TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの勝田貴元は、WRC第10戦ドイツ最終日の4SSも無難に走り切り、ヤリスWRCでの初WRCを10位で完走した。11.6kmと28.06kmのふたつのステージを2回ずつ走るこの日、勝田はオープニングのSS16のヘアピンでエンジンをストールさせるミスがあった以外は、前日までと同様に慎重なドライビングを続けた。それでもペース的にはほぼ似たようなキャラクターだった金曜日をしのぐペースでヤリスWRCをフィニッシュに運んだ。
「(ゴールして)ようやくリラックスできました。フィニッシュすることがだけが目標、と決めて最初からアプローチしてきたので、完走できたことは、ハッピーです。もちろん、僕もドライバーなので速く走りたいという気持ちもあり、すごく葛藤もありました。でもそれをしっかりコントロールできたのもひとつの成長かなと思います。今後戦っていくうえでこういった経験は必要だと思うので、本当にいい週末だったと思います。ブレーキングもまだ余らせてはいるんですけど、最終日はクルマに対する理解が深まってきて、自分が抑えるレベルがちょっと上がったのかもしれないですね。金曜日は本当に初めてで、グリップレベルやクルマの状態を見ながらという感じでしたが、今はだいぶ、こんな感じかな、というのがつかめてきました」
「次に参戦するスペインはR5での経験があるので、今回ほど慎重になりすぎはしないと思うんですが、やっぱり何があるか分からないので、まずは経験第一で戦います。それでも、確実に今回よりレベルが上がっているはずなので、もうちょっと楽しめるかな。今日は母の誕生日で、4年前は、同じ日にF3レースで勝っているんです。今日もいい誕生日プレゼントになっていればいいかなと思いますが、将来、いつか同じ日のどこかのラリーで、母のために勝利を挙げられたらと思います」
チーム代表のトミ・マキネンは、今回の勝田のパフォーマンスを「賢いドライビングをした」と評価した。
「外野の声や周囲の期待に耳を貸したり囚われたりすることなく、自分自身の目標に集中できたと思う。たくさんの経験や学びを得て、彼にとってはベストな週末だったと言えるだろう。初めてWRカーで出るには、ドイツは最も難しいターマックイベントだったと思うが、これで次のスペインをいい状態で迎えられるはずだ」