WRCラリートルコのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。シーズン序盤は酷暑でのエンジン冷却への課題が浮き彫りになっていたトヨタだが、想像以上に低速イベントとなったトルコでの厳しさと、それを乗り越えて1−2を決めた結果に勝者のタナックは自信を見せた。
●WRCポストイベントカンファレンス出席者
1位:オィット・タナック=OT(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
1位:マルティン・ヤルベオヤ=MJ(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
2位:ヤリ‐マティ・ラトバラ=J-ML(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
2位:ミーカ・アンティラ=MA(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
3位:ヘイデン・パッドン=HP(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
3位:セブ・マーシャル=SM(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
トミ・マキネン=TM(トヨタ・ガズーレーシングWRTチーム代表)
Q:オット、選手権の新イベントは信じられないラリーになった。金曜日の時点では、上を目指すことはないだろうと誰もが思っていた君が優勝した。これで3連勝。戦況は一変し、タイトルの可能性も変わってきた。今の気分は。
OT:すごく疲れた。今季の中で、最大のチャレンジだった。思っていた通りタフなイベントになったね。このようになるとは予想していなかった。トラブルなく終わるかどうかは、クジのようなものになることが多い。ラリー2やステージで止まることなくマシンがフィニッシュできたのは、チームの大健闘だ。金曜日は、あまりいい流れではなかった。速さを出すのに苦戦していた。ちょっとストレスが溜まったが、最速のドライバーが勝つイベントではないことは、イベント前から分かっていた。自分の速さを維持し、少しずつ上げて行った。
Q:今日最初のステージのフィニッシュで、ヤリ‐マティはスローダウンしていないと思ったと語っていた。トミは、2人が賢明な走りをすることを望んでいた。ヤリ‐マティからのプレッシャーは感じていたのか。
OT:賢明な形でのプレッシャーだったと信じているよ。自分たちは、パワーステージのためにタイヤをキープしていた。チームとして1−2フィニッシュだったので、とてもハッピーだ。
Q:完璧なリザルトで、これで世界タイトルへの希望も広がった。今は、このことについてどう感じているか。
OT:これで土俵に上がったし、この点に集中しなくてはならない。チーム全体が落ち着きを維持して、この先迎えるイベントへの作業に専念しなくてはならない。今はスピードがないし、戦いに残りたければ改良を続けなくてはならない。この先のイベントはまた違う試練になる。チームのみんなはとてもモチベーションを高めている。どんなことも可能だと確信している。上位争いに慣れ始めたが、ペースはまだ足りていないという難しい状況。今回は今季の中でも最も速度の出なかったイベントだと思う。でも1−2フィニッシュできたし、チームにとって歴史的なリザルトだ。人生、そんなことも時には起こる。この流れを続けていかなくてはならない。サルディニアのようなイベントでは弱点を抱えていたが、エンジニアが改良してくれた結果が見られてよかった。今回のイベントは、間違いなくマシンにとって一番厳しかった。
Q:マルティン、見事なリザルトだ。金曜日夜の状況から、この結末を想像できていたか。
MJ:もちろん、いつだってあきらめていないよ。賞品(ヨットでの休日)は最高。これに魅かれたわけじゃないけど、ボーナスだね。オットも言ったように、金曜日は苦戦していた。自分たちのリズムに徹して、それがうまく行った。
Q:これで、世界チャンピオンになれると思い始めたか。
MJ:そうだね。
Q:ヤリ‐マティ、素晴らしいドライビングで2位フィニッシュ。今回の内容には満足か。
J-ML:とてもハッピーだ。オットも言ったように1−2フィニッシュだからね。チームの歴史の中でも初めてだと思うので、格別だ。始まった時から、一貫性を保ちリスクを負わないことが鍵だった。プランがうまくいったよ。このラリーは、少しモンテカルロのようだと言えるかな。モンテでは、アタックすれば大きな差が生まれるが、それにはリスクも伴う。ここも同じことが言える。ハードにプッシュしすぎれば、すぐに痛い目に遭ってしまう。
Q:金曜日は、ステージフィニッシュでタイムを見て、なぜこんなに遅いのか首をかしげる場面が見られた。その状況は変わったか。
J-ML:1km当たり1秒も遅いステージもあった。どうしてそんなタイムになってしまうのか、理解できなかった。走行順は自分たちの方がよかった。自分は何か間違っていたのだと悟った。とはいえ、セブやティエリーのパフォーマンスがアメージングなステージもあった。今回、自分はあの速さにはついていけなかった。昨日、カイ・リンドストロームと話をして、彼がトミと話をした。この状況は、今回が初めてではない。個人的には、自分の選手権は既に終わっている。お互いに争うのはリスクがあるし、自分もこの状況は理解している。これは、ゲームの一つの形だ。スピードを落とすのは、集中の面でもトリッキーだ。遅く走ってしまうと、すぐに集中力が削がれていると感じる。
Q:ミーカ、君には豊富な経験がある。独特なチャレンジという意味で、今回のイベントは他と比較してどうだったか。
MA:レッキの後にも言ったが、このようなイベントは見た事がない。すごくラフだった。通常はギリシャと比較できる。でも、路面は固い。轍ができて、あちこちにルーズな石がたくさん転がっている。金曜日、2回目のロングステージは、全くクレイジーだった。本当にラフだった。トラブルなしで走り切れたマシンは、表彰ものだよ。
Q:ヘイデン、3位でポディウム。今回のイベントはどうだったか。
HP:速く走れるラリーが待ち遠しいよ! 今日は、ものすごく遅く走らなくてはならず、苦しかった。同時に、マシンを労るためにはこのアプローチでなくてはならないことも分かっていた。自分たちはプラン通りに走った。
Q:来季もチーム残留を希望しているが、続報はあるか。
HP:今はドライブすることに専念しているし、話をしているところ。またフル参戦に戻りたいのは当然だ。全戦に参戦しないのは、ここでは不自然。自分が目指しているのは、一貫性を取り戻すこと。自分たちはもっと速くなれると信じているよ。
Q:セバスチャン、カレンダーの新しいイベントだ。どんな経験になったか。
SM:全く新しいラリーに挑むのは、いつでもいいものだよ。全てが新しいステージで、全員が同じ経験値で戦うのはビッグチャレンジだ。選手権に新しいイベントを迎えるのは、素晴らしいことだよ。
Q:そしてポディウムフィニッシュだ。
SM:この場に戻ってこられて、うれしいよ。昨年のオーストラリア以来だ。今回は信じられないようなチャレンジだった。まさに、ウサギとカメだったよ。最終的に、自分たちの戦略が結果につながった。
Q:トミ、トヨタが1-2で、マニュファクチャラーズ選手権はいい流れだし、ドライバーズ選手権はオットが抜き出ているようだ。大成功の週末だったのでは。
TM:文句なしに素晴らしいし、ドライバーたちには心から感謝している。見事なラリーをしてくれた。今回はビッグチャレンジになると分かっていたし、その通りになった。ステージはとてもテクニカルだったが、彼らは一切ミスをしなかった。チームも冷却システムの問題を解決できたようだし、今後に向けて大きな自信になった。
Q:この週末から学んだことは。
TM:自分たちは、ルーズでロッキーなステージではあまりテストを行ってこなかった。ほとんどが暑いコンディションだったが、このイベントはラフで、路面が固かった。こうしたコンディションで、もっと集中的な作業を行って対策を見つけなくてはならないだろう。
Q:2018年、オットがタイトルを獲得できると信じているか。
TM:残る3戦を考えれば、今はとてもいい流れになっているようだ。シーズン終盤は、とてもエキサイティングになると確信している。ここからの3戦は、全開バトルを目にすることになるだろうね。
メディア席からの質問
Q:オット、今季の残る3戦のイベントは、自分が強いイベントだと思うか、強さに欠けるイベントか。
OT:今、自分たちはどのラリーでもいいパフォーマンスを出せている。次はどうかな。