TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、5月30日(木)から6月2日(日)にかけてポルトガルで開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦ラリーポルトガルのWRC2に、コ・ドライバーのダニエル・バリットと共に初参戦。序盤優勝争いに加わるも、ホイール破損等のトラブルで大きく遅れ、13位でラリーを終えた。
ラリーポルトガルは、ヨーロッパで開催される今シーズン最初のグラベルラリーだった。ステージは全体的にスピード域が高く、なおかつテクニカルなセクションも多く含まれるため、多面的なドライビングテクニックが求められる。路面は砂のような目の細かいグラベルが多く、多くのラリーカーが走行すると掘れて地中から石がかき出されパンクの危険性が高くなる。特に、今年は気温が高く完全なドライコンディションだったため、路面は例年以上に荒れていた。
前戦ラリーチリでWRC2今季初優勝を飾った勝田は、その翌々週に開催されたフィンランド・ラリー選手権「リーヒマキ・ラリー」に、WRカーのヤリスWRCで参戦。ヤリスWRCでのグラベルラリー出場は初めてだったが、勝田はやはりWRカーで出場した地元のライバルを抑え、優勝を飾った。そして、リーヒマキ・ラリーの翌週スタートを迎えたラリーポルトガルには、これまでWRC2でドライブしてきたフォード・フィエスタ R5で出場。ハンドリングを改善するため、駆動系を始めとするセッティングを今までと大きく変えてラリー本番に臨んだ。
勝田にとっては今回が3度目のラリーポルトガル出場となるため、目標を優勝に定めてラリーをスタート。SS3でベストタイムを刻み、首位と0.6秒差の2位に順位を上げた。その後も勝田は十分優勝を狙える位置につけていたが、SS6でタイヤの空気が抜けてしまい、30秒以上タイムロス。5位に順位を落とした。それでも諦めず、デイ2で上位のタイムを刻み、ライバルの脱落もあって2位まで順位を回復する。優勝を争うチャンスを再び手にした勝田だったが、SS12で突然ホイールのリムが破損して走行不能となり、デイリタイアを余儀なくされた。多くのペナルティタイムを課せられ、勝田はWRC2の14位で最終日のデイ3に再出走したが、5本のステージのうち4本でベストタイムを、1本でセカンドベストタイムを刻むなど、圧巻の走りを披露。最終ステージでは、全R5ドライバーの中で最速となる総合8番手タイムを記録し、ポジティブな形でラリーを締めくくった。
勝田貴元
今週末の自分のスピードには満足しています。昨年このラリーに出場した時と比べると、かなり成長できたのではないかと思います。必要以上に激しく攻めることはせず、とにかくミスをしないようにクリーンな走りを心がけました。大きな石を絶対に踏まないように、細心の注意を払って走り続けたので、ホイールが破損した時は本当にショックでしたし、なぜそうなってしまったのか正直分かりません。とはいえ、ポジティブに思えることも多くありました。最終日は良いリズムを保って走れ、好タイムを並べることができたので、それに関しては満足しています。引き続き、自分の運転を進化させようと努力していますので、将来的にはさらに速く走れるようになると確信しています。
ヤルッコ・ミエッティネン(インストラクター)
タカとダンは、この週末を力強く戦ったと思います。彼らにはラリー開始直後から競争力があり、週末を通してミスもしませんでした。今回の我々の目標は優勝でしたが、ホイールのリムが破損してリタイアするまで、そのチャンスは十分あったはずです。今や、タカのドライビングとWRCイベントに臨む姿勢は、かなり高いレベルにあります。今年の春、我々はドライビングテクニックに関して細かな改善作業を行なったのですが、その成果が現れたのか、今回のタカのドライビングはとても良かったと思います。
ラリーポルトガル WRC2の結果
1. Pierre-Louis Loubet/Vincent Landais (Skoda Fabia R5) 3:33:09.1
2. Emil Bergkvist/Patrik Barth (Ford Fiesta R5) +1:42.1
3. Henning Solberg/Ilkor Minor (Skoda Fabia R5) +2:08.2
4. Eerik Pietarinen/Juhana Raitanen (Skoda Fabia R5) +2:23.5
5. Nikolay Gryazin/Yaroslav Fedorov (Skoda Fabia R5) +2:24.3
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13. Takamoto Katsuta/Daniel Barritt (Ford Fiesta R5) +14:18.5
勝田の次戦は、6月13日(木)から16日(日)にかけて開催される、WRC第8戦ラリーイタリア・サルディニア。サルディニア島北部を舞台とするこのグラベルイベントに、勝田は今回と同じくフィエスタR5でWRC2カテゴリーに挑む。サルディニアは中高速のステージが多く、木々や大きな岩がすぐ脇に迫る難しい未舗装路が続く。道の表面には砂のように目の細かいグラベルが広がっているが、その下側には硬い路面が隠れており、何台かのラリーカーが通過すると路面のコンディションは大きく変わる。また、天気次第では気温がかなり上昇し、クルマとタイヤに大きな負担がかかる。