1月24日(木)から27日(日)にかけて、フランスのギャップを拠点に開催される2019年WRC開幕戦ラリーモンテカルロ。大御所WRCメディア、マーティン・ホームズによるラリー直前のWRCチーム近況をお届けしよう。
シトロエン
今年はマネージメント面での変更はない。昨年のラリーオーストラリアでは、予想外のトラブルは発生しなかった。
今年は2台のみでのエントリーとなる。モンテカルロでは2回に分けて、のべ7日間のテストを行った。12月に4日間(オジエとラッピが2日ずつ)、1月に3日間(オジエとラッピが1.5日ずつ)、いずれもギャップ周辺で行っている。
モンテカルロでは、ドライ、スリッパリー、ウエットのターマックだけでなく、みぞれや良質の雪、アイスと、あらゆるタイプのコンディションが登場する。このため、例えば、クロスで異なるタイヤを装着するなど幅広いセッティングを分析できる機会にもなる。このことで、マシンのハンドリングが予想できるようにするためのセッティングに、慎重に注意を払うことになる。
2019年仕様のWRカーでの技術面の変更について、C3 WRCは2018年のモンテカルロ以降、ダンパーとサスペンションの設計面で大規模な変更を進めてきた。現在は、基本的なセットアップについて、理解を深めている。チームは、マシンのドライバビリティを向上させることに専念している。これにより、モンテカルロでも、様々なコンディションに対応できるようになる。また、セットアップの選択肢を増やすことにも取り組んでおり、クルーはループ内のステージ間で調整も行えるようになるだろう。
モンテカルロでのマシンは、オジエがシャシー7、ラッピがシャシー4。アイスノートクルーは、オジエ担当がシモン−ジャン・ジョセフ、ラッピ担当がミッコ・ヘイッキラ。
WRC2プロに関しては、シトロエンの方針は、マッズ・オストベルグのようなカスタマーを支援すること。モンテカルロへのエントリーは、ヨアン・ボナートのみとなる。
ヒュンダイ
チーム運営の上層部に関しての変更について、チーム代表として新たにアンドレア・アダモが就任する以外、続報は入っていない。
昨年のラリーオーストラリア、ティエリー・ヌービルのアクシデントについて、チームの見解は「ラリーならではのアクシデント」というもので、悔しいシーズンの締めくくりとなってしまった。
テクニカルサイドのマネージメントも含めマシンの開発について詳細は明かされていない。テストは、ギャップ周辺で行い、ヌービル、アンドレアス・ミケルセンが1日ずつ、ローブはイベント前の日曜日に1日行った。ヌービルには新しいシャシー(No.16)、ミケルセンはオーストラリアで使用したマシン、ローブとソルドは、カタルーニャで使用(パッドンがラリーGBでも使用)したマシンとなる。
アイスノートクルーは、ローブ担当がパトリック・マゴー、ミケルセン担当がベルン・コルボルド、ヌービル担当がブルーノ・ティリー。
ヒュンダイ・モータースポーツは、WRC2プロには参戦しないことを決定した。モンテカルロでは、ローブが過去7勝、ミケルセンは2位フィニッシュが1回、ヌービルがポディウムフィニッシュ1回という戦績を持っている。
Mスポーツ・フォード
チーム運営の上層部スタッフは、マネージング・ディレクターがマルコム・ウィルソン、チーム代表がリチャード・ミルナー、チームコーディネーターがライン・タリー、ラリーエンジニアリングチーフがクリス・ウィリアムズ、エルフィン・エバンス担当エンジニアはクリス・ロバーツ、テーム・スニネン担当エンジニアはカラム・ベンダルが務める。
前戦オーストラリアでは予想外のトラブルはなく、セバスチャン・オジエのドライバーズタイトル連覇を祝った。
モンテカルロ向けのテストでは、スニネンが12月上旬に2日間、コル・ファイエ、コル・デスプローで行った後、ラリー2週間前にスニネンとエバンスが2日間のテストをシェアした。ポンタス・ティデマンドも単独でテストを行っている。
昨年からのWRカーのテクニカル面での変更については、エアロパッケージのアップデートがリヤバンパーとルーバーに行われたほか、エンジンがアップグレード。スニネンとエバンスはZFのダンパーを使用し、電気系も多くがアップグレードされている。WRC2勢には変更はない。
スニネンはシャシー9、エバンスはシャシー10(PO67KCYで登録)、ティデマンドはシャシー4(OM59ORT)を使用する。WRC2プロにエントリーするガス・グリーンスミスのR5マシンは、シャシー268。
アイスノートクルーは、エバンス担当が父であるグウィンダフ・エバンス、スニネン担当はユッソ・ピカリスト、ティデマンド担当はエミル・ベルクビストが務める。WRC2プロもアイスノートクルーを使うことが認められており、グリーンスミス担当は、アントニー・レスタージュが務める。
チームにモンテカルロでの優勝経験者はなく、エバンスは6位フィニッシュを3回経験している。
TOYOTA GAZOO Racing
今年は、マネージメント面に変更はない。昨年のオーストラリアでは、終盤にオィット・タナックがリタイアしたのはトリッキーな路面コンディションが大きく影響しており、誰にとっても難しい状況だったとの見解。テクニカルトラブルはなかった。
テストでは様々なコンディションを経験できた。現状、ラリーマシンに技術面での変更はなく、昨年のオーストラリアと同じ。全マシンが、エストニアで登録を受けており、モンテカルロで使用するマシンは、ヤリ‐マティ・ラトバラがシャシー9(SP1009)、タナックがシャシー10(SP1010)、クリス・ミークがシャシー11(SP1011)。アイスノートクルーは、ラトバラ担当がトニ・ガルデマイスター、タナック担当がマルティン・カングール、ミーク担当がステファン・ウイットフォード。
チームのドライバーでモンテカルロ優勝経験者はいないが、過去2年間、タナックは3位、2位と成績を挙げている。ラトバラは、今回が12回目のモンテカルロ参戦となるが、ここ4年間で2位フィニッシュが2回となっている。
(Martin Holmes)