WRCスウェーデンのシェイクダウン後に行われたプレイベントカンファレンスの内容(抜粋)。50歳になった記念にヤリスWRCで思い出のスウェーデンにスポット参戦登場したマーカス・グロンホルム。印象に残るグロンホルムのエピソードを聞かれた現役のレギュラードライバーからは、一番にプジョー時代のあの迷言が飛び出した。
●WRCプレイベントカンファレンス出席者
ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
オィット・タナック=OT(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
エサペッカ・ラッピ=EP(シトロエン・トタル・アブダビWRT)
ポンタス・ティデマンド=PT(Mスポーツ・フォードWRT)
マーカス・グロンホルム=MG(GRXチーム)
Q:ティエリー・ヌービル、レッキはどうだったか。
TN:コンディションは、自分たちの見方では、かなりよかった。走行順が早いので、しっかりした氷であまり雪はのっていて欲しくないが、そんな感じだった。ここのところ気温が上がっているので、この先どうなるのか分からない。1回目の走行は問題ないと思うが、2ループ目は轍ができてグラベルが出てくるかもしれない。
Q:モンテでは、シーズンをいい形で滑り出した。昨年のスウェーデンでは頂点に立っている。今回に向けて、手応えは感じているか。
TN:自分たちは、スウェーデンでは、いつも強い。昨年は勝ったので、今年もすべてをひとつにまとめなくてはならない。タイヤのマネジメント、戦略、すべてだ。明日は走行順が2番手なので、最優先するのは土曜日に向けて金曜日の夜の段階でいい順位につけること。ここでは小さなミスをしやすいので、雪壁で20秒位をロスしたら、土曜日の走行順が最悪になることもあり得る。このラリーは、常にチャレンジングだ。
Q:昨年はタイトル目前にまで迫った。今年、何を変えなくてはならないのか。
TN:自分たちの走りには、かなり満足している。なるべき形にならなかったことがたくさんあったが、今年は信頼性のあるマシンにするためにすべてを最適化したので、つまらないミスをしないようにする。オィット、セバスチャンとはタフなバトルになるし、一年の終わりには他のドライバーも絡んでくることもあり得る。
Q:オィット・タナック、モンテカルロでのペースには満足できたか。
OT:モンテはよかった。最終的には、できることは全部やった。チームは果敢に戦ったし、すべてがうまく回っていた。マシンも、どのコンディションでもパフォーマンスが出ている。あのパンクは残念だったが、ティエリーとセブはいいラリーをしていた。彼らとの戦いは厳しいし、自分たちはあるべき形にまとめられなかった。でも、ここで走行順が3番手になるのは、そう悪くないよ。
Q:今回の戦略は。
OT:ラリーでは、常に何かしら戦略を立てる。どこでどれくらい、タイヤを使うかを考えることになるだろう。2ループ目は厳しくなる。それでも、(タイヤにとっては)楽なラリー。選択肢はひとつしかないので、スペアをどう使うか、どうマネジメントするかの問題だけだ。後は、速く走ることだけを考えるのみ。最初のループは問題ないと思うが、2ループ目は(国内戦やヒストリックのマシンがつけた)変わったラインが残るので、難しくなるかもしれない。
Q:シェイクダウンはどうだったか。
OT:マシンのフィーリングは素晴らしかった。シェイクダウンは、考えられる中で一番いいコンディションだった。今ある選択肢を使うだけだった。
Q:エサペッカ・ラッピ、モンテは厳しいシーズンの滑り出しとなったが、スウェーデンでは流れを一転させることもできる。C3のスノーでのテストはどうだったか。走行順に恵まれる今回、プッシュできる自信は得られたか。
EP:2日間の間に、たくさん作業をした。自分はとにかくドライブするだけだったが、メカニックたちががんばってくれたので感謝したい。大きな変更を行った。マシンのフィーリングは問題ないが、自分のマシンでテストしたわけじゃないからね。かなり調整を行って最終的にいいセッティングが見つかった。テストコースではアイスのコンディションでは走れなかったが、今日はアイスがあったしグリップも高かった。決めたセッティングにはかなり満足してるよ。
Q:今朝のシェイクダウンでのコンディションを「完璧」と表現していた。実際のステージでも同じコンディションか。
EP:そうだね、ウインターラリーはこうあって欲しいと願う、その通りのコンディションだよ。
Q:今回は、どんな結果を狙うか。
EP:よく分からないね。コンディションによる。週末の間に、どうなるか。明日は楽だと思うが、土曜日は一番厳しい。もし、かなりぬかるんでくると、今日のように楽しくはならない。予想外のことも起こる。興味深いね。
Q:ポンタス・ティデマンド、モンテカルロラリーの中盤からスウェーデンの話しをしていたが、母国戦をWRカーで走るのは特別な気分か。
PT:もちろん、世界で一番クールなマシンだし、ここの道の性格は世界最高だ。とても楽しみにしている。すごくタフなので、とにかく1から始めなくては。
Q:モンテカルロでは、どのステージでも笑顔でフィニッシュしていた。今回もそうなるのか。
PT:もちろん。今回も、同じようにできるようがんばるよ。マーカス(グロンホルム)と同じだ。金曜日はマシンでの感触をつかんで、その後どこまできるか考える。
Q:今後、他に参戦を予定しているイベントはあるのか。
PT:話せることは何もないが、もちろんMスポーツからもっと参戦することを希望している。
Q:マーカス、実戦から9年離れていたが、初めてWRC勝利を挙げたイベントでWRC復帰だ。まず、戻ってきたのはどんな気分か。
MG:OKだよ。でも9年間、ラリー車に乗っていなかったし、ノートを作っていなかったという感じはある。長いブレイクだし、間違った場所で加速したりしている。ノートは問題なかったが、明日はもっとよくなるように努力して、楽しむよ。
Q:マシンと、コ・ドライバーのティモ・ラウティアイネンとの関係は、昔と同じか。
MG:うまく回っているよ。ティモは、常にルールのことばかり話しているのを除けばね! 今は、彼はずっとこんなことを言っている。「コレとアレはやらなきゃダメだ…」フィーリングはかなりOKだが、あるべき速さはない。こんなものだろう。
Q:競技の感触は自然に出てくるだろう。どんな気分か。
MG:素晴らしい走りができる感触はあまりないが、もちろんトップ10ではフィニッシュしないと。金曜日の後はよくなって行くと思う、たぶん土曜日はいい感じになるんじゃないかな。走ったことのあるステージだ。明日は、走行経験がないので、難しいだろうね。
Q:自分が走っていた時と比べて、マシンはどんな感じか。
MG:かなりドライブしやすいし、エアロパッケージが一番の違いだ。エンジンとサスペンションはよくなっている。全体のパッケージは、かなりいいね。
Q:競技については。
MG:レベルが高いね。勝てるドライバーが4、5人いるし、たくさんのドライバーがセブと戦えると思うので、彼も常に勝てているわけではない。このふたり(タナックとヌービル)に注目しているよ。ステップアップしなくてはならないし、それをシーズンを通して維持しなくては。
Q:マーカス以外の全員に。グロンホルムの武勇伝でお気に入りは。
EL:「このマシンにはうんざりだ!」
OT:チームボスの名前を思い出せないが(プジョー・スポールのコラード・プロベラか?)かなり有名だね。マーカスが彼に、ギヤ3つで十分だと話していた時だ。
TN:自分も若い頃に見ていた。ドイツで唯一ライブで見られるラリーだった。いい場面もたくさんあったが、牛でコースオフした時?
PT:ドイツでマーカスがサービスパークにいた時、ステージのコンディションはどうなるかと聞かれて、彼が「自分は天気予報士じゃない!」って言った時。
Q:マーカス、このラリーのことはよく知っていると思うが、今回のコンディションはどう思うか。
MG:僕は天気予報士じゃないって! レッキの初日はよかったが、その後は変わって気温が9度になった。今日も、零度より上だ。先頭走行にとっていいのかどうか、分からない。たぶん、4番手、5番手が一番いいんじゃないかな。
Q:マーカス、今回は勝てると言っていたが、どのように勝つか。
MG:僕の話をちゃんと聞いていなかったでしょ。自分は、じーちゃんクラスなら勝てる、って言ったんだ!