WRCラリーGBのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。トリッキーなコンディションとなったGB戦を制し、次戦スペインではついにタイトル確定のチャンスも浮上したタナック。マキシマムポイントを引き寄せたパワーステージでは、コースサイドを巧みに使ってのスウェーデン式の走行に挑んでいたことを明かした。
●WRCポストイベントカンファレンス出席者
1位:オィット・タナック=OT(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
1位:マルティン・ヤルベオヤ=MJ(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
2位:ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
2位:ニコラ・ジルスール=NG(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
3位:セバスチャン・オジエ=SO(シトロエン・トタルWRT)
3位:ジュリアン・イングラシア=JI(シトロエン・トタルWRT)
トミ・マキネン=TM(トヨタ・ガズーレーシングWRT チーム代表)
Q:オィット、素晴らしい週末になり、スペインでタイトルを決める可能性も出てきた。ハッピーか。
OT:もちろん、ハッピーだ。戦いの面では、張りつめた週末だった。一番最初のステージで小さなミスをして、9秒をロスした。そう悪くないように見えたが、今振り返ればどのステージも僅差だったので、どんなロスでも取り戻すのは難しかった。それを取り返せたことは、ハッピーだ。それ以上ミスをせず、徐々に徐々に取り戻せた。土曜日は林道は1本もベストを獲っていないし、金曜日も。でも自分たちには、一貫性があった。
Q:パワーステージは激走だった。
OT:たぶん、完璧ではなかった。最初は雨がかなり強く、グリップが低かったので、コースサイドで支えるようにしなくてはならなかった。少し、スウェーデン仕様な感じ。でも、最終的にはうまくいったから、ハッピーだ。
Q:スペインに向けての気分は。
OT:全体として、フィーリングはいい。スペインでは、初日は先頭走行なので少しトリッキーになるかもしれない。いつも天候次第だ。昨年は少し雨が降ったので楽になったし、これで戦況が変わるかもしれない。パフォーマンス面では、自分たちはいい流れになっていると信じている。もちろん、楽しみにしているよ。
Q:マルティン、張りつめた長い日々だったのでは。
MJ:そうだね、夜が短かった。自分たちはいい週末になったが、一方でかなり難しかったし、楽しみにくかったね。グリップレベルが全く予想つかないので、横滑りしたことがたくさんあった。最終的に、とてもいい内容になった。今回30ポイント獲れたのは、よかったよ。
Q:パワーステージ、隣に座っていてどう感じたか。
MJ:オィットも言ったように、スウェーデンのような感じってところかな。
Q:ティエリー、2位でフィニッシュ、素晴らしいペースだった。今の気分は。
TN:勝ちたかったよ。望みをつないで、タイトルの可能性を高めるためにも、勝つ必要があった。ご存知の通り、初日は少し苦戦した。午前のループは特にドラマがなかったのに6秒をロスしたが、午後はたぶんタイヤのチョイスが合っていなかったのだと思う。自分たちが頼んだタイヤではなかったし、それでさらに8秒と大きな痛手になった。10秒だったとしても取り返すのは難しかったが、最後までオィットと戦い続けることができた。彼の仕事は完璧で、ミスがなかった。自分たちもそれを目指している。最終的に、2位でパワーステージでもあまりポイントが獲れなかった。チームからはポジションをキープして、安全策で行くようにとリクエストされた。
Q:自分たちが頼んだタイヤではなかったというのは、どういう意味か。
TN:自分たちが頼んだものよりソフトなタイヤを履いていた。もちろん、内部でのミスで起こり得ることでもある。ミスはすべきではないが、起こることもある。ソフト3本、ミディアム2本のセットになっていたが、自分たちはソフト4本、ミディアム1本で行きたかった。オィットには、さらに11ポイントの差をつけられた。でも、トヨタはリヤウィングを変更したようなので、またかなりの接戦になった。以前ほど、飛び抜けて速いということはなくなったので、それについては自分たちはハッピーだ。
Q:ポイント差が広がったのは、よくない流れだ。
TN:もちろん、残念に思うが、それが現状だ。次のラリーで対応しなくてはならない。ここ数戦、速さは出ている。スペインに向けては万全の準備を行っているし、初日を3番手でスタートするのは間違いなくチャレンジングになる。ドライのままなら、OKのはず。ここでオィットよりも12ポイント以上獲って、望みをつなげたい。
Q:ニコラ、素晴らしいタイムも出したが、差が変わらなかったのはどれだけフラストレーションが溜まったか。
NG:難しい状況だった。一方で、自分たちのペースにはとても満足しているし、週末を通して限界まで攻めていたが、一方でそれでは届かなかった。でも、これ以上、何ができる? 自分はとてもハッピーだ。
Q:スペイン向けの準備は?
NG:重要だ。ラリーの前には、自分なりの準備の仕方があるのだが、ここまでのところ内容にはかなり満足している。何も変更はしないが、もちろん集中を維持して、ティエリーが目標を達成できるように支えて行く。
Q:セバスチャン、全力を尽くして3位フィニッシュ。今の気分は。
SO:ポディウムに上がったのだから、悪いことではないよ。今回の内容も悪くなかった。マシンの中では全力を尽くしている手応えがあった。常にタイムをロスしていた。最終的に、ライバルともそれほど離れずに済んだ。リザルトには心から喜ぶ事はできないが、オィットとトヨタには脱帽だ。選手権としては2戦を残して28ポイント差と厳しい流れになっている。でも、計算上ではまだ可能性は残っている。戦い続け、どこまで追い上げられるかやってみるしかない。
Q:次はスペインでターマックもある。ドイツでは、まだ取り組まなくてはならない部分もあったようだ。
SO:ドイツでかなりペースに差があったのは、明白だ。だから、今週、大掛かりなテストを行う。タイトル争いに残る最後のチャンスだ。ペースの面で、あちこちを少しずつ改良しなくてはならない。いくつかいい考えがあるし、既にパリで軽く走り方向性も少しつかんだが、テストでそれを確かめなくてはならない。これがうまくいけば、流れを取り戻せるかもしれない。可能性を残すために全力を尽くす。
Q:パワーステージは限界まで攻めたか。
SO:少し越えていた。この週末のようなドライビングはできなかったし、いずれにしてもオィットが自分たちを超えていた。できるリスクは全て負ったが、それでも彼が上だった。本当に彼に挑みたいのなら、さらに状況をよくしてペースを上げなくてはならない。
Q:ジュリアン、本当にハードにプッシュして僅差まで詰めたが、今の気分は。
JI:みんな、同じレベルにいると思う。今回も、張りつめた週末だった。自分たちにもまだチャンスはあるし、追いつくために挑んで行く。GBがカンタンではないことは、みんな知っている。一日中、警察に追い回され、タイトなリエゾンでアイティナリー通りに走り、かなりエキサイティングなステージに挑まなくてはならなかった。いい形でいろんな気持ちが入り交じっているよ。
Q:警察に追われた?
JI:(主催者から)メッセージを受け取ったんだ。「悪いことはしないように、さもなければ牢屋に入ることになりますよ」って。道路を走っている他のドライバーをリスペクトしなくてはいけないことにはみんな同意するが、自分がコ・ドライバーではなくウサギになっている気分になることがあったよ。
Q:セブ、何をして警察に追われた?
SO:何もしてないよ!
JI:どの参加者もこのメッセージは受け取ったんだよ。
OT:彼らは、トップドライバーをいい例にして、手錠をはめたかったんだよ。少しネガティブな話かもしれないが、もちろん僕らはみんな、一般の交通者をリスペクトしている。
Q:トミ、ヒュンダイとの差が詰まってきた。今の気分は。
TM:本当に素晴らしいリザルトだ。大きなプレッシャーを抱える中、週末を通して見事な仕事をしてくれた。プレッシャーが大きくなる中でこのイベントを迎え、タイトル争いは残り2戦。見事なパフォーマンスだった。ミスは全くなかったし、新しいリヤウィングではあまり速さにつながらなかったが、それでもとてもいいパフォーマンスを見せた。オィットのパフォーマンスは、これまで以上だった。
Q:マニュファクチャラーズ選手権はどのように戦って行くのか。
TM:最終的に、何も変わっていない。ずいぶん前に作ったプラン通りに進めている。スペインに向けては、プレイベントテストも行い、準備もスyンでいる。この先も作業を続けるが、どの作業も順調に進んでいる自信がある。信頼性を損なうことのないマシンを供給するために、ベストを尽くしている。
Q:オィットの契約について何かニュースは。
TM:近日中に、今の状況や来年どうなるのか、話せるようにしたい。かなり自信があるよ。
Q:近日中とは、スペインの前か。
TM:そう願いたいね。でももちろん、まだ課題は残っている。我々は、それほど急いでいない。モンテカルロまでにはまだ時間があるからね。