8月1日(木)から4日(日)にかけて、フィンランドのユバスキラを拠点に開催される2019年WRC第9戦ラリーフィンランド。大御所WRCメディア、マーティン・ホームズによるラリー直前のWRCチーム近況をお届けしよう。
シトロエン
サルディニアは、今季ここまでの自己ワーストリザルトとなり、先頭走行のセバスチャン・オジエがクラッシュ。7位フィニッシュのエサペッカ・ラッピも満足な結果とは言えなかったが、予想外のトラブルはなかった。
フィンランド向けのテストは、オジエが2日間、ラッピが1日行い、C3 WRCのノーズが上がる性格の問題が浮き彫りになったようだ。一方で、セッティングの調整幅を広げる事を目指し、両マシンともジョーカーを使ってフロントサスペンションを変更している。オジエのシャシーは、アルゼンチンとチリで使ったNo.7、ラッピには新しいNo.21を投入する。
オジエはこれまでに11回フィンランドに参戦し、2013年に優勝。ラッピは7回の参戦経験があり、2017年に優勝している。シトロエンの優勝歴は、過去5回。R5でフィンランド参戦を予定していたオストベルグは出走を見合わせ、ドイツ、GB、スペインでの参戦を目指している。
ヒュンダイ
サルディニアでのダニ・ソルドの優勝は、他チームからの不運により舞い込んできたもので、チームとしてはマシンは「あるべき」ペースを出せていなかったと考えている。
フィンランドでは、新しいエアロパーツが装着するものと見られている。テストは、ティエリー・ヌービル、クレイグ・ブリーン、アンドレアス・ミケルセンが1日ずつ行った。ブリーンは、チームにとって今年5人目のドライバー。ローブはこの週末、イタリアのアルバラリーに参戦した後、休暇を取っていると伝えられている。
ヌービルは通常のマシン(No.17)、ミケルセンはアルゼンチンとチリで使用したNo.18、ブリーンはローブがチリで使用したNo.19に乗る。
ヒュンダイのドライバーがフィンランドのポディウムに上がったのは2回のみ。ヌービルが2013年に、ブリーン(当時シトロエン)が2016年に上がっているが、ヒュンダイのマシンがこのイベントを制した事はない。
Mスポーツ・フォード
サルディニアでの2位と4位は、今季、チームのベストリザルト。フィンランド向けのプランは、エルフィン・エバンスがエストニアで負傷したことで狂ってしまい、この結果、ガス・グリーンスミスがWRカーで参戦することになり、予定されていたWRC2プロのエントリーは代替を立てずにキャンセルとなった。
さらに、ヘイデン・パッドンが2013年のカタルニア以来となるMスポーツ・フォードからの参戦が予定されていたが、月曜日のテストでクラッシュ。本番車のダメージが大きく断念した。パッドンが使用していたのは、テーム・スニネンが今季序盤に使用していたマシンだった。スニネンが今回乗るのは、自分がメキシコでクラッシュしたマシン。グリーンスミスは、エバンスがポルトガルとサルディニアで使用したマシンに乗る。テーム・スニネンは2日間、グリーンスミスは1日、テストを行った。
フォード車がフィンランドを制したのは、過去13回。今年のMスポーツのドライバーの中での最上位は、スニネンの2017年の4位だ。
なお、マネージング・ディレクターのマルコム・ウィルソンは、ラリービジネスを始めて40年目を迎える。
トヨタ
サルディニアでは、最終ステージでオィット・タナックにパワーステアリングのトラブルが発生するという劇的な幕切れを迎えた。同様のトラブルは、ヤリ‐マティ・ラトバラにも発生していた。 ラトバラは「これはサプライヤーのミスによるもので、チームが対応した。エンジニアが解決策を見つけたので、もう発生しない」と語っている。
チームにとって、サルディニアとエストニアは開発面において非常に重要な位置づけとなっていた。サルディニアでは、4台目のマシン(ユホ・ハンニネン)が、特にダンパー面での開発作業を目的に参戦。実戦環境でのテストを行った。
今年は、テスト専用に設計されたエリアがユバスキラに近いことで新しい規定の影響を受けた。これまでチームは、ユバスキラのエリア全体でテストを行う事が認められており、北部と南部の両方の道を使う事ができた。今年は、テストができる範囲が半径10kmと制限され、場所を選択しなくてはならなくなった。
3人のドライバーはいずれも、サルディニアで使用したマシンに乗る。タナックは、昨年のフィンランドで勝っており、クリス・ミークは2016年、ラトバラは2010年、2014年、2015年と3回勝っている他、ポディウムにも5回上がっている。
トヨタ車としては、過去2年を含め4回、フィンランドでの勝利を挙げている。
(Martin Holmes)