WRCポルトガルのシェイクダウン後に行われたプレイベントカンファレンスの内容(抜粋)。今戦で、Mスポーツ・フォードからWRカーでの初参戦を果たすガス・グリーンスミスに対し、司会からアドバイスを促された百戦錬磨の先輩たちが、WRカーのルーキードライバーを激励した。
●WRCプレイベントカンファレンス出席者
セバスチャン・オジエ=SO(シトロエン・トタルWRT)
オィット・タナック=OT(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
セバスチャン・ローブ=SL(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
ガス・グリーンスミス=GG(Mスポーツ・フォードWRT)
Q:セバスチャン・オジエ、選手権リーダーとしてポルトガルを迎える。このイベントの歴史を一気に遡る新しいステージが加わり、新しい試練が待っている。この金曜日のステージについて、どう思うか。
SO:金曜日は距離は短いが、翌日の走行順のためには重要だ。土曜日に砂利掃きを務めるのは最悪。ポジティブな点は、6戦を終えて選手権首位に立っているということ。この勢いを続けなくてはならない。オィット、ティエリーと自分とのタイトル争いは、どうなるか分からない。一貫性を保ち、多くを望み過ぎないことが目標だ。
Q:シェイクダウンでのフィーリングは。
SO:タイムはあまり良くなかった。シェイクダウンは最後に走った。そうするべきではないようなことを試した。でも、2週間前にはサルディニアでいいテストができているし、自分たちがわずかでも前進できたことがうれしい。正しい方向に進んでいると信じている。マシンに必要な新しいパーツの到着を、もう少し待たなくてはならない。一貫性を維持して、タイトル争いに留まらなくてはならない。選手権首位に立っている中で、大量ポイントを獲得するのはほぼ不可能だ。シーズンの終盤4戦で大きな差をつけなくてはならない。
Q:シェイクダウンでは具体的に何が悪かったのか。
SO:最初の走行のセッティングを2回目の走行に、2回目の走行で最初のセッティングを使ってしまった。予想以上にラフだった。ターマックではあまりハードにプッシュしなかった。タイヤをセーブしたかったからね。シェイクダウンのことは、あまり心配していないよ。
Q:ガス・グリーンスミス、この週末は夢が実現する。MスポーツからWRカーで参戦だ。まず、今回のラリーに向けての気分は。
GG:シェイクダウンは順調だったし、WRカーをドライブすることが、とにかくうれしかった。いくつかのミスを除けばどんどんよくなっているが、まだタイムは伸びる。
Q:プレイベントテストはどうだったか。今回の戦略は。チームからは具体的な指示は出ているか。
GG:自分にとって、ドライブできるチャンスが重要で、経験を積まなくてはならない。土曜日と日曜日のステージに関しては知識があるので、ラリーが進むに連れてスピードも上げて行く。マシンはドライブしやすいし、限界も見つけやすいが、テストとラリーは全く違う。ペースノートもうまく機能しなくてはならないしね。
Q:みんな、WRカーでスタートするガスにアドバイスをするとしたら?
SO:シェイクダウンでは、初めてにしてはかなりよさそうだった。自分はあまり参考にならない。たぶん、若いのでとてもヤル気に満ちているし、自分の力を見せたいと思っているんじゃないかな。これは当たり前のことだし、ミスもするようになる。一番のアドバイスは、できる限り道の上にとどまって、あとは楽しむことだ。
SL:セブ(オジエ)に同感。始める時に一番重要なのは、いつか戦えるようになると思うこと。あまり焦り過ぎずに、自分の気持ちをしっかり持つことだ。
OT:アドバイスはみんな、チャンピオンたちから出たと思う。自分は、ヘルメットを被ったら楽しむべきだと信じているし、あとはできるだけ長く道の上にいることだ。
Q:オィット・タナック、ラリーチリでは今季2勝目と素晴らしい結果を残した。今回のイベントは、昨年は長くは走れなかったが、アイテナリーが変わったことで去年のことは不利にはならないと感じているか。
OT:自分はハッピーな人間だし、明日はみんなよりもアドバンテージがあるので楽しみにしているよ。ペースは加熱するだろうし、道も速いと思う。ステージの性格は、自分にもマシンにも合っている。道は長いこと乾いているし、この週末は暑くなりそうなので、自分たちの走行順では楽にはいかない。でも、ポディウム争いのチャンスをつかむためには、土曜日の走行順をよくするために必死で戦わなくてはならない。今回は、タイヤチョイスの選択肢が多いと思う。気温は高くサンディな区間もある。このタイヤか、あのタイヤか、と単純にはいかない。走行順は鍵になるし、影響を与える要素はたくさんある。
Q:セバスチャン・ローブ、予定外の参戦だが、チームから参戦を示唆された時、少し悩んだか、それともチャンスに飛びついたか。
SL:少し考えなくてはならなかったが、長くはなかった。チリの後、日曜日の夜にアンドレア(アダモ)と話をして、予定が空いているかを聞かれた。カレンダーをチェックしてから、いい考えだと思った。ラリードイツまで間が空くことになっていたので、次の参戦まで3カ月ということになる。リズムを取り戻すのが難しい。これで、同じ路面を2戦続けて参戦できるので、プランとしてはよくなるから参戦を決めた。
Q:ポルトガルの参戦経験はあるが、北部のステージではラリーをしたことがない。あのエリアのステージについて、どう思ったか。
SL:大丈夫だ。シェイクダウンは、難しかった。自分はシェイクダウンではチャンピオンではないんだ。フィーリングはかなりよかった。初日は新しいステージだが、みんな同じ状況。砂利を掃かなくてはならないセブ(オジエ)以外はね。あそこのステージを知っている人は誰もいないから、自分にとってはいいことだ。2日目、3日目はみんなは知っているステージなので、自分はノートを作るのが大変だった。
Q:チリの時のようないいフィーリングは続いているか。今日のシェイクダウンではマシンのフィーリングはどうだったか。今回、どんなリザルトを予想しているか。
SL:自信はあるし、チリではあのスピードが出たことはよかった。でも、今回はまた別のラリー。うまく行かなかったラリーもあったが、ベストは尽くす。現状は、これ以上の参戦追加はない。休暇も必要だからね。
Q:ヒュンダイは新しいフロントディファレンシャルの公認を取った。今回、使用するか。
SL:イエス。