WRC最終戦オーストラリアはすべての競技を終えて、トヨタのヤリ‐マティ・ラトバラが今季初勝利を飾った。これでトヨタは1999年以来となるマニュファクチャラーズタイトルを確定。ドライバーズチャンピオンは5位でフィニッシュしたセバスチャン・オジエ(Mスポーツ・フォード)が6年連続で制することとなった。
この日、戦いの舞台となったのはSS19〜SS24の6SS。3SSを2度ずつ走行する83.96kmだ。オープニングのSS19を制したのはヤリ‐マティ・ラトバラ。タナックはリスクを避けてSS4番手タイムをマークし、静かなスタートを切った。オジエやヒュンダイのティエリー・ヌービルも、ドライとウエットが入り混じる難しいコンディションのなか、慎重な走りでステージを駆け抜けた。続くSS20ではヒュンダイのヘイデン・パッドンがベスト。ここでタナックはコースオフを喫してしまい、リバースギヤがスタックした影響でタイムをロスしてしまう。代わってラトバラが5秒差で総合首位に立つこととなった。タナックとパッドンの差は12.6秒と、残りのステージ数を考えると油断はできない。午前中最後となるSS21はトヨタのエサペッカ・ラッピが一番時計。ラトバラとタナックは同タイムでのフィニッシュのため、差は縮まらず。一方タナックとパッドンの差は14.6秒に拡大した。 ラリーが動いたのは午後のオープニングとなるSS22。ラトバラはペースを緩めることなく再びベストタイムをマークし、タナックとの差を6.3秒に拡大する。ここではオジエとチャンピオンを争っていたヌービルがコースアウトしバンクにヒット。ダメージが大きく、リタイアを余儀なくされてしまった。そして続くSS23。再びラトバラがベストタイムを刻みペースを上げていくなか、なんと今度はタナックがリタイアを喫することに。コースアウトを喫し、観客の助けを借りたもののステージには復帰できず、競技続行を諦めることとなった。この段階でライバル2名が脱落したオジエとジュリアン・イングラシアのドライバーズ/コ・ドライバーズタイトル6連覇が決定したこととなる。これにより上位陣は首位ラトバラ、2番手パッドン、3番手にオストベルグ、4番手にラッピ、5番手にオジエというオーダーとなった。首位ラトバラと2番手パッドンは32.1秒離れており、ラトバラにとってはグッとラクになったと言えるだろう。 戦いの焦点はマニュファクチャラーズチャンピオンへと移された最終パワーステージ。このSS24を制したのはセバスチャン・オジエ。SS2番手のラッピを0.1秒で抑え、今季最後のパワーステージでベストタイムを刻んでみせた。ラトバラは無事に走り切り、シーズン最終戦にして初勝利を獲得、自身にとって18度目のWRC勝利を達成している。これによりトヨタにとっては1999年以来となる4度目(93年、94年、99年)のマニュファクチャラーズタイトルを決めた。順位に大きな変動はなく、2位にはパッドン、3位にはオストベルグが入っている。これでWRCは2018年シーズンの日程をすべて終え、短いシーズンオフへ。2019年シーズンは1月24〜27日にかけて開催されるラリーモンテカルロで幕を開けることとなる。様々なドライバーのシャッフルによって勢力図は描き換えられるのか。その答えは2カ月後には出ているはずだ。
WRCオーストラリア 暫定結果
1. ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ トヨタ・ヤリスWRC 2:59:52.0
2. ヘイデン・パッドン/セバスチャン・マーシャル ヒュンダイi20クーペWRC +32.5
3. マッズ・オストベルグ/トルステイン・エリクセン シトロエンC3 WRC +52.2
4. エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム トヨタ・ヤリスWRC +1:02.3
5. セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア フォード・フィエスタWRC +2:30.8
6. エルフィン・エバンス/ダニエル・バリット フォード・フィエスタWRC +3:05.1
7. クレイグ・ブリーン/スコット・マーティン シトロエンC3 WRC +8:59.0
8. アルバート・ヘラー/ホセ・ディアス フォード・フィエスタR5 +22:28.5
9. スティーブ・グレニー/アンディ・サランディス シュコダ・ファビアR5 +27:01.8
10. ジョルダン・セルディリディス/ララ・バネステ フォード・フィエスタWRC +35:14.1