現在、TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラムで武者修行に励む勝田貴元と新井大輝のふたり。ラリーフィンランドを終えたあと、TOYOTA GAZOO Racing WRT協力のもと、グラベルコースでWRカーのテストを行った。TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジの公式サイトには、その時の様子とふたりのコメントが掲載されている。一部を抜粋しよう。
勝田貴元:本当に楽しかった! というのが、率直な感想です。クルマの動き、反応の速さ、エンジンのパフォーマンスなど、初めてR5カーに乗った時もすごいと思いましたが、やはりそれ以上でした。怖さよりも、楽しいという気持ちの方が遥かに強く「こんな動きをするんだ、こんなに自由に振り回せるんだ」と、嬉しくなりました。とにかくクルマの動きのレベルが非常に高く、今回自分が乗って感じたレベルよりも、限界は遥かに高いところにあると思います。そして、その領域に迫れば迫るほど幅は狭くなり、より完璧な操作が必要になっていく様な気がしました。ヤリスWRCを完全に乗りこなすためには、自分のドライビングをさらに変えないといけない、やるべきことはまだまだ多いと強く感じましたね。 新井大輝:あまりにもうれしすぎて、乗り終わってからもしばらく心臓がドキドキしていました。こんなに興奮したのは久しぶりです。驚いたのは、まったく乗りづらさがないということ。本当に乗りやすいクルマでした。乗っているうちに、どんどんと乗りこなせていく。クルマから「こう動かして欲しい」と教えられているような感じがして、その通りにクルマを動かしてあげると、どんどん気持ちよく走れるようになる。クルマと対話をしているように感じられました。R5カーと比べると、パワーやトルクがある分だけクルマの姿勢をコントロールしやすいとも思いました。ヤリスWRCは、こんなにも乗りやすく楽しいクルマなのかと驚きました。一体どこまで行けるのか、今はまだ分からないし、それを知りたいですね。いつか、このクルマでラリーを走りたいとあらためて思いました。 将来的に自分たちが運転する可能性があるヤリスWRCを、自らの手で直接走らせる。例えばこれは、かつてトミ・マキネンやコリン・マクレーがF1マシンをドライブしたような「テスト」とは意味合いが違う。ヤリスWRCは、ふたりの若者が歩む道の延長線上に直結するものだからだ。実戦でなければ到達できない領域があるのはもちろんだが、短いセッションでもマシンの持つポテンシャルの片鱗は感じられたはずだ。五感をとおしてつかんだ感触は、R2、R5とステップを経てスピードを磨いてきたふたりにとって、これまでのマシンでは気がつかなかった新たなトビラを開くきっかけにもなるだろう。当初発表された今シーズンのTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジでの参戦は、残すところあとひとつ。来週の8月31日〜9月1日にかけて行われるフィンランドラリー選手権 第6戦 Enset Oy SM-Ralliだ。ひとつ上の世界を知った勝田貴元と新井大輝、そして足立さやかの3人がどのような戦いぶりをみせるか注目だ。