WRC第8戦フィンランドは7月27日、前夜のオープニングステージに続いてこの日、本格的な戦いが幕を開けた。トミ・マキネン・レーシングからエントリーするTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの3人も、昨年よりナローで厳しさを増したフォレストステージに挑んだが、いずれもリタイアを喫するという厳しい幕開けになっている。
最初に犠牲となってしまったのは、コ・ドライバーとしてフィンランド人ドライバーのヤルコ・ニカラとのコンビで参戦している足立さやか。木曜日のSS1はまずますのタイムを刻んでいたものの、金曜日のひとつ目となるSS2、10km地点でコースアウトしてしまった。このステージを何度も走ったことのあるというニカラだが、今回はコーナーに立てられるポールがいつもよりはるかにイン側あることをペースノートには記していたものの、オーバースピードで曲がりきれず、コースオフしてスタックしてしまったのだ。初めて臨むラリーフィンランドで「絶対に完走」を目標にしていた足立も、いきなり見舞われたアクシデントに無念さを隠せない。
「(このステージの)経験が多すぎたために、いつものラインを通ろうとしたんだと思います。R5に乗り慣れていないというもの大きかったと思うんですが……。そこまではまずまずだっただけに残念です」
ニカラ/足立組のクルマのダメージは小さく土曜日、ラリー2での挽回を期す。
「シュコダ勢はクルマ的にも速いですが、その下のフッツネン(ヒュンダイ)、ルーベ(シトロエン)とは同じようなタイムなので、まずはそこをターゲットにしていきたい」とさらに上を目指していく意気込みだったが、ひとつ順位を上げて臨んだSS8、ウーリアの再走でジャンプの着地の際、パワステが壊れてその先でクラッシュしてしまった。
「150km/hくらいで全開で飛ぶところだったので、何もできなかった。まだまだタイムを上げられてフッツネンといい戦いができそうだと思っていただけに、あんなかたちで終えることになって悔しい」と勝田。マシンのダメージがひどく、再走も難しいためラリーを諦めることとなった。それでも、「一発ポンと速いだけじゃなくて、ある程度安定して速いタイムで走れたという自覚はありますし、いいパフォーマンスを出せたかなと思います」と気丈に前を向いた。
新井大輝も、トラブルとは無縁ではなかった。SS1の序盤でバリアにヒット、ステアリングを痛めてタイムロスしていたのに加え、この日、ふたつ目のSS3ではリヤを滑らせてコースオフ。ディッチにはまってしまう。観客に助けられて再走はしたものの、上位争いから早々に脱落してしまった。
「もしかしたら、ステアリングにダメージを受けた影響があったのかもしれませんが、朝のひとつ目から左コーナーの時だけバランスがおかしかった。スタックした後も、右リヤサイドにダメージが残っている感じで、乗れなかった」と語る。午後のステージはアライメントを調整し直してクルマのフィーリングは上がったものの、ふたつ目のSS7で右フロントをパンク。さらにはSS9でもパンクに見舞われ、スペアを1本しか積んでなかったためにステージフィニッシュ後に万事休す。
「トラブルが起きてしまうと、何が原因でリズムに乗れないのかが分からないのですごくストレスが溜まります。今日は先行車に追いついて埃でタイムロスしたり、タイムコントロールで止まっていて後続にぶつけられたりと、普通に走れたステージがひとつもなかった。明日はなんとかクリーンに走りたいです」とニカラ/足立組同様、ラリー2からの出直しを誓っている。