーに入ったが、正直、全開で攻めていたし少しリスクも負った。本当に接戦だったが、それでもポディウムに上がれてとてもハッピーだよ」
25歳のハンセンは、今季初ポディウムを飾った。セミファイナルのレース2では接触があり最後尾にまで下がったが、見事に挽回してこのレースで3位に食い込みファイナルに進んだ。ファイナルでは、一時2番手にもつける好走で、最終的に3位でのフィニッシュを果たした。
「ファイナルではすごい場面があった。転倒するかと思ったが、何とか次のコーナーまで持ちこたえた。絶対に壊れただろうと思うほどだったが、それでも無傷でセバスチャンの後を走り続けた」とハンセン。
「自分は6番手からスタートして、最初のコーナーを出る時にはセブの後ろで2番手につけていたんだから、面白いよね。ファイナルでは、ずっと彼を追った。一緒にジョーカーに入って、その後、僕らの間にペターが入った。セブが優勝してさらにダブルポディウムと、チーム・プジョー・トタルは達成感に満ちあふれているよ」
6位に入ったのは、EKSアウディ・スポーツのアンドレアス・バックラッド。ファイナルラップまで、チームメイトのエクストロームとバトルを展開した。 ファイナル進出まであと一歩に迫ったのは、GRXタネコのニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20)と、チームSTARDのジャニス・バウマニス(フォード・フィエスタ)で、いずれもセミファイナルのレース1、レース2で4位に終わった。
地元ベルギーの人気ドライバー、フランソワ・デュバルは、ComtoyouレーシングのアウディS1で参戦したが、中間リザルト13位とセミファイナル進出まで1歩届かなかった。
世界RXベルギー ファイナル結果
1 S.ローブ(プジョー208) 4:05.108
2 P.ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロR) 4:05.555
3 T.ハンセン(プジョー208) 4:06.910
4 M.エクストローム(アウディS1) 4:07.068
5 J.クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロR) 4:07.203
6 A.バックラッド(アウディS1) 4:08.139