WRCラリーポルトガルは5月19日、デイ3に設定されたSS10〜15の6SSを走行し、前日から首位に立ったティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)がリードを39.8秒に拡大した。ライバルにアクシデントが続出している今戦で、選手権タイトルの可能性拡大に向けて、総合首位で最終日を迎える。
デイ4に設定されるのは、比較的短いステージ5本のみ。選手権リーダーのセバスチャン・オジエがデイリタイアを喫して上位争いから離脱しているため、ヌービルがこのままトップでフィニッシュできれば、2月以来となる選手権首位に再浮上する。
この日のコンディションは前日よりも穏やかになり、今イベント最長となる37.60kmのアマランテのステージでも、ヌービルは走行に集中することができた。ループの前半ではタイヤを温存し、アマランテでアタックしたヌービルは、このステージで2回とも総合2番手につけるエルフィン・エバンス(フォード)を引き離すことに成功した。
「マシンに余裕を感じられた。特に長いステージだね。ここで差をつけたいと思ったが、2回ともそれができた。まだ終わってはいないが、最高の週末になりそうだよ」と語ったヌービルは、ウエットとなったこの日最後のステージでは、ハードとソフトのコンパウンドを組み合わせる手堅いタイヤ選択を行った。
一方のエバンスは、この日、ヌービルよりも多い2回のステージウインを獲得し、ポジションを固めていった。2回のアマランテでは自信を得ることに苦戦したというが、3番手のダニ・ソルド(ヒュンダイ)には17.4秒のマージンを築いている。
そのソルドは、この日最初のステージ後にi20クーペWRCのサスペンションセッティングを硬めに変更したが、最終ステージでスピンを喫し、テーム・スニネン(フォード)に詰め寄る隙を与えてしまった。両者の差は4.7秒にまで縮まっている。スニネンはこの日、活き活きとした走りを見せており、5番手で追う同郷フィンランドのエサペッカ・ラッピ(トヨタ)との差を維持し続けた。この若手2人はこの日を通して秒差の攻防を続けており、11.1秒差で最終日を迎える。
6番手は大きく離れて、マッズ・オストベルグ(シトロエン)。マディなコーナーで足下を執られてバンクに乗り上げ、1分近くをロスした。しかし、チームメイトのクレイグ・ブリーンは、この日はサンディなステージを先頭から走行しなくてはならず、さらに1分40秒の差をつけられている。
ふたりのチームメイト、クリス・ミークは悔しい一日となった。SS12で高速左コーナーでワイドに滑り、バンクに強打し林に突っ込んでしまったのだ。マシンはダメージを受けリタイアとなったが、クルーに怪我はなかった。
WRC2部門はポンタス・ティデマンド(シュコダ)がトップで、総合でも8番手につけている。トミ・マキネン・レーシングから参戦している新井大輝(フォード)は部門5番手を走行中だ。
競技最終日は、5SS・51.53kmの構成。名物ジャンプが控えるファフェは2回走行し、2回目はトップ5にボーナスポイントが与えられるパワーステージに指定されている。オープニングのSS16は日本時間5月20日16時35分にスタートする。
WRCポルトガル SS15後暫定結果
1. ティエリー・ヌービル ヒュンダイi20クーペWRC 3:16:30.0
2. エルフィン・エバンス フォード・フィエスタWRC +39.8
3. ダニ・ソルド ヒュンダイi20クーペWRC +57.2
4. テーム・スニネン フォード・フィエスタWRC +1:01.9
5. エサペッカ・ラッピ トヨタ・ヤリスWRC +1:13.0
6. マッズ・オストベルグ シトロエンC3 WRC +3:14.1
7. クレイグ・ブリーン シトロエンC3 WRC +4:53.1
8. ポンタス・ティデマンド シュコダ・ファビアR5 +12:52.7
9. ルカシュ・ピエニアチェク シュコダ・ファビアR5 +14:12.1
10. ステファン・ルフェーブル シトロエンC3 R5 +15:00.4
12. 新井大輝 フォード・フィエスタR5 +15:46.9