WRC第10戦ドイツは競技3日目を終え、首位はオィット・タナック、2番手にクリス・ミーク、3番手にヤリ‐マティ・ラトバラと、トヨタ勢がトップ3を独占するスピードを見せている。タナックと首位を争っていたヒュンダイのティエリー・ヌービル、シトロエンのセバスチャン・オジエはそろってパンクを喫し、状況は一気にトヨタ有利に傾いた。
この日行われたのはSS8〜SS15の計8SS。なかでも、ラリー最長の41.17kmを誇るSS13、SS15の軍事演習場パンツァープラッテは、この日のみならずラリー最大の山場と目されている難関ステージだ。オープニングのSS8は、前日トランスミッショントラブルで大きく遅れたヒュンダイのダニ・ソルドがベストタイムをマーク。ヌービルがSS3番手タイムを刻み、タナックとの総合タイム差を1.5秒まで縮めることに成功。しかし続くSS9ではタナックが一番時計でリードを大きく取り戻す。ヌービルも負けじとSS10、SS11を連取するが、依然タナックとの差は5.0秒に開いてしまっていた。
サービスを挟んだ午後のセクションは、パンツァープラッテを舞台とした4SSが行われる。タナックはSS12でベストタイムをマークし、ヌービルとの差をじわりと拡大。タナックの5.6秒リードで迎えた山場のSS13は、なんとヌービルがパンクで大幅タイムロスを喫してしまう。左リヤタイヤをパンクし、このSSだけで1分26秒8を失うことに。総合順位も7番手と大きく後退し、勝負権を失うこととなってしまった。このSSでベストタイムをマークしたタナックを筆頭に、オジエと接近戦を展開していたミーク、ラトバラも好走。ミークが2番手、ラトバラが3番手に浮上し、トヨタが1-2-3体制を構築した。
トヨタ勢の勢いはとどまるところを知らず、SS14ではラトバラ、SS15ではミークがベストタイムをたたき出すスピードを見せつけた。さらにこのSS15ではオジエがパンクを喫し、トップタイムから1分33秒4の遅れ。総合順位も8番手にドロップしてしまった。この結果、トップ3の後方にはソルド、ヌービル、ミケルセンというヒュンダイ勢が並び、7番手にエサペッカ・ラッピ、8番手にオジエとシトロエンが続くオーダーとなっている。
勝田貴元はSS12でコースオフ、SS14ではパンクに見舞われるなどの不運もあったが、前日とまったく性格の異なる路面に対しても、堅実なドライビングでアプローチし、この日のステージをすべて完走。総合順位では一時上位の脱落もあり9番手に浮上したが、最終的には10番手につけている。また、WRC2ではトップを走っていたカッレ・ロバンペラ(シュコダ・ファビアR5 EVO)がSS8でコースオフし、タイムロス。代わってチームメイトのヤン・コペッキーがWRC2プロ首位(総合11番手)に立っている。
競技最終日はSS16〜SS19の4SS、79.50kmで争われる。再びモーゼル河畔エリアの河岸段丘が舞台となるため、ヘアピンコーナーでのタイムロスを減らす走りが重要になるほか、ハイスピードセクションへの対応も求められる。オープニングのSS16は日本時間25日(日)14:46スタート。
WRCドイツ SS15後暫定結果
1. O.タナック(トヨタ・ヤリスWRC) 2:27:21.9
2. K.ミーク(トヨタ・ヤリスWRC) +32.4
3. J-M.ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC) +41.8
4. D.ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC) +1:10.8
5. T.ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) +1:35.2
6. A.ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC) +1:37.3
7. E.ラッピ(シトロエンC3 WRC) +1:43.1
8. S.オジエ(シトロエンC3 WRC) +2:09.7
9. G.グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC) +6:02.6
10. 勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) +6:57.4