マーティン・ホームズのWRCプレビュー・GB編:Mスポーツのエバンスが戦線復帰 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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マーティン・ホームズのWRCプレビュー・GB編:Mスポーツのエバンスが戦線復帰

©M-Sport

10月3日(木)から6日(日)にかけて、英国ウェールズのスランディドノを拠点に開催される2019年WRC第12戦ウェールズラリーGB。大御所WRCメディア、マーティン・ホームズによるラリー直前のWRCチーム近況をお届けしよう。

シトロエン

トルコで1−2フィニッシュを果たしたチーム。トルコのラフ具合については想定通り。多彩なチャレンジに挑む世界選手権においては、ゲームの一部であり、それに対応できた。クルーが見回れたのはセバスチャン・オジエのパンク1回のみ。パンクを避けるのもゲームの一部であり、時にはその危険性が高いステージもあるが(ドイツのバウムホルダーなど)、賭けるしかないこともあり、それはどうしようもない。

シトロエンがウェールズを最後に制したのは、C4 WRCで参戦した2010年。当時はカーディフが拠点だった。チームのドライバーは、オジエが5勝(2013〜2016、2018)と、ポディウムが2回(オジエとエサペッカ・ラッピが1回ずつ)。ウェールズ・ラリーGBには、エントリーは2人のみで、いずれもドイツでのマシンを使う。

このラリーでのチャレンジは、非常にスリッパリーな路面と頻繁なグリップ変化、コンディション(霧や夜間走行など)。テストは3日間行い、1日はエリック・カミリ(開発目的が主体)、ラッピとオジエが、セットアップを煮詰めるために1日ずつ行った。チームは、出来る限りベストのセットアップ(サスペンションやディファレンシャルなど)を見いだすために作業を続けており、今回もダンパーには独自のバルブ調整を行う。

ヒュンダイ

トルコでは期待通りの成果を収める事はできなかった懸念は残るが、マニュファクチャラーズ選手権ではリードを広げた。トルコでパンクが頻発したことについて、ヒュンダイはラリーというスポーツならではのことだという見解を示している。マシンはラフなコンディションにはしっかり対応し、選手権に様々な路面やコンディションがあるのはいいことだと考えている。

ウェールズ・ラリーGBでのチャレンジは、どれだけコンディションがマディでスリッパリーになるかによる。マシンからのトラクションが多ければプッシュする自信が得られる。場所によっては、まさに泥の中を走ることもあり得る。天気という面では、それほど複雑ではないラリー。誰もが雨になることは承知しており、ドライになることはほとんどないからだ。グリップが低くてもかなり安定しており、2ループ目は少しトリッキーになることもある。ステージ自体は素晴らしく、林道はかなりリズムに乗れる。

ドライバーたちは、9月中旬にウェールズでテストを1日行い、グリップレベルについての作業を行った。このラリーでのテクニカル面での変更はない。ティエリー・ヌービルはドイツのマシン、クレイグ・ブリーンはダニ・ソルドがサルディニアを制したマシン、アンドレアス・ミケルセンもサルディニアで使用したマシンを使う。

チームとしてはウェールズでの勝利は経験がないが、ポディウムにはヌービルは3回、ミケルセンは1回、上がっている。なお、ミケルセンは、ウェールズ・ラリーGBの翌週に開催されるラリーレジェンドに、HMIが走らせるWRカーで参戦する。

Mスポーツ・フォード

トルコは、スニネンが4位でフィニッシュを見せるとともに、速さ、安定感、タイヤマネジメント(特に土曜日の午後)でも健闘した。ティデマンドも、初めてグラベルでフィエスタWRCをドライブを、いい内容でまとめた。トルコでは、全くパンクがなかったドライバーもいた中で、チームはパンクの回数が多かった。さらに今年のイベントでは、非常にスムースなステージも多かった。全体的には、ジャンプの前にパンクのことをもっと留意するべきということになりそうだ。この代償として(アンチデフレーションムースを再投入)、追加でテストが必要になる。

エルフィン・エバンスは、WRC戦復帰(7月のラリーエストニアで負傷)の準備として、9月中旬に行われたPRデイでフォード・フィエスタR5をドライブ。この機会を、ウェールズ向けのテストとしても活用した。チームはグレイストック・フォレストでテストを行い、テーム・スニネンとポンタス・ティデマンドが1日ずつドライブした。

チームは、ここ2年連続で、WRGBを制している。エバンスは新車を使用、スニネンとティデマンドはトルコで使用したマシンを使う。

トヨタ

今年のトルコは、チームにとってはベストのラリーとはならなかった。基本的に、道のコンディションは昨年の様子から予想した通り。もちろん、シーズンで一番のラフイベントではあったが、それほどラフ過ぎたわけでもなかった。パンクが頻発したことに関して、チームはイベントによってはアンチデフレーションムースの再投入も検討するべきと考えているが、どれだけ追加コストが必要なるかの試算が必要となる。

ウェールズ・ラリーGBでのチャレンジは、天気。マディでスリッパリーになる道は、ドライバーにもチームにも過酷だ。泥がマシンに詰まることで車体が重くなり、マシンのバランスやスピードにも影響を与える。霧が出る可能性も高く、そうなれば何もかもが難しくなる。

テストは英国内で行い、各クルーが少なくとも1日ずつ走行した。チームが使うマシンは、2台がフィンランド車(ヤリ‐マティ・ラトバラは自身、オィット・タナックはクリス・ミークが使用したマシン)、クリス・ミークは自身がドイツで駆ったマシンを使う。

トヨタは1993年にラリーGBを制したことがあり、当時の本拠地はバーミンガム。現チームのドライバーは、ウェールズ拠点のラリーで2勝(ラトバラが2011〜2012年)、ポディウムはのべ4回(ラトバラが3回、タナックが1回)。
(Martin Holmes)



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