ラリーGB最終日のコースはカーディフの西側エリア、ポート・タルボの周辺に広がる3本のステージを各2回走行する計6SS。マディなコンディションとなることが予想され、ミシュランはソフトコンパウンドを推奨し、ほとんどの選手がそれに従った。
首位のヤリ-マティ・ラトバラは前日までに2位ペター・ソルベルグに24.5秒差をつけており、あえてリスクを負って攻める必要はない。
激しいバトルを展開したのは、2位ソルベルグと彼を6.4秒差で追う3位セバスチャン・ローブのふたりだ。最終日のコースとシトロエンの相性は良い。自信をもって全開アタックを敢行したローブはSS14、SS15と2ステージ連続でベストタイムを記録。SS15でついにソルベルグを抜き2位に順位を上げた。続くSS16はラトバラが最速で駆け抜け、ローブと3位ソルベルグとの差は2.9秒に開いた。
「逆転したいがクラッシュですべてを失うわけにはいかない」と、慎重な姿勢を示していたソルベルグだが、再走ステージの1本目となるSS17では会心の走りで2位ローブに3.2秒差をつけるベストタイムを記録。わずか0.3秒差ながら総合タイムでローブを上まわり2位に返り咲いた。
続くSS18では負けじとローブがベストで2位の座をソルベルグから奪取。0.1秒差で3位までにポイントが得られる最終のSS19を迎えた。
かつてラリーGBのファイナルステージでタイトルを争ったローブとソルベルグだったが、ローブは力強い走りでミッコ・ヒルボネンに次ぐ2番手タイムをマーク。対するソルベルグは4番手タイムに終わり逆転に失敗。0.9秒届かず、フォードの1-2フィニッシュは叶わなかった。
「最後の最後までどうなるかわからなかった」と、マシンから降りてきたローブ。後方からソルベルグが歩み寄り「負けたよ。すごいバトルだった」と、ローブを笑顔で祝福した。新旧世界王者の2位争いは、今回のラリーGBのクライマックスにふさわしい名勝負となった。
優勝はラトバラ。SS3から他を寄せ付けず、圧倒的なスピードで勝利を手にした。
総合4位はエンジンにトラブルを抱えながらも何とか最後まで走りきったマッズ・オストベルグ。5位にはミッコ・ヒルボネンが入った。6位はエフゲニー・ノビコフ、7位はティエリー・ヌービル、8位は怪我から久々に復帰のマシュー・ウイルソン。6位を走行していたオィット・タナックはSS17でサスペンションを石で破損しリタイアとなってしまった。