9月14(金)~16日(日)、2018年シーズン全日本ラリー選手権(JRC)第8戦「RALLY HOKKAIDO」が、北海道帯広市を拠点として行われ、TOYOTA GAZOO Racingの眞貝知志/箕作裕子組(TGR Vitz GRMN Rally)はSS4でコースアウトし、リタイアを喫した。
モータースポーツの厳しい環境の下で「人を鍛え、クルマを鍛える」ことを目的に、2018年の全日本ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racingは、第7戦「MSCCラリー in いわき」でコンスタントに好タイムを記録し、今シーズン初勝利を達成した。チームは、走行距離が長く、速度域の高いラリー北海道のSSに合わせてギヤ比を変更するなど、車両に改良を施して挑んだ。
アジア・パシフィックラリー選手権(APRC)が併催されるラリー北海道は開催規模も大きく、車両やドライバーへの負荷も非常に高いラリーだ。チーフメカニックの宮本昌司は「前戦で勝利しましたが、チームが浮き足立っていることはありません。クルマを鍛えるという意味で、ラリー北海道はとてもいい機会ですし、胸を借りるつもりで頑張ります」と、意気込みを語っていた。
ラリー初日に行われた札内川河川敷での短いSSに続き、2日目から本格的なラリーがスタート。眞貝選手は慎重な滑り出しで、JN5クラスの4番手を走行していた。ところが、今大会の最長距離、28.75kmのSS4でドラマが起こる。スタートから2km地点の左コーナー手前で予想外にクルマが跳ね、そのままコントロールを失い横転。車両が大きなダメージを受けたため、チームはラリーからのリタイアを決断した。
豊岡悟志(チーム監督)
「本当にラリーは厳しい戦いだと実感しています。前回優勝したことで、チーム全体がいい流れでラリーに挑めていたので、とても残念です。ラリー北海道はスピード域が他の大会とはまったく違います。ちょっとした事態が、トラブルやアクシデントにつながります。幸い、ドライバーとコ・ドライバーにはケガがなく、安堵しています。どのラリーでもそうですが、必ず課題や学びが見つかります。同じ状況は二度とありません。ですから、そのなかで起きる事態にどう対処すべきなのかがラリーの醍醐味だと思います。これはラリーの現場でしか得られない貴重な機会です。今回得た課題を経験とし、次戦につなげていきたいと思っています」
佐々木良典(GR開発統括部)
「ハイスピードのラリー北海道を走ることを受けて、ギヤ比を見直すなどクルマを改良して挑みました。今回のリタイアに『思わぬところに落とし穴があるのだ』と、痛感しています。厳しいラリーだと理解していましたが、想定や想像を超えた事態がラリーでは起こります。まだまだ我々の知らない世界があるということです。グラベルラリーで熟成を続けてきた結果、低速域の操作性も良い評価を得ています。しかし次戦からの舗装路ではまだ良い結果を残せていません。高速域でのハンドリングをさらに良くしていきたいですね」
眞貝知志(ドライバー)
「とても残念な結果となってしまいました。今回はタイムを追求するのではなく、必ずフィニッシュまでクルマを運ぶことを目標にラリーを進めようと考えていました。SS3まではコ・ドライバーとのコンビネーションを考えながら、堅実な走りができていました。SS4は距離も長くハイスピードなコースですし、危ない箇所にはペースノート上に“コーション”を入れていましたが、コースアウトしたコーナーには入れていませんでした。レッキの段階から、もっと気をつけて危ない箇所にチェックを入れる必要があったのだと思います。次戦は久々のターマックラリーです。グラベルラリーが続いてきた間、TGR Vitz GRMN Rallyは熟成がかなり進んでいます。いい戦いができると思っていますし、久々の舗装ラリーを走るのが楽しみです」
RALLY HOKKAIDO JN5クラス最終結果
1. 川名 賢/キャシー・デュロッソウ(シトロエンDS3 R3-MAX) 2:01:11.1
2. 小濱 勇希/馬場 雄一(シトロエンDS3 R3-MAX) +4:12.3
R. 眞貝 知志/箕作 裕子(TGR Vitz GRMN Rally)