6月14日のワールドモータースポーツカウンシルでの承認を受けて、FIAは各種の詳細を発行。WRカーの参戦が認められない地域選手権でのマシン規定のピラミッド構成の見直しと、それに伴うカテゴリーの番号の振り直しが行われた。競技ジャンルの中で最もパフォーマンスの高いカテゴリーに小さい数字を使う(フォーミュラカーの場合なら最高峰が“F1”となるように)方向性は、何年も前に決められていた。パフォーマンスが高い順にR5マシンは「ラリー2」、以前のグループNベースのR4に替わり導入されたR4キットは「ラリー2キット」、R-GTはR3、既存のR2は「ラリー4」、R1は「ラリー5」と呼ぶようになる。
現在のナショナルカテゴリー車両(オーストラリアのAP4、南米のマキシラリーなど)がどこに組み込まれるのかについての規定は、発表されなかった。
新たなハイブリッドラリーカーについての提案や、マニュファクチャラーの新規参入を促すためにCセグメントのプロダクションカーをサイズダウンして認めるコンセプトなど、暫定のプランも明らかとなった。そして、さらに大きなニュースが6月末に届くと見られている。FIAはここで2020のWRCカレンダー案を発行するが、既存のWRCイベントが数戦、カレンダーから外れる事が確実視されている。
= = = =
2019年のウエールズ・ラリーGBは、スタートをリバプールで行う事が発表されたが、開幕SSについても英国で最も経験豊かなサーキットとして知られるオールトンパークのミックス路面ステージで行われることになった。木曜日、リバプールでのセレモニーから直行するこのステージは、ほとんどはレースサーキットを走行。ここは、スターリング・モスがF1(1961年ゴールドカップレース)で唯一4輪での勝利をマークした会場だ。ラリーのその後のステージは、従来通りウェールズに設定される。ラリーGBがオールトンパークにステージを設定したことは過去にもあったが、近年は盛り込まれていなかった。
= = = =
波乱の結末を迎えたWRCサルディニアと同じ週末、セバスチャン・ローブはヒュンダイi20 WRCで、地元フランスのラリーボージュグランエスに参戦。ヨアン・ロッセルやヨアン・ボナート(シトロエンC3)、ウィリアム・ワグナー(フォルクスワーゲン・ポロ)ら、R5マシン勢に3分以上の大差をつけて優勝を飾った。
マルコス・リガトは、ブエノスアイレスから1000マイルほど離れた「place of the thistles(アザミの地)」と呼ばれるエリアで開催されたアルゼンチン選手権のエスクエルラリーに、シボレー・アジャイルMRで参戦。ラリーはフェデリコ・ビラグラがリードしていたが、フィニッシュまで残り3ステージというところでリタイアを喫している。チェコ選手権第4戦アグロテック・ペトロナスラリー・フストペチェは、フィリップ・マレスのシュコダ・ファビアR5が、フォード・フォーカスWRCのジャン・ドーナルに1分以上の差をつけて優勝を飾った。
= = = =
17歳のサミ・パヤリが、2019年のフライングフィン・フューチャースターに選出され、ラリーフィンランドのJWRC部門にフル支援で参戦できる権利を獲得した。このプログラムでは、5年前にはテーム・スニネンを輩出している。
= = = =
今週開催されるERCラリーポーランドは、76回目の開催とラリーでも最も長い歴史を誇る。ERCとしての開催は、今回で50回目を迎える。今年は、拠点となるミコワイキに近郊にステージが設定される。ラリーの走行距離を短縮し、コースをより観客向けにするための構成変更。エントリーは103台に上り、このイベントとしては1975年以来最大数をマークした。
= = = =
インドからビッグニュースが舞い込んだ。ガウラブ・ギルが、12年間支援を受けたMRFタイヤと袂を分かち、MRFのライバルでギルがキャリアを積み始めた時に活動をともにしたJKタイヤと契約を結んだのだ。インドでは国内戦タイトルを6回獲得しているギルとの契約について、同社は少なくともWRC2に3戦エントリーさせるとしているが、いつのシーズンになるかは不明。ギルは今年のインド戦にはマヒンドラでの参戦を続けており、この活動ではMRFとの契約が続くのかは交渉中だとしている。MRFの将来についてはこれまで、既存の国際イベントの参戦プログラムを通してWRCタイヤの開発する意図を示していたが、現状ではこの計画は進むことはなさそうだ。
(Martin Holmes)