元三菱ラリーアート・ヨーロッパのヘッドとして三菱のWRC活動を率いたアンドリュー・コーワン氏が10月15日、入院先の病院で逝去した。享年82。
コーワン氏は1986〜1999年にかけて三菱ラリーアート・ヨーロッパの代表としてWRCチームの指揮を執り、トミ・マキネンをWRC4連覇に導いた。チームは、1998年にはマニュファクチャラーズタイトルも獲得している。
コーワン氏は1936年、英国スコットランド生まれ。ダンズという小さな町で育ち、地元出身の親友には、将来F1チャンピオンとなるジム・クラークがいる。地元のモータークラブに入ったコーワンは、1962年にラリー活動を開始。1962年にはサンビーム・ラピアでスコットランドラリーの勝利を収めている。この勝利を自身はモータースポーツで最も大きな功績だと語っており、翌年の同イベントでは連覇を果たしている。その後、ルーテス・グループと三菱のワークスドライバーとなったコーワンの最も大きな功績は、ロンドン−シドニーマラソンでので何度も勝利するなど、数々の勝利を収めた。オーストラリアのサザンクロスラリーでは、1972〜1976年で5連覇。1978年には、世界最長の3万2000kmにも及ぶ南アメリカマラソンを制している。また、サファリラリーでは、4回の参戦すべてをトップ4でフィニッシュしたほか、1985年にはパリ−ダカールラリーで2位に入っている。
1983年には、三菱の競技活動の英国拠点を立ち上げ、このアンドリュー・コーワン・モータースポーツは三菱ラリーアート・ヨーロッパの前身となった。また、リチャード・バーンズをWRCでブレイクさせたことでも知られ、同チームに3年在籍。その間のバーンズは、1998年にサファリラリーや、地元のラリーGBを制している。
同社を引退後はスコットランドに戻り、700エーカーの農場を経営していた。