WRCラリーポルトガルのスタート前に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。来季ヌービル獲得の噂が流れるMスポーツ代表のウィルソンは、ヌービルの力量を評価した上で純粋な一般論であることを強調。同じ質問を受けたヌービルもそれを明確に否定した。またシェイクダウンで転倒したオストベルグは元気な姿を見せた。
●WRCプレイベントカンファレンス出席者
セバスチャン・オジエ=SO(フォルクスワーゲン・モータースポーツ)
マルコム・ウィルソン=MW(MスポーツWRT、チーム代表)
マッズ・オストベルグ=MO(シトロエン・トタル・アブダビWRT)
ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・モータースポーツ)
Q:
セバスチャン、選手権リードを維持してこのイベントを迎えるがアルゼンチンはチームとして残念な結果だった。問題を特定して解決することはできたのか。
SO:
そのはずだ。終わったことであるのは確かだ。もう過去の話。チームは解決するために取り組んできたし、彼らが解決策を見つけたと心から確信している。だからもう再発はしない。
Q:
ポルトガル北部のステージは10年以上ぶりだ。ここまで見た感じでは、何を思ったか。
SO:
とてもいい感じだ。新しいステージや、新しいラリーに挑むことが僕は好きだ。ステージの印象はとても美しく、主催者に感謝したい。ラリーのためにステージ設定など、よく準備を進めてくれた。南部と比べると、路面はソフトで、1ループ目と2ループ目では路面が悪化する。レッキは新しいノートを作るのにかなり忙しかったが、それはみんなも同じだし、こういうのは僕は好きだ。
Q:
タイヤ戦略は変わるか?
SO:
もちろん。ソフトはピークに早く到達するが、距離や気温のことも考えなくてはならない。その対応が必要だ。2週間前にここでテストをした時は雨だったから、過去の他のラリーでの知識に頼らなくてはならない。一番手で走行するから、リスクもある。
Q:
先頭走行でも何度も勝っているのだから、それほどディスアドバンテージではないのでは。
SO:
言うのは簡単だが、いつだってディスアドバンテージを抱えている。すごく乾いているから、いまの段階で不利になることは目に見えている。このことについて話し合ったり、ストレスを感じることに意味はない。選択肢はないんだから。不利を跳ね返すために、より速く走らなくてはならないし、タイヤ選択についてもよりアグレッシブになる必要がある。たぶん、この週末もね。
Q:
マルコム、新型フィエスタRS WRCは、今戦から実戦デビューだ。シェイクダウンの内容には満足か。
MW:
現地に入るまでは、どうなるかは分からない。シェイクダウンは順調だった。いい兆候はある。エルフィンは2回目の走行でベストタイムを更新したし、オットは4番手タイムでシェイクダウンを終えた。自信は十分に持ってるし、まだシェイクダウンではあるが、自分たちが超えてきたステップアップが目に見える形で現れるのは、チームにとってもいいことだ。エルフィンは、新しいイベントでは通常4,5秒の差がつけられているが、今回はそうではなかった。ここからは、彼らの仕事だ。
Q:
改善されたところはどこか。
MW:
外観はまったく同じだが、エンジンは生まれ変わり、ギアボックス、ディファレンシャルも変更を施している。電子系も新しい。つまり、新しいECUということだ。そのすべてを行うために、重量配分も変更することになた。冷却システムは、後方にずれた。しかし、大きなステップアップはエンジンだ。
Q:
ドライバー陣の、ここまでのパフォーマンスはどうか。今年、結果を出さなくてはならないプレッシャーはあるのか。
MW:
まったくない。今年の戦略が変わることは、全くない。新型マシンと、彼らがもう少し経験を積むことで、シーズン後半はポディウム争いに絡んでいけたらいいと思っている。しかし、プレッシャーはまったくかけていない。エルフィンはいい仕事をしているし、オットはここではいい位置でスタートする。
Q:
来季のドライバー市場について話すのは少し気が早いが、先日、来季に向けてティエリー・ヌービルを獲得したいとプレスにコメントしていた。このことについては。
MW:
この場にふさわしい質問ではないね。特に、契約が胸の内にあるような時にはね! このことについて、隠すことはなにもない。ティエリーが在籍中はいいシーズンを過ごしたのは事実だし、マニュファクチャラーの支援が復活したら、また彼のサービスができるようになるといい、と言っただけだ。彼がどういう状況なのかは分からないが、私のチームで彼はいい仕事をしてくれたし、先のことは誰にも分からない」
Q:
注目しているのはティエリーだけか。
MW:
私は常に全員に注目している。
Q:
今回の出席者の中で一番年上で、もちろん一番ハンサムではあるが! 北部のステージのことも知っている。どう考えるか。
MW:
私が参戦していた時代でも素晴らしいステージだったし、このイベントでは観客がとても多く集まり応援もすごい。2ループ目はマシンに厳しくなるだろう。過去もそうだった。前回、ここで行われた時(2001年)は異常気象で、うちのカルロス(サインツ)とトミ(マキネン)がリタイアした。この週末はドライのままであって欲しいね。
Q:
マッズ、シェイクダウンは何が起きたのか。
MO:
転倒した。それ以外に言うことはないよ。予定通り全開で行ったら何かに接触して、2回転半した。まさに目が覚めたよ。
Q:
マシンは無事か。
MO:
サイドで着地したから、少し上ってマシンの外に出た。それからマシンを押してタイヤで着地させたんだ。転倒したようには見えないよ。新品同然。
TN:
ラリーにも、いい兆候なんじゃない?
MO:
もしかしたらね。本当によかったよ。シェイクダウンの後に、こんなにハッピーな気持ちになったことはないね。
Q:
ティエリー、Mスポーツとの噂はどういうことか。来年、チームを移るのか。
TN:
ここ数日間で、事態はかなりクリアになっていると思うよ。間違いなく、来年はヒュンダイに残る。チームには2年いるし、一緒にいろいろなことを築き上げてきた。時間はかかっているかもしれないし、予想よりも苦戦しているけど、2016年に向けての展望は上々だ。新しいマシンも投入されるし、とても期待している。マルコムとは、いつも楽しく話をしているし、彼もいつでも電話をよこしてくる。色々なことを話し合っているよ。
Q:
アルゼンチンの最終ステージ、ミケルセンがクラッシュしたという情報は入っていたか。
TN:
もちろん聞いてはいたが、彼がクラッシュした所の前は、右コーナーだと思っていた。次のコーナーに入って、驚いたよ! すごくスピードが出ていて、すぐに左コーナーなんだと理解した。それで止まってしまったんだけど、それもラリー。そのまま走行を続けて、次のコーナーに集中した。
Q:
新規イベントではいつも調子がいいが、今回も楽しみにしているか。
TN:
新しいノートを作ったし、誰にとっても新しいステージだ。ここまでベストを尽くしてきたし、かなりいいイベントでステージも予想していたより格段にいい。グリップはそれほど高くないが、走行順が6番手だから、アドバンテージになるんじゃないかな。
Q:
何が一番難しくなるか。
TN:
タイヤ選択を当てるのは難しくなるだろう。ソフトタイヤは16本だが、みんな限度いっぱい使おうとすると思う。でも、新しいイベントだから、サプライズもあるかもしれない。ラフになるかどうかも、走行順が後になればよくなるのかも分からない。この週末は、勉強になることが多くなりそうだ。