全日本ラリー選手権第2戦新城ラリーは競技初日を終えて、スバルWRX STIの勝田範彦/石田裕一が総合首位に立っている。2番手には三菱ランサーエボリューションXの奴田原文雄/佐藤忠宜、3番手にはスバルの新井敏弘/田中直哉が僅差で追う展開だ。
会期を3月に移した今年の新城ラリーは、昨年11月の前回大会と同様、15日金曜日の夕方から新城市文化会館でセレモニアルスタートが開催され、実質的な競技は16日土曜日からのスタートとなる。ラリー初日は3SSを2度ずつ走行する計6SSが設定された。ラリーのメイン会場である県営新城総合公園、タイトでツイスティなコーナーが連続する雁峰北、ハイスピードな設定の鬼久保という3つのステージが戦いの舞台だ。なかでも雁峰北(SS2/5)は12.64kmと距離が長く、勝負の趨勢に影響を及ぼす可能性が高いといえる。金曜日の夜から土曜日の朝にかけて降雨の予報もあったが雨量は少なく、ドライ路面で今シーズン初のターマックラリーはその幕を開けた。
JN1クラスは、昨年の勝者である新井と地元の勝田、柳澤宏至/保井隆宏らスバルWRX STI勢と、今季初参戦となる奴田原、福永修/齊田美早子らの三菱ランサーエボリューション勢による戦いが期待された。なお、スバルの鎌田卓麻は全日本ダートトライアル選手権の日程が重なっているため、今回は参戦を見送っている。オープニングステージとなった県営新城総合公園は奴田原が制したが、続くSS2雁峰北では新井が逆転し、SS3では奴田原が再逆転するなど、トップは目まぐるしい入れ替わりを見せた。午後のSS5、雁峰北では総合3番手につけていた勝田が渾身のベストタイムで一気に首位を奪い、続くSS6でもトップの座を守り切った。
勝田は「路面もマシンも問題なく、いたって順調です。午後は頑張って攻めました。今朝の1本目からプッシュできていれば……という感じですが、精一杯走ったので仕方がないですね。かろうじてトップに立てていますが、まだ半分終わっただけですし、明日も長いですし、県営新城総合公園と鬼久保で負けないようにして、雁峰でもっと頑張らないといけないですね」と初日を振り返った。
レクサスRC F、フォルクスワーゲン・ポロGTI、トヨタGT86 CS-R3など様々な車種がエントリーし話題を集めたJN2クラスは、眞貝知志/安藤裕一のトヨタ・ヴィッツGRMNがリード。2番手には石井宏尚/寺田昌弘のRC F、3番手には山村孝之/奥村久継のシトロエンDS3 R3-MAXがつけている。首位の眞貝は「路面コンディションはとても良かったです。グリップもあり、しっかり攻められる状況です。クルマは良くなった部分と、それにともない課題も色々みつかり、良かったと思います」とコメント。すでに2番手の石井には50秒近い差をつけているが、最終日もペースを崩さず走ると語っている。
JN3クラスは7台の86/BRZがエントリー。クラス首位の山本悠太/山本磨美と2番手の山口清司/竹原静香が僅差での競り合いを展開しており、初日の競技を終えた段階で0.9秒差となっている。約30秒離れた3番手には昨年のJN2クラスチャンピオン長﨑雅志/秋田典昭がつけている。トップの山本は「タイヤはグリップも良くて、かなり感触がいいですね。大きなミスもなく、危なげなく走ることができました。明日は昨年11月に走っていないコースもありますが、いい路面を期待しています」と手応えを語っている。
JN4クラスには5台のスズキ・スイフトスポーツ(ZC33S)が集結。トップは高橋悟志/美野友紀、2番手に内藤学武/小藤桂一、3番手に西川真太郎/本橋貴司というオーダーになっている。高橋は2018年の新城ラリーでも勝利を収めており、2番手の内藤に対して30秒以上のリードを築いている。「道はグリップも高くて、滑ることも一切なく走れました。比較的早い段階でテストをしたことで、クルマが仕上がっていることも理由にあると思います。最初のループほどではありませんでしたが、午後もなんとかいいペースをキープできたので、明日もこのまま突き進みます」と、高橋は初日を振り返った。
トヨタ・ヴィッツGRの天野智之/井上裕紀子が大きくリードするJN5クラスは、2番手にマツダ・デミオの岡田孝一/廣田幸子、3番手にはトヨタ・ヴィッツ(NCP91)の佐藤光理/松井弘成という順位になっている。天野は「とりあえず無難に走ってきました。思った以上に天気が良かったようで、気温が上がり、後半はタイヤのライフ的に厳しかったです。攻めているわりには、思ったほどタイムが上がりませんでした。クラス内では十分にマージンを築くことができましたが、明日もデイポイントをしっかり狙いたいです」と初日全SSベストタイムを刻み、貫録を見せつけた。
JN6クラスは大倉聡/豊田耕司がリード、2番手に板倉麻美/蔭山恵、3番手にいとうりな/大西紗智というオーダーとなっており、トヨタ・ヴィッツCVT勢がスピードを見せている。4番手にはマツダRX-8のAT車を投入した中西昌人/福井林賢がつけた。午前中のセッティングを外してしまったという大倉は「午後にはセッティングをやり直してもらって、だいぶ走りやすくなりました。CVTは狙ったとおりに走ってくれますし、去年よりクルマはかなり進化しています」と語った。また、2番手の板倉は今回のラリーが競技初参戦。「ラリー自体の参戦が初めてで、緊張しましたが、楽しめました。午前中はラインを広く取ることができず、クルマのパワーを出し切れませんでした。明日に向けて、作戦会議して挑みたいです」とコメントしている。
新城ラリー2019 SS6終了時点結果
1. 勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI) 29:16.2
2. 奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX) +1.8
3. 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +5.5
4. 柳澤宏至/保井隆宏(スバルWRX STI) +20.6
5. 福永修/齊田美早子(三菱ランサーエボリューションX) +20.7
6. 山本悠太/山本磨美(トヨタ86) +1:29.6
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9. 高橋悟志/美野友紀(スズキ・スイフトスポーツ) +1:46.0
10. 眞貝知志/安藤裕一(トヨタ・ヴィッツGRMN) +1:54.8
13. 天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ) +2:13.9
20. 大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT) +3:03.0