WRCイタリアのシェイクダウン後に行われたプレイベントカンファレンスの内容(抜粋)。選手権リーダーとしてイタリア戦を迎えるヌービル。砂利掃き役を背負う金曜日は降雨が予想されていることに、長年“ロードクリーナー”を務めながら一度も雨に恵まれたことがないオジエは軽く恨み節だ。
●WRCプレイベントカンファレンス出席者
ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
セバスチャン・オジエ=SO(Mスポーツ・フォードWRT)
ヤリ−マティ・ラトバラ=J-ML(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
マッズ・オストベルグ=MO(シトロエン・トタル・アブダビWRT)
Q:ティエリー、このラリーイタリア・サルディニアは選手権リーダーとして迎える。一日中、雨が降っていたが、雨ごいでもしていたのか。シェイクダウンはどうだったか。この雨で、明日の走行が少し楽になると思うか。
TN:レッキでコンディションを見ていたが特に驚くこともなく、ここまではそれに応じた準備をしてきたが、走行順が一番となれば状況はとんな場合でもいつもとは違う。もちろん、いずれにしても自分がそれをやらなくてはならないので、雨は期待していたが今のところはよさそうな感じだ。それでも砂利は掃かなくてはならないが、明日は少しはコンペティティブに行けるアドバンテージも得られるかもしれない。
Q:このコンディションのおかげで明日の午前はタイヤチョイスに悩まされそうだが、どれくらい難しくなりそうか。
TN:様子を見なくてはならない。夜はゆっくり寝て、明日の午前、実際のコンディションがどうなっているかによる。天気があっという間に変わることもあるからね。
Q:ラリーポルトガルの後は、どんな気分だったか。
TN:いい感じだ。コンペティティブな手応えをつかんでいることが重要。僕らはマシンもいいし、自分も使いやすさを感じている。ポルトガルはよかったし、今回もいいパフォーマンスを見せられることを楽しみにしている。前回よりもポディウムを狙うのさえ難しくなると思うが、だからと言っていいラリーができないという意味でもない。ミスをせず、週末を通して安定感を維持できれば、選手権に重要なポイントを獲得することができる。
Q:初日としては明日が最も難しくなるのでは、とみんなは言っているが同感か。
TN:みんな、最初のステージの事を言っているんだと思う。トゥーラは今年、改訂されている。興味深いステージだが、あっという間にロスしやすい。ジャンクションが多いので、ブレーキングポイントを間違えやすいんだ。だから試練だね。11台が好タイムを目指してプッシュする。どこかで誰かがミスをすることになるんじゃないかな。
Q:セブ、常に先頭走行を背負っていたが一度も雨に降られたことはない。なのに、Mr.ヌービルの番になると、明日は雨だ。自分にとっても有利になるか。
SO:ティエリーが自分よりも雨ごいがうまかったのは、間違いないね。自分は長年やってきたが、一度も成功しなかったよ! 走行順2番手にとっても、雨は有利になるかもしれない。いずれにしても厳しいし、コンディションがどうなるか、しっかり確認するしかない。
Q:主催者は今年、ステージ設定に変更を加えたが、どのドライバーも明日はタフになると言っている。同感か。
SO:もちろん。明日はすごく摩耗が激しいステージがある。距離はそれほど長くないが、タイヤキラーのセクションになることは、みんな承知している。もし湿っていればチョイスは簡単だ。もちろん、ソフト寄りになるだろう。でも、ソフトではうまくいかないセクションがあることも分かっているので、過去とは違うパターンになる。もちろん、ハッキリ言えることは何もないが、このことでよりエキサイティングになるし、ベストのチョイスをするための駆け引きが生まれる。このイベントをスタートするのを楽しみにしているし、ポルトガルがあの結果に終わったので、いい形でリスタートしたい。
Q:ポルトガルでノーポイントに終わり、自信は打ちのめされたか。
SO:直後はフラストレーションがたまった。速さもあったし、先頭走行にも、うまく対応できていた。ただ、小さなミスが大きなコストにつながってしまい、ポルトガルはノーポイントで終わってしまった。選手権争いの面では悪い結果だが、まだシーズンは折り返しにもかかっていない。この週末を終えて、ちょうど半分だ。まだ心配する段階ではない。これもゲームの一部だ。モータースポーツでは時にはこういうことも起こることは承知している。幸い、僕の場合は過去にあまり経験せずに済んだだけ。今は全てのことは忘れて、先のことだけを考えている。
Q:ヤリ−マティ、ここから運気が上がることを期待したいが、サルディニアについてはどう感じているか。
J-ML:好きなイベントだよ。初めて来たのは15年前だ。ここの道はナローで石が多く、自分が好きな、正確にマシンを操らなくてはならないタイプの道。いいリザルトを出したいね。
Q:ポルトガルの後、ヤリスのサスペンションの強さについては、いろいろな話が上がった。このことについて何か話せることはあるか。今回のラフイベントについては、どう懸念しているか。
J-ML:レッキでは、道の両側を丹念に気をつけて、カットを見つけていた。2回止まったが、1回目は実は石を動かすためだった。7つも動かしたよ! ということで、少なくとも多少の準備はしたので心配する必要はない。ノートはうまく作れたし、激しい衝撃から守るために、マシンの車高も上げた。
Q:サスペンションが悲鳴を上げることはないと考えているのか。
J-ML:今は心配していない。もし、道に残ってさえいれば、大丈夫なはずだ。よりアグレッシブに行けば、ヒットすることもあるし、衝撃を受けることもある。もちろん、サスペンションには厳しい道だが、こうしたイベントでは自分はアグレッシブに攻めるし、限界までマシンをプッシュする。だから、そのことに関して言えば、自分は変える努力はした。
Q:長年、コレと決めた方法でドライブしてきたのに、スタイルを変えるのは難しいのでは。
J-ML:もちろん、一晩で変えるのは難しい。ポルトガルで違う方法でドライブをする時間を取ったし、フィンランドでも続けて行く。基本的にはエンジンのテストだったので、セットアップについては気にかけず、走行を重ねることに専念してアグレッシブを押さえるようにすることに集中していた。
Q:マッズ、これまでシトロエンから何戦も参戦してきた。C3にはどれだけ慣れたか。今回は、どこまで期待していいか。
MO:何戦か出たことはとても役に立ったし、戦いのレベルも高いので、家のソファでノンビリしていた身としては、速くなるのは簡単じゃないね! マシンで何kmも走り込まなくてはならないし、できるだけ速く学んでマシンに慣れようとしていたし、マシンを自分に合わせるように努力してきた。ポルトガルが終わった後、マシンの作業を行う時間があったのはとても助かったし、今はマシンの居心地のよさも深まりつつある。このラリーはとても好きだし、今回は週末を満喫しながら、ポルトガルで行ってきたことに重ねて行きたい。
Q:マシンのどんな部分について作業していたのか。
MO:マシンのフロント部分にかなり手を入れた。ドライバーもドライビングスタイルも違う。現状、マシンは今、あまり自分向きにはなっていないので、もう少し自分に合わせてマシンのバランスを変える必要がある。2日間テストを行って、かなり満足しているし、自分の思うようにマシンを走らせられている。このイベントでマッチしてくれるといいね。
Q:今回がシトロエンから予定している最後のWRC参戦になると思うが、チームの状況はこの数週間で変わっており、クリス・ミークはもう参戦しない。自分のWRC参戦が追加される可能性は。
MO:可能性が出てくることは間違いないが、誰にとっても同じように簡単な戦いではない。自分の能力をチームに証明しなくてはならないし、自分にとってもすごく重要なことだ。サルディニアは既に予定されていたので何も変更はなかった。参戦するためにここに来たので、シトロエンの関係者に自分の力を証明するためにいい週末にしなくてはならない。今は、自分のベストを出すしかない。チャンスを活かすよ。
Q:今は何のプレッシャーも受けていないようだが。
MO:プレッシャーは常にあるが、そのことで引き締まるのだと思う。今回はプレッシャーを楽しもうと思っている。チームからはさらにプレッシャーをかけられていることは承知しているし、自分にはそれに対応できるスキルがあると思いたいね。