WRCチリのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。WRC初開催のラリーチリを制したオィット・タナック。全員が初めて挑んだ新しいイベントでの印象を聞かれ、長年シリーズを戦う中で新鮮な気持ちを感じたことを明かした。
●WRCポストイベントカンファレンス出席者
1位:オィット・タナック=OT(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
1位:マルティン・ヤルベオヤ=MJ(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
2位:セバスチャン・オジエ=SO(シトロエン・トタルWRT)
2位:ジュリアン・イングラシア=JI(シトロエン・トタルWRT)
3位:セバスチャン・ローブ=SL(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
3位:ダニエル・エレナ=DE(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
トミ・マキネン=TM(トヨタ・ガズー・レーシングWRT代表)
Q:オィット・タナック、初開催のラリーチリ、初代ウイナーとなった。これで、選手権では2位に浮上。チリでの初めてのイベントをどれくらい楽しんだか。
OT:ホッとした気分だ。タフな週末だった。レッキを始めた時点で、道のコンディションは厳しいことが分かった。新しいラリーは大仕事だ。限界まで攻めるのは難しかった。あまり限界を超えることはなかったけれどね。ハッピーだし、トラブルが一切なくここにいられてよかったよ。
Q:金曜日の朝、コンディションを見た時の最初のフィーリングは。
OT:全てが新しく感じられて、限界を感じることを学んでいたし、それはマシンに関しても同じだった。最初のステージを終えて、フィーリングがないことに苦戦していた。すぐに調整して、たぶんベストタイムだったと思う(編集部注:オジエに3.2秒差のベストタイム)。自分のマシンは完璧だった。自信をつかみ、金曜日の午後はギャップを少し広げた。その後は、マシンをマネジメントするだけだった。
Q:今朝は、フランス人たちが後ろから必死にプッシュしてくるのでリラックスできないだろうと話していたが、それは感じていたか。
OT:ステージはタフで高速でナローだったので、かなり集中しなくてはならなかった。少しペースを抑えたが、パワーステージのためにタイヤをセーブしたかった。何かをリザーブしながらハイペースなリズムも維持するのは、簡単ではなかったよ。
Q:パワーステージは勝てると本当に予想していたか。
OT:こういうことは、計画を立てるのが難しい。フィーリングはよかったし、リスクを負わずに限界近くまで攻めようと努めた。コンディションは、午前の1回目からよくなっていた。このような形でラリーをフィニッシュすることが、重要だった。ここ2戦ほど残念な内容が続いたし、ポイントもかなり取りこぼしたからね。このリザルトが重要だった。何も得るものがなければ、気持ちも落ちてしまう。これで軌道を戻せたし、プッシュを続けていく。
Q:マルティン・ヤルベオヤ、特にコ・ドライバーは準備が大変だったと思うが、素晴らしいリザルトだった。満足のリザルトでは。
MJ:もちろん。このレジェンドたちとポディウムに上がるのは、本当にいい気分だよ。新しいラリー、新しい道、悪天候、ビッグチャレンジだった。いい週末だったよ。チームに心から感謝している。
Q:セバスチャン・オジエ、2位おめでとう。これで、選手権首位に返り咲いた。最後までバトルが続いたが、厳しいイベントだったか。
SO:自分たちの成果には満足している。選手権で首位に戻れたのはポジティブなこと。でも、トラブルなしではなかった。常にハードに争っていた。セブ(ローブ)がいたので、大変だった。ものすごいプレッシャーを感じていた。満足だよ。興味深い週末だった。新しいノートを準備するために、動画を使った。今日は、ゆっくり寝られそうだ。
Q:マシンのトラブルについて、もう少し詳細を話してくれないか。
SO:今回、フラストレーションがたまっている姿を見せたことは、隠そうとは思わない。スリッパリーなところやテクニカルなセクションでは、余裕を持って走れなかった。まだ理由は特定できていない。テストでこの点について取り組んで、問題を解決したいと思っている。次のラリーではまた走行順がトップになるので、解決しなくてはならない。
Q:ジュリアン・イングラシア、選手権に新しいイベントが入ったことで、気持ちも新たになったのでは。
JI:新しいイベントで、たくさんの発見があったのは確かだ。初めてここを訪れて、とてもエキサイティングだった。主催者は、初開催のイベントで見事な仕事をしてくれた。パワーステージでは、車内で消火器が爆発してかなり面白いことになったよ。ペースノートを読み続けようとしたが、息ができなかった。「こんな時に、悪い冗談だ!」と思った。セブやダニエルとのバトルは、本当に楽しかった。FacebookやSNSでも楽しんでもらったよ。彼らと同じ時間を過ごすのは、いつでもハッピーだ。このマシンは100年のベテランだからね!
Q:セバスチャン・ローブ、ヒュンダイでの初めてのポディウムで、素晴らしいバトルだった。イベントを終えて今の気分は。
SL:ラリーの道としてはいい場所だと思う。ステージはよかったし、自分には少し速過ぎたかな。自分も歳を取ったからね。このラリーをドライブするのは、本当によかった。スペクテイターもたくさん応援してくれた。信じられないほどだったよ。
Q:最終日は、オジエとの差を一気に詰めたが、オジエも応戦した。彼に追いつけないと気づいたのはいつか。
SL:WRCでは、あまり頻繁に参戦していない場合は、世界屈指のラリードライバーを相手にコンペティティブに戦うのは、簡単なことではない。彼らは一年中マシンの中にいるし、自分もかつてはそうだった。数ヶ月ぶりの競技走行で、グラベルで一日走っただけでその感覚をつかむのは、簡単にはできない。自分はマシンの中で苦戦していた。でも、どんどんよくなっていたし、ノートにも自信が高まった。他のドライバーとは戦うことができる。レッキで、自分はダニエルに、このステージで速く走ることは自分にはできないと言ったんだ。速く走れる自信がなかった。躊躇した場所がたくさんあったし、セブは速かった。自分も、リスクは一切、負いたくはなかった。2位か3位でハッピーだったし、今は3位でハッピーだ。緊張感のある戦いだったし、それを大いに楽しんだよ。
Q:ダニエル・エレナ、この新しいイベントでポディウムに上がった気分は。
DE:素晴らしい週末だったよ。昨年もシトロエンから3戦に出ている。でも、新しいマシンで200kmだけのテストでこのラリーに出たのだから、同じ状況とは言えない。ステージは素晴らしかったし、あらゆるコンディションに直面した。ナローで、高速で、マディで、雰囲気もよかった。ロードブックは完璧だったし、オーガナイズもよかった。
Q:トミ・マキネン、選手権の新規イベントで見事なリザルト。オィットとマルティン、チームのパフォーマンスにはハッピーか。
TM:すごくハッピーだ。マシンの動きもとてもよかった。この結果はうれしいよ。今後もハードな取り組みを続けていく。これで、タイトル争いは3人に絞られてきたようだ。お互いに接戦だし、シーズンの最後まで戦っていくだろう。ラリーチリの主催者にも感謝を伝えたい。大変素晴らしい仕事だった。ステージは文句なしに素晴らしかったし、観客の数もとても多かった。