WRCイタリア戦で激しい首位争いを演じたセバスチャン・オジエ。パワーステージではドラマチックな展開となったが、その1本前のステージでは別のドラマが起きていた。珍しいTCカードのミスであわやポイント剥奪かという可能性もあったが、ポイントはそのまま。WRC6連覇を目指すセバスチャン・オジエの挑戦は、首の皮一枚つながった。
オジエとコ・ドライバーのジュリアン・イングラシアは、SS19のフィニッシュTCで、TCカードを受け取らないまま出発してしまい、そのことがイベントスチュワードに報告された。オジエ/イングラシア組のTCカードは、オィット・タナックによってパワーステージ前のリグループで受け渡された。しかし規定では、クルーは第三者からの物品を受け取ることを禁止しており、これに抵触する。
この案件を調査したスチュワードは、このラリーでオジエ/イングラシア組が獲得した22ポイント、Mスポーツ・フォードが獲得した18ポイントを剥奪した。しかし、このペナルティは執行猶予がつき、同クルーがシーズン終了までに同じミスを繰り返した場合にのみ執行される。クルーには別途、1万ユーロ(約130万円)の罰金が科された。
この裁定の結果、オジエは同ラリーの勝者であるティエリー・ヌービルに27ポイント差の選手権2番手で、残り6戦を迎える。
聴取でイングラシアは、自身のミスを認めている。イングラシアは、TCカードをマーシャルから受け取らないままステージフィニッシュを出発してしまい、ミスに気付いた時には、マシンでも自分の足でも戻るには遅過ぎたと語っている。
スチュワードはこれは純粋なミスで、フォード・フィエスタのパフォーマンスに影響を与えるものではないことは容認した。