全日本ラリー選手権第8戦ラリー北海道は、新井大輝/小坂典嵩が今シーズン3勝目を挙げ、2位に鎌田卓麻/鈴木裕、3位に新井敏弘/田中直哉が入った。スバル勢としては4位の勝田範彦/石田裕一、5位の柳澤宏至/保井隆宏までの上位5台を独占する結果となった。
ラリー最終日に行われた全日本ラリー選手権のステージはSS9〜SS14の計6SS、SS距離50.43km。最終SSの前にサービスが設けられているが、それまでの48.96kmはサービスなしでこなさなければならない。大きなミスやアクシデントに見舞われれば順位も大きく変動する可能性をはらんでいる。
JN1クラスは、サスペンションやエンジンマッピングを調整した鎌田が序盤からスパートをかけ、オープニングのSS9でベストタイムをマーク。総合2番手につける新井敏弘を逆転してみせた。鎌田はさらにSS10も制し、SS11では総合首位の新井大輝を上まわるタイムでフィニッシュ。SS11を終えた段階で、鎌田と首位新井大輝の差は6.1秒にまで縮まっていた。新井大輝もSS12でベストタイムをたたき出し反撃、SS13でも鎌田のタイムを超えて、最終SSを残した段階で9.7秒にまで差を広げていた。一方、このSS13を制した総合3番手の新井敏弘は、一気に総合2番手鎌田に肉迫。0.9秒差で最終SSに臨むこととなった。そして最終SS、新井大輝は危なげなくフィニッシュ、堂々の戦いぶりで今シーズン3勝目をモノにしてみせた。熾烈な2位争いは鎌田に軍配。新井敏弘は渾身の走りで一番時計を刻んだものの、鎌田もピタリとSS2番手につけ、0.6秒差で2位を得ることに成功した。
新井大輝は「2日目にダンパーが壊れたり、今日はエンジンストールしたりと試練に見舞われたラリーでしたが、それでもラリーをコントロールして、フィニッシュまでマシンを運べるようになったのは、自分が成長した証だと思います。シーズン3勝ということはあまり気にはしていません。この後も一戦ずつ、大切に戦っていかなければならないと思っています」と、冷静にラリーを振り返った。
JN2クラスはトヨタ・ヴィッツGRMNの眞貝知志/箕作裕子が優勝。2位に中村英一/大矢啓太(トヨタ・ヴィッツGRMN)、3位に鷹野健太郎/ウシニナ・ヤナ(トヨタGT86 CS-R3)という順位となった。これで今シーズン6勝目を挙げた眞貝は2019年シーズンのチャンピオンを確定してみせた。レグ1を首位でまとめた眞貝は、この最終日に設定された6SSすべてでベストタイムをマークする快走を披露。これまであまり相性が良いとは言えなかった北海道で最高の結果を残した。
眞貝は「本当に去年のラリー北海道ではつらい思いをして、クルマ、そして自分の課題が明らかになりました。以来、今年のラリー北海道に向けて準備してきた1年でした。ノートラブルかつ、素晴らしいクルマを用意してくれたチーム、そしてピンチヒッターとして仕事をしてくれた箕作選手に感謝しています。みなさんに勝たせてもらったと思っています。チャンピオン獲得については、本当にホッとしています。残りの2戦もいいフィーリングで臨めると思います」と、笑顔を見せた。
JN3クラスは、曽根崇仁/木村裕介(トヨタ86)が優勝。ラリー前にチャンピオンを決めた山本悠太/山本磨美(トヨタ86)はマシントラブルに見舞われ2位、鎌野賢志/蔭山恵(トヨタ86)が3位に入った。レグ1でトップに立っていた山本はエンジントラブルでマージンを失い、曽根がSS13で逆転しクラス首位に立つことに成功、そのまま最終SSを走り切り、曽根にとっては今シーズン初勝利を獲得してみせた。
曽根は「やっとラリー北海道で勝てました。本当にうれしいです。いつも分かってはいますが、タフなラリーです。あらためて、何があっても諦めずに走り続けることが大切だと実感しています。諦めなければ、何かいいことがあると思いました。今シーズンは厳しい戦いが続いていたので、最後まで『止まらないで』と思いながら走りました」と、安堵の表情を浮かべラリーを振り返った。
ランキングトップの関根正人/草加浩平(スズキ・スイフトスポーツ)が初日に戦線を去ったJN4クラスは、古川寛/大久保叡がシーズン初優勝。2位には小倉雅俊/平山真理、3位に山口貴利/山田真記子のダイハツ・ブーンX4勢が続く格好となった。レグ1を終えた段階で2番手の小倉に1分近いマージンを築いていた古川はそれを活かしてラリーをコントロール。2番手小倉のマシンにトラブルの兆候が出ていたこともあり、その差をキープしてフィニッシュした。
「勝てて良かったです。関根選手とどれくらい戦えるかな……と思っていましたが、関根選手がリタイアした後はしっかり首位をキープできて良かったです。このクルマで初優勝なのでうれしいですね。次の高山ですが、舗装でどうなるかですね」と古川はコメントしている。
JN5クラスはレグ1をトップでまとめた石川昌平/竹薮英樹(トヨタ・ヴィッツGR)が首位を守って今シーズン初優勝を達成。2位にはレグ1のタイヤ交換でタイムロスを喫していた天野智之/塩田卓史(トヨタ・ヴィッツGR)、3位に小川剛/佐々木裕一(ホンダ・フィットRS)という順位となった。この日は天野が全SSを制する怒濤のスピードを発揮。SS13では総合8番手タイムをマークしてみせた。しかしレグ1の段階で首位石川に対して2分半近くあったギャップを埋めることは叶わず、2位でラリーを終えている。首位の石川はマージンを活かして完走第一のペース。その甲斐あって今季初優勝を得ることとなった。
石川は「結果を残すことができて本当にうれしいです。ただ、タイム的には天野選手に負けていたので、反省する部分はあると思います。それでも、このラリーでは完走することも重要なポイントなので、それができてうれしいです」と、優勝の喜びを噛みしめラリーを振り返った。
JN6クラスは、すでにチャンピオンを決めた大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)が貫録を見せて勝利。2位には中西昌人/福井林賢(マツダRX8)、3位に水原亜利沙/加勢直毅(トヨタ・ヴィッツCVT)という順位となった。大倉は14SS中12SSをベストタイムでまとめ、今季負けなしの8連勝を達成してみせた。
大倉は「8連勝ですね。今回は短く感じましたが、本当に難しくて、完走すると特別な想いを感じます。マシンは細かいトラブルこそありましたが、大きなものは何もなく、クルマの頑丈さに助けられました。チームがいろいろと投入してくれたアイテムが次戦のターマックで、どんな効果があるのか楽しみです」と語っている。
次戦は10月11日〜13日にかけて岐阜県高山市で開催される第9戦「第47回 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2019 supported by Sammy」。山間部を縫うように走る林道が舞台となるターマックラリーだ。
RALLY HOKKAIDO 全日本ラリー選手権 正式結果
1. 新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI) 1:40:37.3
2. 鎌田卓麻/鈴木裕(スバルWRX STI) +8.9
3. 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +9.5
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8. 眞貝知志/箕作裕子(トヨタ・ヴィッツGRMN) +15:12.1
9. 古川寛/大久保叡(スズキ・スイフトスポーツ) +15:36.9
10. 曽根崇仁/木村裕介(トヨタ86) +16:17.4
11. 大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT) +16:24.6
14. 石川昌平/竹藪英樹(トヨタ・ヴィッツGR) +17:21.7