TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは11月20日、東京都内のトヨタ自動車東京本社にてWRC2019年シーズンエンド取材会を開催した。
会場にはトミ・マキネン代表に、レギュラードライバー/コ・ドライバーの5名が出席し(ミーカ・アンティラは欠席)、トヨタ・モータースポーツGmbHでヤリスWRCのエンジン開発に携わる青木徳生エンジニアという計8名が質疑応答に臨んだ。
会の冒頭には、トヨタ自動車GRカンパニーGR統括部の市川正明氏が2019年シーズンを総括。
「2017年に復帰して以来3年目でドライバーズ/コ・ドライバーズの獲得することができました。我々がWRCに参戦する目的は、人を鍛え、クルマを鍛えることです。2020年はあらためてトリプルタイトルを狙いたいと考えています。シーズン最終戦はここ日本で開催されますし、本社にも非常に近い地域ですので、そこで3冠を獲ったという祝杯をあげたいと思っています」とコメントした。
その後は、チームを率いるマキネン代表に感謝を表す花束の贈呈式が執り行われ、各ドライバーには、TMG青木氏からヤリスのエンジンに使用したピストンとコンロッドを使った記念品が贈られた。オィット・タナックにはエンジン番号131番(フィンランドから投入され、スペインでチャンピオンを決めたエンジン)、ヤリ‐マティ・ラトバラには101番(2018年オーストラリアで勝利したエンジン)、クリス・ミークには132番(ドイツで表彰台を獲得したエンジン)が贈呈されている。
トミ・マキネン
「昨年はマニュファクチャラーズチャンピオンを獲ることができ、そして今年はドライバーズ/コ・ドライバーズのタイトルを獲得することができました。とはいえ、まだまだ学ぶべきことは多くあると思います。そんななかでもヤリスWRCはスピードがあり、SS勝利数もかなりの数を獲得しているのではないでしょうか。新たなチャンピオンを輩出することができ、全体的には良いシーズンであったと思います」
青木徳生エンジニア
「3年目の今季は新しいエンジンを開幕戦から投入し、フィンランドでもステップアップしたエンジンを投入することができました。去年マニュファクチャラーズタイトルを獲得して、今年はドライバーズ/コ・ドライバーズの両タイトルを獲ることができました。そのなかで、エンジンはあくまでもクルマの一部であること、ドライバーとエンジンはその操作に因っていかにクルマをコントロールするか、その一体感が重要なのだということが良く分かりました。フィードバックをもらいながら、ドライバー目線で使いやすいクルマにするために貢献できたのではないかと思います。フィンランドのエンジンは、その後の戦績を見ても、貢献できたと自信を持てた年になりました。この進め方で来年も頑張っていきたいです」
ヤリ‐マティ・ラトバラ
「私自身としてはベストなシーズンとは言いがたい1年になってしまいました。速いレベルにはなく、残念な年になってしまいましたが、ヤリスWRCのパフォーマンスは十分なものだったと思います。チームメイトがタイトルを獲っていること、ドイツでの表彰台独占という結果がそれを証明しているのではないでしょうか。そのクルマをドライブすることができて幸せなシーズンでもありました」
クリス・ミーク
「私がラリーを観はじめた90年代はトヨタが強く、そのチームでドライブできたことはとてもうれしかったですし、自分のキャリアでチームを移籍して運転するということは、とてもチャレンジングな経験でした。シーズン後半はなかなか望んでいた結果にはなりませんでしたが、この1年ヤリスWRCをドライブすることができてよかったです。残念ながら最終戦は中止になりましたが、走っていたらもうひとつのタイトルも獲れていたと確信しています。全体的にみて、結果はついてこなかったけれどいいシーズンだったと思います」
セブ・マーシャル
「今年からミーク選手とコンビを組み始めましたが、最初はそれに馴れることも必要でした。今シーズンを振り返ると、やはりドイツで1-2-3フィニッシュを飾ることができたことはハイライトだと考えています。また、ドイツの後はTMGのファクトリーを訪問して、トヨタチーム全体の家族的な雰囲気を楽しむこともできました。チャンピオンを獲得したタナックとヤルベオヤにはおめでとうと言いたいですね」
オィット・タナック
「困難なキャリアを経て、マキネンが率いるいいチームでチャンピオンを獲得したことで、夢が叶いました。ヤリスWRCは加入初年度からスピードがあるいいマシンでした。昨年はいくつかのラリーで独走することができたのですが、トラブルもあり、ドライバーズタイトルは逃してしまいました。しかし今年はさらに強くなり、自信を持ってシーズンを戦うことができました。順位を落とすこともありましたが、勝てる自信を強く保ったまま戦えたという点、プレッシャーを乗り越えてチャンピオンを獲ることができた点は良かったと思います」
マルティン・ヤルベオヤ
「ラリーを戦ううえで、毎年シーズンは違いますが、今年はいいシーズンでした。最高の結果で終わることができたと思います。もちろんいい時も悪い時もありますが、今年はいい時が多かったですね。まさにパーフェクトなシーズンだったと言えると思います」