世界ラリークロス選手権第3戦は5月11日、ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットでファイナルが行われ、ティマール・ティマラザヤノフが世界戦初優勝を飾った。ポールポジションからスタートしたアンドレアス・バックラッドが2位、ティマラザヤノフのチームメイト、ジョニ・ウィマンが3位に入った。
ティマラザヤノフの勝利は、マーカス・グロンホルム率いるGRXタネコにとっても、ヒュンダイi20にとっても世界RXでの初優勝。この記念すべき勝利に、チーム1−3フィニッシュで華を添えた。ティマラザヤノフは、64レースをスタートした末の世界RX戦初勝利だった。ファイナル進出までに、豪快なジャンプを披露するなど様々なドラマを見せ、ようやく世界RXでマークした初勝利に、ロシアのティマラザヤノフは感無量といったところだ。
「まだ信じられないよ。この瞬間まで、64回も練習してきた。信じられない気分だ」とティマラザヤノフ。
「これが僕の人生。毎朝起きれば、ラリークロスのことばかり考えている。自分に流れている血なんだ。サーキットレースに行くことも勧められたが、NOと言った。自分がやりたいのは、ラリークロスだけだからね。このスポーツが大好きなんだ。アクションが多くて、アドレナリンが大量に放出される」
「ファイナルでは、とにかく後続を抑え切ることだけを考えていた。最初のコーナーでは、自分のために進路が開いた。差がついたことが分かったし、これはチャンスだと思ったのでそれをモノにした。自分がリードしていた時は、どうすればいいのか本当に分からなかった。ファイナルでリードするのは、初めてだったからね。とにかく自分のペースに専念して、ドライビングをコントロールした」
シリーズ初開催のスパについても、ティマラザヤノフは称賛を贈った。
「この週末は、本当に楽しかった。このサーキットは特別の存在。自分のドライビングスタイルにも合っている。グラベルセクションではまさに飛んでいるように感じるし、オールージュへ向かう上りは最高だ」
バックラッドは、バルセロナの3位に続いてのポディウムフィニッシュ。ファイナルでは優勝のチャンスもあったが、ティマラザヤノフの勝利にも納得の様子だ。
「自分が最後に勝ったのは、2016年のアルゼンチン。でも、もし今回、勝たせたい人が1人いるとすれば、それは自分ではない。自分の友人、ティマール(ティマラザヤノフ)だ」とバックラッド。
「もちろん自分も勝ちたかったが、彼は優勝にふさわしい走りをした。彼は、まさにラリークロス向きの性格だからね。自分のレースはよかったが、最初のコーナーでジョニ(ウィマン)をパスした時にワイドになってしまった。そうしたら、ティマールの黄色いロケットが抜いていった。これで、全てが終わった」
ウィマンは、今回ワイルドカード枠で参戦しており、病気治療中のニクラス・グロンホルムに代わってGRXのポイントノミネートとして戦った。ウィマンの世界RX参戦はこれがわずか2度目で、最初の参戦は4年も前のことだ。「まだ2度目の世界戦でポディウムに上がれたのは、最高の気分」とウィマン。
「この週末は出だしはスローだったが、今日は全開で攻めた。セミファイナルで勝ってから自信が高まり、ファイナルでもコンペティティブに戦えると思った。最初のコーナーでは優勝を狙っていったが、ウォールでスタックしてしまった。ラッキーにも、そこからリカバリーできた。1−3フィニッシュは、チームにとっても最高のリザルトだ」
スパ・フランコルシャンでの初めての世界RXとなったこの週末は、のべ1万7500人の観客を集めた。ファイナルではスペクテイターがグランドスタンドを埋め尽くし、大いに盛り上がった。スパ・フランコルシャンのCEO、ナタリー・マイレは、サーキットで初めて世界ラリークロス戦を開催したことに喜びを見せる。「スパ・フランコルシャンでは、こうあるべきということをやっていきたい」とマイレ。
「ラリークロスのコースを設置するためのリスクと投資を行う必要はあったが、この週末の大観衆やスペクタクルなレースが、正しい判断であったことを表している」
世界RXベルギー ファイナル結果
1. T.ティマラザヤノフ(ヒュンダイi20) 3:21.352
2. A.バックラッド(アウディS1) 3:23.354
3. J.ウィマン(ヒュンダイi20) 3:24.054
4. T.ハンセン(プジョー208) 3:26.772
5. J.バウマニス(フォード・フィエスタ) 3:28.960
6. L.ドーラン(アウディS1) 3:37.725