ラリーの初日は6月22日(金)、オークランド南西のエリアに計8本のSSが用意された。リモートサービスの置かれるラグラン周辺は雲が多いが、時々青空が広がる安定した天気に恵まれた。しかし路面は数日間にわたって降った雨でかなり濡れており、所々に大きな水たまりが広がるほど。
トップ争いを展開したのはシトロエンのふたりだった。SS2でラトバラをかわし首位に立ったヒルボネンは、ローブと僅差のバトルを展開。早い出走順が奏功したことに加え、タイヤ選びでも正しい選択を行なった結果だ。ミシュランはメインタイヤとしてハードコンパウンドをノミネート。しかし、雨でマディなコンディションとなった時のために1台あたり10本のソフトコンパウンドを用意。シトロエン勢は2台ともソフトを4輪に履かせてステージに送り出した。果たして、初日に関する限りシトロエンの読みは完全に当たりヒルボネンとローブは速いペースを保ち続けた。
ラトバラはソフトタイヤを選んだものの、泥だらけの路面に苦戦。午後のSS7では、2速の低速コーナーを大きくカットしたが前輪が穴に落ちてスピン。進行方向を修正しコースに戻ろうとマシンを振ったところ、民家のフェンスにボディが当たり、フェンスのワイヤーが右前輪に絡みついた。アクセルオンでワイヤーを外そうと試みたラトバラだが、ワイヤーは完全にタイヤに巻きつき身動きが取れない状況となってしまった。異変に気がついた民家の住人がカッターでワイヤーを切りラトバラのマシンをコースに解放した時、すでに4分以上の時間が経過していた。何とかSSを走り切ったラトバラは9位に順位を落とし、初日が終了した時点でトップから4分56秒1という取り返しのつかない遅れを負った。
首位争いはレグ1最終のSS8でベストタイムを刻んだローブが、ヒルボネンを4秒差でかわして1位に浮上。ソルベルグは3位のノビコフを8.3秒差で追っている。トップ3が10本のソフトタイヤをすべて使い切ったのに対し、ソルベルグはまだ4本のソフトを残している。「明日、あさってと雨が降ればチャンスはある」と、ソルベルグはぽつぽつと星が煌めくオークランドの夜空を見上げた。