世界ラリークロス選手権は、8月4‐5日に今季初めてとなるヨーロッパ外での遠征イベントを、カナダのトロワリビエールで迎える。
7月上旬に開催されたスウェーデン戦から1ヶ月のブレイクを挟み、世界シリーズのチーム陣営はシーズン後半戦に備えてきた。シリーズが創設された2014年からカレンダーに組み込まれ、今季は第7戦を務めるトロワリビエール戦のコースは、元々のストリートコースに、ヒッポドローム隣接部のセクションが組み合わされている。
ディフェンディングチャンピオンのヨハン・クリストファーソンは、ここまで6戦中5勝をマークし、選手権争いでは40ポイントのリードを築いて第7戦を迎える。しかし、ライバル勢もこの勢いを止めようと、全力で挑んでくるのは必至だ。
選手権2位につけているEKSアウディ・スポーツのアンドレアス・バックラッドも今季は好調で、シーズン前半は全戦でファイナルに進出し、安定してポイントを重ねてきた。トロワリビエールでは2016年に2位に入っており、このコースでの戦い方も熟知している。
選手権争いで2人を追うのは、世界RXで2回王者に輝いているクリストファーソンのPSRXフォルクスワーゲン・スウェーデンのチームメイト、ペター・ソルベルグ。チーム・プジョー・トタルのセバスチャン・ローブとチームメイトのティミー・ハンセン、バックラッドのチームメイト、マティアス・エクストロームまでは、5ポイントしか差がなく、シーズン残り4戦での順位の変動は大いにありえる。
ソルベルグは、初開催のカナダ戦で優勝を飾っているほか、昨年もポディウムに上がっている。今季は不運にも見舞われているが、ここで今季初勝利に向けて意欲を高めている。7月には、ラトビアのリガでフォルクスワーゲン・ポロRのテストを敢行した。
「前戦スウェーデンから、とてもいい時間を過ごした。リガでのテストは順調で、マシンに細かな改良を行うことが出来たので、カナダでも活かされると思う。もう、ポロRスーパーカーの開発では大きく前進できる部分はないと思うが、コースに併せてそれぞれのソリューションを見つける作業を行っている。シーズン後半戦は、キャラクターがかなり違うイベントなので、最初のセットアップから最大限のポテンシャルを確実に発揮できるようにしなくてはならない」
チーム・ハンセンは2年前にトロワリビエールを制しており、ローブも今季初勝利を虎視眈々と狙う存在だ。
「スウェーデンは、プジョー208WRX EVOの初戦だったが、もう少しいい結果を期待していた。簡単なことではないが、これがラリークロスだ。テストは順調に進んだが、実戦のことは実戦でないと確信は持てない。カナダでは、この手応えを確認していくことが目標だが、自分の考えでは優勝争いができると思っている」
「でも、一年の中でも屈指のロングストレートを誇るコースなので、とにかく始まってみないことには。昨年はエンジンパワーが少し足りなかったので、最初のコーナーで後ろになってしまうことが多かった。今年のレースでは、最新のテクニカル面での改良、特にエンジン面での改良がパフォーマンスに表れてくれると思う」
そして、2016年王者のエクストロームも、今季はまだ勝利がなく、同じ目標を抱いているはずだ。
5月のシルバーストン同様、このカナダ戦もアメリカズ・ラリークロス選手権(ARX)が併催となっている。ケン・ブロック、スコット・スピード、タナー・ファウストの他、地元ケベック出身の元F1チャンピオン、ジャック・ビルヌーブもエントリーしている。