ラリー最終日となった8月26日の日曜日は早朝の降雨によりコースは全体的にウエットコンディションとなった。最終日は全部で3本、計65.89kmと走行距離がかなり短い。
前日までに2位ヤリ‐マティ・ラトバラに1分42秒9という大きな差をつけていた首位セバスチャン・ローブは「リスクを負う必要はまったくない。ただコースアウトしないよう気をつけて走るだけだ」と、余裕のコメントを残しオープニングのSS13をスタート。それでもトップタイムを刻み、2番手タイムのラトバラとの差は1分52.6秒とさらに広がった。ラトバラは、走行中にボンネットがばたつき開きそうになったことから、若干のペースダウンを余儀なくされた。そして、ラトバラに少しでもプレッシャーをかけたかった3位ミッコ・ヒルボネンは、スタートでエンジンがストールし大幅にタイムロス。そのためトップ3のタイム差は拡大した。
そして迎えた最終ステージはトリアー市街地でのスーパーSS。ユネスコ世界遺産指定のポルタ・ニグラの周囲を、走行するミニサーキット的なレイアウトのコースだ。そして、ボーナスポイントがかかるこのステージを誰よりも速く駆け抜けたのはローブだった。ローブは優勝の25点にボーナス3点を加えたドライバーズポイント28点を獲得。通算9回目となるドイツ優勝を果たした。
「今年は雨が多くとても難しかったが、ミスなく最初から最後までリードできた。ますますこのラリードイチェラントが好きになったよ」と、ローブは上機嫌で喜びの言葉を語った。2位はラトバラ、3位のヒルボネンはパワーステージ2番手タイムで2ポイントを追加獲得。総合4位にはマッズ・オストベルグが入り、今回がMINIでの初戦となったクリス・アトキンソンが殊勲の5位を得た。
来季WRカー参戦のトレーニングを兼ねてシュコダ・ファビアS2000で出場したフォルクスワーゲン・チームは、セバスチャン・オジエが6位、アンドレアス・ミケルセンが7位。ミケルセンは非力なS2000マシンでありながらもパワーステージで3番手タイムを刻み、初めてのボーナスポイント1点を獲得した。