WRC9連覇王者のセバスチャン・ローブがティエリー・ヌービルのチームメイトとしてWRC参戦を決めたのは、ヒュンダイi20クーペWRCがまだ本領を発揮できているマシンではなかったことを考えれば、予想外の展開だった。2018年もタイトル無しに終わったヒュンダイで、ビッグなチームメイトを迎えるヌービルに自身の思いを聞いた。
「2018年の終盤までに、ヒュンダイにはいくつかの改良が見られた。ターマックではコンペティティブに戦えるようになったが、グラベルではまだ伸び代がありそうだ。今の段階で明確に答えるのは難しいが、いずれにしてもセバスチャン(オジエ)、オット(タナック)たちが今年も上位を争って行くだろう。自分もそこに加わって行かなくてはならないし、きっとアンドレアス(ミケルセン)も入ってくることになるかもしれない。タイトルを争うドライバーが何人もいると思う」
セバスチャン・ローブがチームに入ってくることで、自分の2019シーズンのアプローチは変わるのか。
「正直、変わらない。昨年は、とても安定していたからね。ほんの小さなミスでラリーが終わってしまうことが多かったが、まずまずのポイントを獲得していた。パフォーマンスが劣るイベントでも全力を尽くし、ポディウムでフィニッシュした。コルシカやドイツのようにね。ああいったイベントでは自分たちのパフォーマンスは足りていなかったが、それでも、週末を通して安定感を維持しミスをしないことでポイントを獲得することができていた。今年もアプローチは同じだ。フィンランドのような、何年も自分たちがパフォーマンスを出せていないようなラリーでは、できるだけいい順位を目指した。週末を通して安定感を維持して、最大限のポイントを獲得し、上位選手のミスにも助けられた」
セバスチャン・ローブがチームに入ることは、ドライバーズ選手権のチャンスに邪魔となるか。
「分からない。助けになるかもしれないし、ならないかもしれない。走行順の関係で、彼が好リザルトを狙えるラリーもあるだろう。その場合、自分は彼のすぐ後ろの順位につけるのか、それとも間にもっと何台か入るのか、そこが問題だ。でも、このことはそれほど心配していない。セバスチャンは、チームにとって何が自分の仕事かをよく分かっているし、一番の目標は昨年と同じようにマニュファクチャラーズタイトルだ」
もう一つの大きな心配は、新しいチームディレクターだ。アンドレア・アダモの就任で、信念やポリシーは変わって行くのだろうか。
「自分とニコラ(ジルスール、コ・ドライバー)、それに他のチームメイトも、何かを変えようとプッシュしていた。それは隠しもしない。一番の理由は、シーズンを通してもっとコンペティティブになりたいと思ったからだ。そして、それが今起きていること。ミシェル(ナンダン)に替わってアンドレアが就任したが、他のことも進行している。だから、とても重要なことだし、チームのモチベーションのためにもなると思う。もう5年経つが、今回のことで自分たちはとてもワクワクしているし、自分も納得している。アンドレアのことは全面的に信頼しているし、コンペティティブになるために必要な変更をすぐに行っていく」
(Martin Holmes)