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全日本ラリー久万高原:今季4人目の勝者は新井敏弘

©Naoki Kobayashi

全日本ラリー選手権第4戦久万高原ラリーはすべての競技を終えて、スバルWRX STIの新井敏弘/田中直哉が初日のリードを広げて2018年シーズン初優勝を達成した。2位は奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションⅩ)、僅差の3位には勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が入っている。

競技最終日となる5月20日(日)も前日同様快晴に恵まれ、ラリーはスタートした。最終日はSS7〜SS12の6SS、28.14kmで争われる。一部のSSでは前日走行したコースを逆走方向に走行する区間もあるため、路面が荒れていることが予想された。

初日をJN6クラス首位で終えた新井は、この日のオープニングステージSS7で幸先の良いベストタイム。続くSS8でも一番時計をたたき出し、追いすがる奴田原を突き放しにかかる。スタート時点で18.2秒だったふたりの差は24.8秒に拡大していた。しかしギャラリーステージのSS9で、新井のマシンに初日と同じブレーキラインのトラブルが発生したため、奴田原のタイムよりも7.0秒遅れてフィニッシュ。この段階でふたりの差は17.8秒に縮まった。昼のサービスを挟んだSS10は奴田原、SS11は新井、最終SSのSS12は奴田原と、両者一歩も退かぬ走りを見せたものの、新井は再び奴田原との差を広げ、最終的には22.4秒差で新井が今シーズン初勝利を獲得した。また、この日は3番手につけていた勝田が上位タイムを並べ、一時は2番手の奴田原に3秒差と迫る好走。レグ2首位となりレグポイント3点を獲得してみせた。これでJN6クラスは4戦を終えて4人目の勝者が誕生。選手権はあと6戦残されており、誰が勝ってもおかしくない状況が続きそうだ。

新井は「ようやく勝てた。今日のレグポイントを獲れなかったのは、今後のことを考えると少し厳しいかもね」とコメント。今回のラリーではブレーキラインが切れるトラブルが2度起きており、今後グラベル連戦に向けてトラブルの種は完全に消しておきたいところだ。

小濱勇希/草加浩平(シトロエンDS3 R3-MAX)と横嶋良/木村祐介(プジョー208 R2)の一騎打ちとなっていたJN5クラスは、小濱が逃げ切り勝利。小濱は「クルマとタイヤのポテンシャルを引き出しきれていない自分がもどかしかったです。ただ、最後まで横嶋選手と戦ったことで、全開で走り続けることができました。そのおかげで、色々分かったことがありました。やはりラリーは本番を全開で走らないと、分からないことがたくさんありますね」とコメントしている。前日、マシントラブルでレグ離脱を喫した眞貝知志/安藤裕一はこの日もトラブルに見舞われることに。眞貝は「競技スピードで走ることがほとんどできませんでしたが、足まわりやエンジンなどのポテンシャルは感じることができました」と語った。

JN4クラスは前日からのリードを保ち、曽根崇仁/澤田耕一(トヨタ86)が今シーズン初優勝。2位には終盤で再逆転を果たした上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)、3位には新車で参戦した高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)が入っている。曽根は「とにかく道が悪く、パンクを避けるように走りました。なんとかノートラブルで走ることができて良かったです。モントレーのグラベルは初めてなので、まずは上位入賞を目指して、マシンをしっかり準備したいです」と、次戦に向けての意気込みを語った。

JN3クラスは「クルマを労わるのが大前提なんですが、遅くすればいいというわけではないので、本当に難しいです」と語っていた天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)が貫録のフルポイント勝利。クラス2位には、今季初出場となった大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)、3位には0.2秒差で岡田孝一/多比羅二三男(マツダ・デミオ)を下した藤田幸弘/藤田彩子(マツダ・デミオ)が入っている。「タイム的には悪くないラリーだったと思います。ラリー進行関係のトラブルもあったので、もうちょっと気持ちよく戦いたいですね。モントレーも頑張りたいと思います」と今季も向かうところ敵なしだ。

2台が生き残ったJN2クラスは、TGRラリーチャレンジからステップアップ参戦した長﨑雅志/秋田典昭(トヨタ86)が全日本選手権での初勝利を達成した。2位は青木拓磨/桝井和寛(トヨタ86)。長﨑は「色々なことがあったタフなラリーでした。完走できたのは、ひとつ大きな成果だと思います。全日本3戦目で勝てたのは、運が良かったとしかいいようがないです。今回グラベルで色々と試すことができましたが、次のモントレーもまずは完走を目指します」と喜びのコメント。全日本ラリー初参戦となる青木は「これまでラリーレイドなどにも参戦してきて、荒れた路面は経験してきましたが、一般車両ベースのラリーはやはり違いますね。このような環境で鍛えられることで、市販モデルも改善されていくのだと感じました。私は足がまったく動かず、運転補助装置を使って手だけで運転しています。そんな私が入賞や表彰台に上がれるところまで来られました。もっとドライビングの精度を上げて、また全日本選手権に挑戦したいです」と、今後への意欲を語っている。

古川寛/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ)が初日のリードを守り切って今季2勝目を挙げたJN1クラス。順位は前日と変わりなく、2位に伊藤隆晃/大高徹也(日産ノート)、3位に小川剛/佐々木裕一(ホンダ・フィット)が入っている。古川は、「自分が知っている四国とは違うタフなイベントでした。かなり荒れていました。でも、クルマのことを考えなければ、嫌いじゃないステージですね。モントレーはグラベルよりも、その中にあるターマックセクションが少し心配です」と、ラリーを振り返った。

次戦は6月7日(木)〜10日に群馬県嬬恋村で開催される「MONTRE 2018」。2012年の復活以来、グラベルラリーとして開催されるのは初めてのこととなる。

Sammy久万高原ラリー 正式結果
1. 新井敏弘/田中直哉 スバルWRX STI JN-6 1:09:23.0
2. 奴田原文雄/佐藤忠宜 三菱ランサーエボリューションX JN-6 +22.4
3. 勝田範彦/石田裕一 スバルWRX STI JN-6 +25.5
4. 柳澤宏至/加勢直毅 スバルWRX STI JN-6 +1:22.9

8. 天野智之/井上裕紀子 トヨタ・ヴィッツ JN-3 +8:02.2
9. 曽根崇仁/澤田耕一 トヨタ86 JN-4 +8:06.9
10. 小濱勇希/草加浩平 シトロエンDS3 R3T-MAX JN-5 +8:44.7
14. 古川寛/廣田幸子 スズキ・スイフトスポーツ JN-1 +9:55.5
25. 長﨑雅志/秋田典昭 トヨタ86 JN-2 +13:21.3



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