WRCプロモーショナルイベントとして7月12-15日、エストニアのタルトゥを拠点に開催されたラリーエストニアは、地元のオィット・タナック(トヨタ・ヤリスWRC)が圧勝を決めた。
タナックは、13日土曜日の開幕レグからラリーをコントロールし、天気が刻々と変わる中、9SS中7本でステージウインを奪取。ヒュンダイi20クーペWRCのアンドレアス・ミケルセンに33.4秒差を築いて、この日を折り返した。
このイベントは、エストニアラリー選手権、ラトビアラリー選手権が併催されたが、2週間後に迫るラリーフィンランドに性格が似ていることからWRCワークス勢も少なくとも1台ずつをエントリーさせていた。タナックは、選手権外部門での圧倒的なペースを日曜日も継続。この日に設定された6SS全てをベストタイムで揃え、リードを1分3秒5にまで広げて母国でポディウムの頂点に上がった。
「素晴らしい週末だった。本当に大勢の人が集まってくれた。エストニアはまさにラリーの国。ここでイベントが開催されたり、マニュファクチャラーが拠点を置くことは素晴らしいと信じている」と語るタナクは、集まった何万人もの観客の声援に応えた。
2位はミケルセン、3位にはエサペッカ・ラッピ(シトロエンC3 WRC)が入った。ラッピはこのイベントでは、異なるセッティングを試すことを優先にしていたが、2位も視野に入るパフォーマンスを披露。しかし、残る3ステージというところで、バンプにヒットし、タイヤにダメージを負った。
「ここのステージは、間違いなく母国(フィンランド)よりも少し速いし、路面も少しソフト。でも、超高速ステージでの感覚やドライビングテクニックを慣らすことは出来た」とラッピ。
予選ではトップタイムをマークし最初に走行順を選ぶ事に成功していたフォード・フィエスタWRCのエルフィン・エバンスは、土曜日にはベストタイムも1本マークしていたが、最終的に4位でのフィニッシュ。ヒュンダイから初参戦となったクレイグ・ブリーンはi20クーペWRCで貴重な経験を積み、5位でラリーを終えた。フォード、プジョーでワークスドライバーとして活躍したマルコ・マルティン(フォード・フィエスタWRC)は6位だった。
R5クラスでは、ラトビア選手権を追う17歳のオリバー・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)が開幕ステージから首位に立ち、部門2位のライナー・アウス(シュコダ・ファビアR5)に1分28秒5の差をつけて快勝した。
「本当に信じられない。こんな結果は予想もしていなかったよ」とポディウムセレモニーを終えたソルベルグは喜びを語った。
「スタートから首位に立って、その後はリードをコントロールした。リスクは負わないアプローチで。特に、SS10のクレスト明けのジャンプは予想以上に激しかったからね。とてもうれしい。最高の仕事をしてくれた(コ・ドライバーの)アーロンとチームのみんなに、心から感謝している」
新型フォード・フィエスタR5で参戦した勝田貴元は、初日に冷却系のトラブルでリタイア。2日目も再スタートしたが、マシントラブルによりSS12をスタートせずにリタイアを決めた。
ラリーエストニア 最終結果
1. O.タナック(トヨタ・ヤリスWRC) 1:15:38.40
2. A.ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC) +1:03.50
3. E.ラッピ(シトロエンC3 WRC) +1:27.10
4. E.エバンス(フォード・フィエスタWRC) +1:47.70
5. C.ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC) +1:56.40
6. M.マルティン(フォード・フィエスタWRC) +3:55.10
7. O.ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5) +4:19.40
8. R.アウス(シュコダ・ファビアR5) +5:47.90