アメリカン・ラリー・アソシエーション(ARA)第8戦「サスケハノック・トレイル・パフォーマンスラリー(STPR)」の取材を終えた筆者は、ペンシルベニア州からカナダとの国境に近いバーモント州へ移動。9月16日、スバルモータースポーツUSAの活動を担うバーモント・スポーツカー(VSC)を訪問した。
同社は1988年に設立されたモータースポーツガレージで、現在はスバル・オブ・アメリカをパートナーにARAに参戦しているほか、アメリカン・ラリークロス(ARX)にも積極的にチャレンジしている。筆者が今回の訪問で最も驚かされたのが、VSCの開発体制と設備だ。
VSCではマシンのデザインはもちろん、ホワイトボディやエアロパーツ、エンジンの開発に至るまで、すべてインハウスで実施。事実、2018年11月に完成した新ファクトリーには8台以上が同時にメンテナンスを行える作業スペースのほか、2000psまでを計測できるエンジン単体のベンチ室、エンジンをマシンに装着した状態でデータ取集を可能にしたムービングベルト付きのシミュレーションルーム、空力デバイスを製作するための、カーボンコンポジットなど、最新鋭の設備が広大なファクトリーに集約されていた。
しかも、作業スペースはゲストが2階からメンテナンスシーンを見学できるようにオープンにしているほか、VSCが製作した競技用マシンもギャラリーとして展示さているところもポイントといっていい。
ちなみにVSCには54名の社員が勤務しており、アメリカ人のほか、イギリス人やフランス人も集結。かつてスバルおよびトヨタで技術部門を担当していたギリシャ人のマイケル・ゾトスもVSCで技術チームに加わっていることからも分かるように、エンジニアリングのレベルも極めて高い。
登録されている自動車のうち、11%がスバル車と言われているバーモント州は、日本の群馬県のようにアメリカにおけるスバルの聖地のようなエリアといえる。そのなかでVSCはアメリカのスバリストたちの新たなメッカになりそうだ。
(Izumi Hiromoto)