“純グループA”の極みへ
1996年にチャンピオンマシンとなったランサーエボリューションIIIをさらに進化させたエボリューションIV、V、VIはワールドラリーカーのライバルたちと果敢に戦い、4年連続のドライバーズチャンピオン獲得と98年にはダブルタイトル獲得を達成してみせた。三菱はいかにして頂点に登り詰め現在まで続く4WD制御技術S-AWCを磨き上げたのか、当時語られなかった秘話とともに紐解く。
RALLY CARS GALLERY 時代に抗うもの
三菱ランサーエボリューションⅤ
歴代ランサーエボリューションシリーズのなかでもとりわけVはドラマチックな存在の1台だ。シーズン途中から登場し短期間ながら鮮烈な強さを発揮し、最後は劇的なドラマを演じてみせた。すでにリヤホイールアーチ改造の特認を取っているため純粋なグループAとは言えないかもしれないが、押し寄せるWRカーの波に屈することなく、三菱マニュファクチャラーズタイトル獲得の原動力となりエボリューションVIへとバトンをつないでみせた。
[PLAYBACK the Rally Scene 1997-2001] 栄光と進化の軌跡
市販車とラリーカーの関係が濃厚だった時代に誕生した、一連のランサーエボリューション。移り変わる時代を横目に三菱は信念を貫き通す。やがて来る限界を感じながらも、それを不断の努力と発想で乗り越え、ランサーの進化を加速させていく。トミ・マキネンという稀代のドライバーに操られたマシンは、ライバルのひしめくシーズンで勝利を重ねていった。
[Interview with Key Person]ベルナール・リンダウアー
ランサーエボリューションⅣのホモロゲーションが取得された頃、フランス人エンジニアのベルナール・リンダウアーはラリーアート・ヨーロッパに加入した。リンダウアーは、日本側との協力でその後の開発とバージョンアップに深く関わり、トミ・マキネンの4連覇に大きく貢献した
開発最前線で戦った“岡崎エンジニア”の回想 打倒WRカーを目指せ
“第二世代”に移行したランサーエボリューションが直面したのは、1997年から導入されることになったWRカーとの戦いだった。徐々に純粋なレーシングカーへと進化していくライバルに対し、三菱の技術陣はグループA規定枠での様々なトライで対抗した。
[技術考察]三菱の4WD哲学 その目指す境地「最速」への方法論
グループAで戦い続けた三菱ランサーエボリューション。それを支えた4WD制御技術の秘密とは? 「高運動性指向・全天候型スポーツカー」の究極のかたちとして、飽くなき進化の果てに目指した4WDシステムの在り方を探る。
MITSUBISHI LANCER EVOLUTION IV-VI Results Encyclopedia 1997-2001
イラストで見る、三菱ランサーエボリューションIV-VI全記録
ベースとなったランサーのモデルチェンジに合わせて、ボディを一新したランサーエボリューションIVは97年シーズンからWRCに投入された。WRカー規定が導入されるなかグループAに拘った三菱は、毎年のように“エボ”の進化を繰り返すが、ついにAを諦める時を迎えることになった。