2018年全日本ラリー選手権JN6クラスチャンピオンの新井敏弘が、新型トヨタ・スープラのプロトタイプをテストドライブした。場所は千葉県袖ケ浦市の袖ケ浦フォレスト・レースウェイだ。
トヨタのスポーツカーにおいてフラッグシップといえる存在のスープラが復活する。ワールドプレミアは2019年1月に行われるアメリカ・デトロイトモーターショー。すでにレース仕様車はVLN(ドイツ・ニュルブルクリンク耐久選手権)への参戦を行っているほか、英国のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードやTOYOTA GAZOO Racingフェスティバルなどの国内イベントでも、マスキング仕様の車両が走行を披露している。
サーキットでの試乗を終えた新井は、次のように印象を語っている。
「ちょうど86/BRZの兄貴分という感じだね。エンジンパワーがあって、シートポジションはかなり低い。クルマに乗ってシートポジションを上げたのは初めてだよ(笑)。8速ATはツインクラッチみたいなレスポンスとダイレクト感があるし、ハンドリングもすごくいい。足はやわらかいんだけど、接地感があってとても良くできているクルマじゃないかな。重心高の低さと前後の重量バランス(50:50)が効いていて、コーナリングでもアンダーステアはあまり感じられない」
開発陣は『直列6気筒とFRレイアウトを軸にして、車両と一体になって楽しさを感じられるクルマを目指した』とのこと。詳細な数値については取材段階では明示されなかったが、ホイールベースは86/BRZよりも10mm短い2470mm。重心高は86/BRZよりも低く、前後重量配分は50:50だという。実際の車両を目の前にすると、よりコンパクトな印象を受けるはずだ。ボディ剛性は86比で約2.5倍となり、レクサスLFAをも上まわる数値をマークしているという。さらに、リヤアクスルにはアクティブデフを搭載しており、0〜100%の間でロック率を自在に変化させる。これによりアクセルのオンオフに関係なく、状況に応じて最適なロック率を選んでニュートラルなステア特性を実現した。
直列6気筒+ターボの3ℓエンジンは、わずか1600回転で最大トルクを発揮するセッティングとなっており、駆動力は8速ATを介して後輪に伝えられる。いわゆるツインクラッチは重量の観点から搭載していない。また、将来的にマイナーチェンジでのMT追加も視野に入れているとのことだ。
「ノーマルのままでミニサーキットを走っても十分楽しいね。ブレーキは音を上げないし、コントロールしやすい。たとえば自走でミニサーキットまで行って、走行を楽しんで自分のクルマで帰る。そんな楽しみ方もこなせるんじゃないかな。これで安ければ言うことないけど(笑)、面白いクルマだね」と新井はコメントしている。